有機ELテレビ XEL-1 Review 画質篇 [Sony・TV]
有機ELテレビXEL-1レビュー、前日の予告通り今日は画質篇をお送りします。
11月22日の夜、XEL-1が届いて最初にやったのが、XEL-1とPLAYSTATION 3を接続することでした。とにかく有機ELでスターウォーズを見たら、あの黒い宇宙はどのように映し出されるのか確かめたかったのです。
HDMIでPS3を接続し、エピソード3のDVDを入れて再生開始。何十回と見たいつも通りのオープニング、ストーリーを語るおなじみのテロップ、そしてコルサント上空戦のシーンに入った瞬間、
「…」
声も出ませんでした。
なんというか映像の奥行きが液晶とは全く違います。何段にも重なり合って交戦するクローン軍とドロイド軍、その空間の広がり、宇宙の広さが見事に表現されているのです。それが昨日の予告編でお送りしたこの部分。
黒がちゃんと“黒”になっていて、暗部全体の微妙な階調（ようするに黒に近い赤や黒に近い青といった色）も白っぽく浮かずに、明部からまっすぐ黒に向かって沈んでいくリニアリティの高さが、これほど映像の透明感や空気感に影響を与えるものかと驚きました。
そのまま見続けていっても、驚きというか溜息の連続。
ライトセーバーの輝き、C-3POやR2-D2のメタリックな質感、ムスタファの溶岩の熱っぽさ、何から何まで豊穣な色で映し出されています。
もちろんXEL-1はフルHDの液晶に比べ1/4の解像度しかないので、近づいて見ると画素の粗さがわかってくるのですが、
↑XEL-1
↑BRAVIA X2500
（上の映像はBD版「007/カジノロワイヤル」より）
それでも色のディテールが解像度のディテールの低さを補って、XEL-1のほうがX2500よりリアルさを感じるのです。
MI:2の炎も熱そう。
↑XEL-1
↑BRAVIA X2500
（上の映像はBD版「MI:2」より）
XEL-1の画質調整は「ダイナミック」「スタンダード」「カスタム」の三つがプリセットされていて、出荷時には「スタンダード」に設定されています。ようやく「ダイナミック」で出荷するのをやめたんですね。なお「スタンダード」と「カスタム」は、詳細項目も変更することが出来るようになっています。
各初期設定値はこんな感じ。
・スタンダード
・カスタム
・ダイナミック
ただ有機ELはやはり輝度が高いせいか、「スタンダード」設定でもまだまだ眩しく、僕の好みからいったらもっと落ち着いた映像にしたいところ（それでも発色が自然なので、液晶ほどギラギラしておらず不自然な感じはしません。普通のユーザーは買ってそのままでも十分満足できるかも。）。
そこでカスタム設定を呼び出し、自分好みの画質に追い込んでいきます。
一時間ほどにらめっこして、導き出したとりあえずの設定値はこんなところ。
って後から気づいたのですが、これBRAVIA X2500購入当初にたどり着いた画質設定値とほとんど一緒ですね。どうも僕は「低い色温度、ほどほどの輝度、濃い目の発色、ソフトな輪郭」な映像が好き、という傾向が変わってないようです。
これでどれぐらい変わるかというと、
↑XEL-1スタンダード初期設定
↑XEL-1 カスタム自己流設定
（上の映像はBD版「007/カジノロワイヤル」より）
この写真じゃわかりにくいですが、かなり落ち着いた映像となりました。これだとせっかくの有機ELの鮮やかな発光がスポイルされたと言えなくもないんですけど、暗部のディテールは失われてないので、十分有機ELの高画質は体感可能です。
暗めの画質にした理由はもう一つ。
実は昨日は仕事が休みだったので、銀座ソニービルで開かれた「XEL-1 開発者トークイベント」に行ってきたんです。
そこではテレビ事業本部 E事業開発部 部長の白石由人氏を筆頭に、XEL-1開発の主要メンバーの方々が出席され、直に歓談出来るなど大変有意義な会だったのですが、寿命問題を心配する僕に、白石さんは「有機EL材料は強い光を発光させるとそれだけ劣化が早まっていきます。スタンダードではちょっと明るいので、カスタムで輝度を落とし気味にしてもらえれば、寿命はより延びて行きますよ。」とアドバイスをくださいました。
ちなみに3万時間という公称輝度半減時間（いわゆるパネル寿命）は、最も寿命が短い青を基準にしているので、大事に使えば僕の心配は杞憂に終わりそうな感じです。
その他色々とオフレコっぽい話や苦労話も聞かせていただきましたが、皆さんが期待されているであろうパネルの大型化は、着実に技術開発が進んでいるようです。SXRDの橋本さんとはまた違うタイプとして、この白石さん率いる有機ELチームには信頼できる技術者魂を感じたので、必ずやってくれると思います。
