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Sony Dealer Convention 2007 レポート “キター”篇 [Sony・全般]

運営全体に色々とすったもんだがあり、個人的にはまだ怒りが収まらないSDC2007ですが、そういうことは忘れて、会場で見た製品のレポートをお送りしたいと思います。

今日はキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!なモノ篇。

1. 27インチ有機ELテレビ

写真は今年のCES出展時にimpressから引用したものです。有機ELの仕組みなどはその時の記事をお読み下さい。

SDCは毎年本会場に入る前に、SonyのSRプロジェクターを使用したプレゼンテーション会場があるのですが、今年はその入場待ちのスペースに、11インチ有機ELと27インチ有機ELが展示されていました。

噂にはずっと聞いていたこの有機ELディスプレイを、僕自身初めて見たわけですが、もうその瞬間から驚きの声を上げてしまう状態。年末に発売が予定されている11インチは、その極薄のパネル部分の姿にビックリし、くの字に折れ曲がった筐体の後ろの部分に、電源ケーブル用と思われる端子と、HDMI端子があるだけというシンプルな構成に、「これ、このまま市販するの?」と思ってしまいました。

11インチも良かったのですが、やはり本命は27インチフルHDタイプのもの。

まず予想外だったのが開口率の高さ。NW-S700/S600シリーズ、FOMA N2001、CLIE VZ90など数多くのカラー有機ELを見てきてますが、どれも開口率がそれほど高くなく、RGBの画素が判別できてしまったり、各ドット間の格子でかなりメッシュ感を感じるような状態でした。

開口率を高めているSTE(Super Top Emission)方式は、CLIE VZ90でも採用されており、VZ90と同じぐらいの映像かなと思っていた僕は、いきなり裏切られたのです。同サイズの液晶すらも上回るメッシュ感のなさで、非常に精緻な映像を映し出しています。

次に感心したのは、安定した階調の出方。おそらく普通に見た人だと、CRT比147%の広色再現域からくる強烈な赤や緑の発色に、「すごい綺麗な映像だ」と感じると思います。しかしただ単に色域が広いというだけなら、BRAVIA X7000が採用しているLEDバックライトでも、NTSC比125%を達成しており、あれはあれで強烈な赤や緑を実現しています。

この有機ELが本当に優れているのは、色の強さ以上に、黒から白までの色の変化が自然で、きっちりした階調が出ていること。原理上黒が浮いてしまう液晶は、純黒近辺の微妙な発色はごまかさざるをえないですし、プラズマはデジタル駆動で色作りしているため、色の感じ方に個人差が出てしまいます。そういったことがなく、ここまで自然な階調が出せるのは、カラーフィルターを使って発色を微調整しているからでしょう。

これ今市販したらおそらく100万円を超える値段になるでしょうが、出来るだけ早期に27インチも市販にこぎつけて欲しいですね。これ見ちゃったら、液晶やプラズマなんてとてもとても…

それにしてもSonyはなんでこの展示順にしたんでしょう。このあとプレゼンテーションを見て、最初に出てくるのは液晶BRAVIAコーナー。先に有機EL見てしまっているので、いくらBRAVIAを見ても「液晶は所詮こんなものか、待ちでしょ待ち。」って感じてしまいます。やっぱり有機ELは最後にもって来るべきだったのでは?

つまり液晶BRAVIAは…う~ん

2. VPL-VW200/VPL-VW60

今回もプロジェクターはシアタールームでのデモが行われました。機材の組み合わせは、

・プロジェクター VPL-VW200/VW60
・AVセンター TA-DA5300ES
・BDプレーヤー BDZ-X90
・スクリーン MALIBU 120インチ
・スピーカー フロント SS-X90ED/センター SS-CNX70ED/サラウンド SS-F6000×4/サブウーファー SA-W9000×9

というこの年末商戦最新機種を使用した7.9ch構成です。VPL-VW200は日本では未発表ですが、アメリカではすでに発表済み。

SONY DEBUTS TWO 1080p SXRD FRONT HOME THEATER PROJECTORS (英文プレスリリース)

