iPhone5は9月21日発売。しかしちょっと悩ましい問題が… [携帯電話・iPhone]
日本時間2012年9月13日午前2時より、アメリカで新型iPhoneの発表会が行われ、第6世代iPhone「iPhone5」がついに発表されました。
今回のiPhone5で最も変わったのは「画面の縦横比」。
初代~3GSの3.5インチ320×480ドット、4~4Sの3.5インチ640×960ドット(いわゆるRetina Display)と、頑なに守られてきた2:3の縦横比が、このiPhone5から4インチ640×1136ドット、つまりテレビなどと同じ9:16という比率に変化することになりました。
その結果、iPhone5はiPhone4/4Sと同じ横幅を保ったままでより縦長なボディとなり、
・iPhone 3GS 115.5×62.1×12.3mm / 135g
・iPhone 4S 115.2×58.6×9.3mm / 140g
・iPhone 5 123.8×58.6×7.6mm / 112g
と、縦が8.6mmほど大きくなっています。一方、厚みは1.7mm薄く、質量は28g軽くなっているので、「より縦長に、薄く、軽い」iPhoneになったということになります。
なので、ホーム画面もアイコンが一列分増えて5列→6列表示へと大型化。やっつけでどれぐらい変わるものか比較画像を作ってみましたが、
↓
やはりデカいですね(笑)。これだと片手使用の時に画面上部の通知ドロワーに親指が届かなそうです。ビデオをみたり、iTunes映画を観る時にはこの9:16比率はいいのでしょうが、そのために普段使いの使い勝手が悪くなっては本末転倒。Appleがそのへんどう考えているのか聞いて見たかったものです。
今後アプリ作者さんは、画面の下部にボタンを集中させたインターフェースデザインを考えることになるのかもしれません。
そういう意味で既存のアプリの互換性ですが、横方向のドット数は一緒なので、9:16画面非対応アプリは上下に88ドットずつ黒帯を挟んで表示することになっているそうです。SDKを使っての9:16化は楽だというアプリ作者からの感想をもらってるとのことなので、今後は2:3/9:16両対応のアプリが増えそうです。
そしてもう一つ大きく変わったのが「Dockコネクタ」
これもiPod時代から守られてきた幅広のコネクタから、幅の狭い新コネクタ「Lightning」に変更となり、既存の周辺機器はアダプタ対応することになります。
本体の薄型化や小型化が今回の最大の主眼点だったのか、SIMもまたまた形状変更となり、今までのマイクロSIMからさらに44%小さくなった「ナノSIM」が採用されています。
ナノSIMは欧州電気通信標準化機構(ETSI)の標準規格としての認可を受けているので、今後各電話会社が投入してくると思われますが、SIMフリーで自由に使いたいユーザーは、発売からしばらくはSIMの入手には苦労をすることになると思われます。
ま、中国方面では既に通常SIMやマイクロSIMを小型にくり抜く「ナノSIMカッター」と、毎度おなじみ「SIMアダプタ(通称:下駄)」が出回り始めているようですけどね(笑)
カメラも強化されてスイングパノラマや1080p動画撮影機能がついたり、付属ヘッドフォンも「EarPods」という新しいカナル型のものになるそうです。
通話時のノイズキャンセリングマイクが付いたり、今回のiPhone5は「光と音のiPhone」的な強化の方向のようです。
CPUはA5の2倍速いという触れ込みの「Apple A6」現時点では、メインメモリやクロック周波数の情報はありません。発売されればすぐに判明するでしょうけどね。あと、無線LANは802.11a/b/g/nで5GHz帯対応になり、40MHz使用時は150Mbpsが理論通信速度となります。
期待されたNFC対応は予想通りありませんでした(iOS6のPassbookが発表された時に「これはNFC無いな」と思いました)。
で、皆さんが一番気になっているであろう発売日ですが、日本は北米と同じく9月21日発売。対応キャリアはSoftBankとKDDIの二社ということになっています。
問題は対応する通信規格。
SoftBankがW-CDMA/HSPA系、KDDIがCDMA2000系というのは今までどおりですが、今回のiPhone5から、3.9世代規格(最近は4G呼称が多いですが)である「LTE」にも対応することになります。
これで今までの3Gよりも高速・低遅延な通信を期待!
…と行きたかったのですが、なにせSoftBankもKDDIもLTEは現時点ではサービスインしておらず、今は秋冬の開始に向けシコシコと基地局を設置している段階です(今サービスインしているSoftBank 4GはiPhone5やドコモのXiが採用する「FD-LTE」とは違う「TD-LTE」規格)。
しかも今回の発表の中でAppleは「一国一バンド(周波数帯)」というコンセプトを掲げており、日本は「バンド1(2.1GHz帯)」のLTEにのみ対応することとなります。
そう、この周波数帯が大問題。
実はKDDIのLTEは、サービスイン前だというのにものすごい勢いで基地局が設置されていて、既に基地局数ならドコモのXiすら上回る数が準備されています。
ところがその中心となっているのは、800MHz帯を使う「バンド18」。
他にも1.5GHz帯を使う「バンド11」、前述の2.1GHz帯を使う「バンド1」の基地局も設置されていますが、双方とも「バンド18」基地局の1/4ぐらいの数しかない状態です。
一方のSoftBankのLTE(FD-LTE)ですが、「バンド1」ならKDDIよりも基地局数は多いものの、かなり地域的な偏りがあり、グループ会社であるWCPが展開するTD-LTEとの二重投資にもなっていることから、まだまだエリアには不安があります。
つまりどちらの会社にしても現時点では、iPhone5が対応する「バンド1」のLTEエリアは“完璧”とは言い難い状況なのです。
それともう一つ。KDDIのLTEは10MHz幅(75Mbps)対応の基地局がほとんど、つまり高速なのが売りですが(ドコモのXiは今までほとんどの基地局が5MHz幅(37.5Mbps)対応でしか無かった。今後は1.5GHz帯を使って15MHz幅(112.5Mbps)のサービスも始まる予定)、それもバンド11/18が中心なため、
「KDDIブランドのLTE-Android端末などは75Mbpsだが、バンド11/18に未対応のiPhone5は同じLTE対応でも37.5Mbpsでの動作がほとんど」
なんてことにもなりかねません。Appleは『全世界でほぼ同じ端末を売ることで、莫大な利益を上げる』という考えの企業ですから、こうなることもある程度予想していましたが、ちょっと日本での高速通信対応は、しばらく期待ハズレな状況が続きそうな気配です。
要は「KDDIはバンド1をLTEの中心に据えてくんないかな~」ってことなんですけどね(笑)
【追記】ジャーナリスト本田さんのKDDI田中社長へのインタビューによると、KDDIはバンド1LTEを当面の間iPhone5専用に割り当てて運用するとのこと。仮にLTE圏外でもWIN-HIGH-SPEEDに対応するので、速度的にはSBMより有利な状況になりそうです。
というわけでiPhone5を見てきましたが、とりあえず僕も4から2年経ったんで今回は購入します。ただ、もう国内で売られるSIMロック板はいいやぁ、と考えていたのが、ナノSIMになっちゃうわ、LTEの周波数対応はややこしいわで、ちょっと海外版の輸入も情報待ちといった感じです。
モノとしては縦長画面でどれぐらい使い勝手が悪くなったのかにも注目ですね。
とりあえず今日はSoftBank/KDDIの情報発表待ちです。
なるほど、勉強になりますね。
ちなみにどのモデルに機種変予定なんでしょう?
ちょっと興味ありです_φ(・_・
by もけもけ (2012-09-21 08:35)