そういえば「次の方向性は何も大型化だけじゃない。」っておっしゃってたので、個人的にはこの11インチパネルから4枚パネルを切り出して、PSPに搭載してくれることを期待しています。
で、話は戻って画質と寿命の問題。
XEL-1には画質設定とは別に、画質に影響を与える設定項目が二つありまして、一つは「自動輝度差調整」。
これはXMBの本体設定の中にあって、同一画面の中に極端に明るい部分と極端に暗い部分が混在する場合、明るいところだけ劣化が早まってしまうので、自動でコントラストを抑え、出来るだけ均一にゆっくり劣化していくようにするものです。
デフォルトでは「弱」になっていますが、これが「強」になると、ピークの伸びを抑制した全体に暗めの画質になります。
もう一つXMBの「映像設定」の中に、「シネマドライブ」という設定項目があります。
これは入力ソースごとに「切」と「オート」が選択できますが、今ひとつ効果は確認できませんでした。
というわけでXEL-1の画質を見てきましたが、もうとにかく「素晴らしい」の一言。この有機EL画質に目が慣れてくると、液晶の黒は「灰色」にしか見えません。特にBD/DVD映画を見るときが顕著で、画面は小さいですけどXEL-1で見たほうが楽しいとすら思えます。
動きの速いスポーツになるとやっぱり残像の無いXEL-1がよさそうですし、これで立場は逆転しXEL-1がメインモニター、40インチのBRAVIA X2500はニュースとかしか見ないサブモニターになってしまいそうです。やっぱり去年早まったかなぁ、所詮液晶は液晶でしかなかったか…orz
p.s.最後に昨日の答え合わせ。
皆さんお分かりのとおり、上の写真がXEL-1、下の写真がBRAVIA X2500になります。あの写真だと映像部分だけトリミングしたんで、映像の発色の差が特徴的でしたが、今日はトリミング前の写真を公開しましょう。
↑XEL-1
↑BRAVIA X2500
レタッチソフトで明るさを持ち上げて強調してみましたが、わかります？
両機とも画面は16:9なのに、映画はより横長のシネスコサイズなので、上下に黒帯ができるのですが、XEL-1は黒帯も真っ黒になっていて、写真に撮ってもベゼルとの境目が全くわからないのに対し、X2500は黒帯部分がバックライトの光漏れで白浮きしてしまうので、ベゼルとの境目がわかっちゃうんです。
本当の黒が出るXEL-1と、黒が黒にならない液晶テレビ、この差は永遠に埋まらないのかもしれません。
カスタム自己流設定の方が、自然に見えますけどね。
肌の色が特に自然に見えます。飛行機の色は若干暗く感じますけど。
同じ場面で画像を撮って、プロジェクターと比較してみたくなりました。
帰宅したら、やってみます（笑）
by kozy (2007-11-26 15:41)
これマジですか。
我が家もついにブラウン管壊れたので４０X５０００（W)購入しました。
Z３５００、LH８０５と迷ったのですが、ついにテレビもソニーとなってしまいました。
うちで唯一テレビだけがビクターでしたので。
Z3500は東芝と言うのがネックで、しかも音がいまいち。
ビクターは良かったのですが、嫁のデザインがダサイの一言で却下となりました。
プラズマは端から眼中に無しで。
テレビ画面の設定は勝手に参考にさせていただきます（笑）。
でも、有機ELすごいですね。
実際これで普通の人が購入できるような一般的な仕様になるのはいつからでしょうか？
by ショウヘイ (2007-11-26 15:55)
最後の写真に絶句ですわ。。。
う〜ん・・・やっぱ良いわ、有機EL。
素晴らしすぎますね、どーも。
by かつぽん (2007-11-26 16:18)
イヤーー、普通のテレビ番組でも、如実に色の差が浮き彫りになります。
キラキラしてるのに、目に痛くないっていいです。
早速、長寿命モードに切り替えました。(笑)
by Virgo (2007-11-26 16:22)
なるほどぉ、青が一番寿命が短いんですか。
青の少ない映画というと。。。バットマンとかマトリックスが
頭に浮かびました。(^_^;)
カメラ側のシャッタースピードをあげるとブラウン管の時
みたいに走査するときの黒い帯が見えてくるのも久々
ですよね。
by 店員佐藤 (2007-11-26 17:49)
所詮液晶は液晶でしかなかったか・・・・・・
by mio (2007-11-27 00:11)
カスタム自己流設定は、PS3でゲームするときも使用されていますか?
by neko (2008-01-02 09:50)