性能的にはVW100をベースに、SXRDを第三世代の倍速駆動タイプに変更。レンズはARC-FレンズからカールツァイスVario-Tesarへとグレードアップ(QUALIA 004はVario-Sonnar T*)され、キセノンランプ採用によって、x.v.Colorにも対応。コントラスト比はVW60と同じ35,000:1となっています。

BRAVIAエンジンやMotionFlowも積んでいるので、商品ブランドとしては“BRAVIA”プロジェクターであり、ボディにはBRAVIAロゴ、カラーリングもQUALIA 004ライクのブルーということで、ちょうどVW100とQUALIA 004のいいとこ取りをしたような感じです。

シアタールームのデモは、まずはTA-DA5300ESの自動音場補正機能から、その効果の高さは相変わらず見事でしたが、なにせ5300ESは現在もかないまるさんと佐藤正規氏による最終チューニングの真っ最中、音質には言及しないでおきます(それでも3200ESより安定感があって、綾戸智絵のボーカルを艶やかに奏でていましたが。)。

音の次は映像のデモ。VPL-VW60でカンフーハッスルを流したのですが、一見してその素性の良さがわかります。前モデルであるVW50より安くなったにもかかわらず、VW60のほうが明らかに綺麗になっているのです。

アドバンスト・アイリスの改良でコントラストが高くなったため、黒の締まりが向上し、白の輝度も強くなったにもかかわらず、UHPランプ的な青っぽさがうまく押さえ込まれているので、「パワフルだけどちょっと冷たい」と感じたVW50よりも、より映画館的な映像となりました。

詳細は確認できなかったのですが、VW60はRGBの投射位置の微妙なずれ(レジずれ)を調整する機構が追加されたようで、映像のシャープさもVW50以上です。映画を見るのにもいいですが、特にスポーツ中継などのビデオソースを見るのに最適なマシンだと思います。

そして何といってもこれが実売30万円台ってのが信じられない。もうDLP/3LCD各社の中級機は全く太刀打ちできないでしょう。正直今普通の人がフロントプロジェクターを買うなら、これ以外はありえません。この性能をこの価格で出されちゃぁねぇ…

しかし僕はこのあとVW60が前フリにしか過ぎないということを思い知らされることになります。

続いてデモったのはVPL-VW200(ただし「参考出品120Hzモデル」とされています)。これは倍速駆動対応の新世代SXRDパネルが使われているので、駆動回路にもBRAVIA X/Wと同じフルHD対応のMotionFlowが搭載されています。

そのMotionFlowの効果を1080/60iのビデオソースで確認してください、ということで高速でパンニングする映像を流しながら、Sonyの方がMotionFlowのON/OFFを繰り返します。

もともとSXRDは応答速度2.5msを達成しており、別に倍速駆動をしなくてもブレや動画ボケなんて見えないだろう、と思っていたのですが、これが効果覿面!見事に動画ボケが解消してしまいました。この映像を見てしまうと、今までのSXRDですら「あ、ボケてる」とわかってしまい、VW60でいいかな?と思っていたはずが、VW200が欲しくなってきてしまうのはSonyの罠でしょうか(^^;

ただMotionFlowにも泣き所があって、フィルムソースの24p映像はまだ不自然さが出てしまっています。フィルムの味を残すには、やはりMotionFlow OFFが良いのかな。

で、デモの締めは発売が近づいてきた「スパイダーマン3」のBD映像でしたが、すいません、あまりの綺麗さに感動して、泣きました。キセノンランプによる柔らかい自然な発色、VW100よりも高められたコントラストによる引き締まった黒、これらすべてが高次元に昇華した映像は、まさに「自宅を映画館に」です。

この映像ががんばってお金を貯めれば(アメリカではVW200は15,000ドル。日本で発売するなら150~170万円ぐらい?)手が届くかもしれない、我が家にやってくることも可能かもしれないと思うと、自分はいい時代に生きているなぁと感じてシアタールームを出ました。

一緒に見ていた、かつぽんさん、Virgoさん、蔵さん、僕の四人がいっせいに発した一言。

「やばいもん見ちゃったねぇ。」

これがすべてを物語っていると思います。

3. PFR-V1

これはオーディオコーナーに置いてあったのですが、試聴してビックリ。その奇抜なルックスからは想像もつかないまじめな音作りがされています。

まず中高域を担当するスピーカーユニットですが、指向性が高めてあるのか、耳との距離が近いからなのか、あまり音漏れしません。これならアウトドアで使うことも出来そうな気配です(さすがに電車は無理でしょうが)。

そして低音を聞かせるために耳の中に入ってくる、エクステンデッドバスレフダクトは、確実に低音を補強してくれるので、このサイズのユニットでありながら低音から高音までフラットな音質を実現しています。

でもやっぱりこれヘッドフォンじゃなくてスピーカーなんですね。耳の外にスピーカーがあるので、ステレオが頭内定位ではなく前方定位するのは、ヘッドフォンとは明らかに違う音です。音場も広いですし高音質なスピーカーだと言ってよいでしょう。この不思議なスピーカー、値段がおいそれと買えるものじゃないのが本当に残念です。まずは環境のいいところでじっくり試聴して、5万円の価値があるか確かめる必要がありますから。

4. MDR-EX700SL

これはWalkmanコーナーで試聴。型番やキャラクタから、MDR-EX90SLの延長線上にあるような、モニターライクな音を出す印象があったのですが、これが全然違う音になっていました。

会場にはNW-S706FにAALで曲が入ったものを、自前のMDR-EX90SLと共に持ち込んでいたので、大好きなOASISの「ALL AROUND THE WORLD」で、二つの比較試聴を行います。

EX90SLの音はとにかくフラット。味付けを出来うる限り排除し全帯域を忠実に再現した音を出します。その分音の“味”が薄く、OASISも綺麗なんですけど色気も薄めになっちゃうんで、好みが分かれる部分もあります。

それがEX700SLになると、高域が一段上に伸び、キラキラとした華やかさが前面に出てきます。最初は低音が弱めかなと思っていましたが、イヤーチップをMからMLにワンサイズあげると、低音も締まってきて、より好みの音に近づいてきました。明らかにフラットでモニターライクな音とは違う特性、なんというか昔のSonyサウンドが戻ってきたようで、キャラクタはEX90ではなくE888のほうに近いと感じました。

MDR-EX90SLは綺麗だけどつまらなかった、という人なら100%お勧めできると思います。特に高域の伸びが強烈なので、切れの良い音を求める人にはベストです。

5. α700

これはカタログで見たときは、どうなのよと思ってましたが、実機を触ると大違い、非常によく出来ています。

中級機の割りにコンパクトなので取りまわしが楽ですし、α100の弱点だった質感も大幅に改善して、全体のメカ精度が高い感触をしています。うわさのオーディオ部隊が一枚かんでいるというシャッター音も、最後に巻き上げ音みたいな余韻も混ぜ込んであって好印象でした。

あと液晶もさすがVGAクラスだけあって綺麗で使いやすく、α100で一番好きじゃなかったファインダーも、視野率こそ95%ですが、さすがペンタプリズムらしい明るさとフォーカス感がありました。あれなら18万円の価値があると思います。あれは普通にいいカメラが欲しい人なら、買いでしょう。

でも僕は、α300/500/700/900の四ライン構成にして、今回のはα500、α700は30万円ぐらいのフルサイズ機にして欲しかったなぁ。

6. NW-S718F

これも最初は全然期待していなかったんですけどね。確かにデザインの方向性が僕の好みと違うんで、自分が買おうとは思わないのですが、十分お勧め出来るWalkmanだと思います。

サイズはA800とあまり変わらないように見えますが、あきらかに「ああ小さい」と感じるサイズになっていて、iPod nano 3rdがデブってしまったのとは反対の方向性です。同じ動画を見ることができるシリコンオーディオという意味では、S710のほうがスマートな感じがします。

ボタンの部分は、最近はやりのシートキータイプの携帯電話と同じクリック感。ヘビーなiPodユーザーでもあるVirgoさんは「タッチセンサーのほうが高級感があって」とおっしゃってましたが、僕はこのカジュアルなデザインにタッチセンサーは似合わないと思いますし、適度なクリック感が誤操作を減らしてくれるんでこっちのほうが好みです。

で、一番感心したのがNCヘッドフォン。

S700に付属してきたNCヘッドフォンは、Sonyおなじみのu型分岐なのですが、Y型分岐のヘッドフォンと違って、LRのケーブルの長さ=電気抵抗が左右で違ってくるため、音の調整が難しい部分があり、結局分岐の切り返し部分が通常のヘッドフォンより下にきて、Lのケーブルが倍ぐらい長くなっていました。

上 NW-S706F付属のヘッドフォン(MDR-NC022)
下 MDR-EX90SL

これがどうにもヘッドフォンコードの収まりを悪くし、使いづらいなと思っていたのですが、今回展示してあったNW-S718F付属のヘッドフォンは、型番がMDR-NC022Aとなり、切り返し部分が上に来て、ほとんど通常のタイプと変わらない配置となりました。これはうれしい改良です。

もちろんあのNC用特殊5極端子はNW-S700シリーズと共通ですから、NW-S700ユーザーの方も保守部品としてMDR-NC022Aを取り寄せれば、使いやすいヘッドフォンにすることが出来ます(展示機のヘッドフォンを自分のS706Fにさして動作することを確認しました)。

 

以上、あまたある展示製品の中から、特に良かった6個をあげてみました。今回は何と言ってもオーディオが豊作で、買って損のない製品が多いのは、音楽好き・オーディオ好きとしてはうれしい限りです。

次回は正直期待外れという、コネ━━━━━━('A`)━━━━━━ !!!!!なモノ篇をお伝えします。


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かつぽん

やっぱりakoustamさんに丸投げして良かったぁ。
なにを?って、プロジェクターの記事。
「やばいモン見ちゃったねぇ~」って感想しか出てこなかったけど、
akoustamサンならココまで書けるモンなぁ。

PFR-V1は仰天でした。
あの自然な装着間・そして音・・・
かなりやられてる自分がいます。
by かつぽん (2007-09-17 10:28) 

kozy

「やばいモン」すっかり忘れてました。

本体だけは見たのですが...
映像見たら、ボクも泣いていたと思います、違う意味で(笑)
by kozy (2007-09-17 10:46) 

Riever

結局従来のSXRD(リアプロ)と有機ELではどちらの方が綺麗だったのかが非常に気になります。
今回はBRAVIA A Seriesがモデルチェンジしなかったので見比べはできなかったとは思いますが、どうしても気になるんです(^^;

VPL-VW200もVW60も良かったみたいですし、私も見たかったですよ(笑)
とくにVW60の方は買える額ですもんね。

PFR-V1も、奇妙な見た目とは違うまともな音・・・イカン欲しくなってしまう(^^;;

そして私が一番期待していたMDR-EX700SL。
広域が伸びる・・・昔のSonyサウンド・・・
これだけで悩殺モノなのに、とどめはE888に近い!
・・・E888は好きな音だったのにちょっとぼやけているなと思っていた私を・・・射落とすために作ったとしか思えません(笑)
いや、何かもう・・・絶対欲しい!
EX90SLは、慣れたせいか不満も出てきたのでもう1ランクレベルを上げたいと思っていたところ、この絶妙なタイミングで出てきましたし。
と、夢見たところで、まずはお金を貯めないとと、私は現実を目の当たりにするのです(苦笑)
by Riever (2007-09-17 11:22) 

Virgo

私めなどの戯れ言をしっかり取り上げて下さって感謝です。

Walkmanのスイッチですが、タッチにして欲しかったのは、あのシートが捲れたり、切れたりと80年代のリモコンを知るジジぃの老婆心で御座いまする。
だって、iPodだって、あの手のスイッチですけど、スクロールする方が遙かに多いので、あまり押す事がないのと、保護シート兼滑り易さシートが星の数ほどありますから(^^;)
by Virgo (2007-09-17 16:04) 

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