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フレキシブル・プラットフォーム [Sony・Walkman]

米Sony・欧Sonyでは発表済みの、新型Walkman Sシリーズが日本でも発表となりました。

W.Walkman (Sony Drive)

「ノイズキャンセリング機能」を本体に内蔵し、クリアな音質を追求
高音質技術「クリアオーディオテクノロジー」を採用した“ウォークマンSシリーズ”発売
~1.8型液晶搭載。高画質なビデオや写真も楽しめる~

パソコンなしでHDDに音楽を「貯める」「聴く」ウォークマンへ「持ち出す」HDDコンポ“ネットジューク”3機種 発売
~“ネットジューク”に貯めた音楽を家中どこでも楽しめるワイヤレスプレーヤーも発売~

さまざまな音源からワンタッチでウォークマンに録音できるオールインワンコンポ 発売

8月末に発表された欧米版ではATRACを完全に捨て、対応コーデックをMP3/AAC/WMA/WMA-DRM10/リニアPCMとしたために、日本でもATRACを捨てるのかとさまざまな憶測が飛び交いましたが、今回の日本版Sシリーズでは、何事も無かったかのように、ATRAC/AAL/MP3/AAC/WMA/リニアPCMのサポートということに落ち着きました。

なんでこのようなややこしいことになったのか。

実は春にNW-A800シリーズが発売されたとき、Sonyのオーディオ事業本部長 吉岡浩氏が真相を語っています。

>DRM10には独自のメタリングやリスト機能のルールがあります。それがソニー独自の音楽管理アプリケーションである“Sonic Stage”と干渉するので、今後の対応は難しいと考えています。

新ウォークマンA誕生秘話・インタビュー(Phile Web)

このようにDRM10とATRAC(というよりSonicStage、ちゅうかOpenMGか…)は、実は共存することが技術的に不可能で、ATRACの存在意義が薄い欧米ではDRM10が、ATRACがそれなりの地位を得ているうえに、Napsterが今ひとつ盛り上がらない日本ではATRACが選ばれた結果、今回の地域ごとに異なる製品仕様となったというわけです。

こんなことが可能になったのは、NW-A800シリーズで刷新されたWalkmanのベースプラットフォームが、昔のように専用のハードウェアで動くAV機器的な発想ではなく、汎用的なCPUとOS(この場合Linux)によって、ソフトウェアで動くPC・携帯電話的な発想で設計されているからで、おそらく欧米版新Sシリーズと日本版新Sシリーズ、両方の筐体を開けてみても、中身はほとんど一緒なのではないかと推測されます。

またコーデック以外にも、欧米版では非対応だったノイズキャンセリング機能が、日本版では標準搭載となっていたりしますが、これも逆位相の音を生成するノイズキャンセリング処理が、今回からソフトウェアで出来るようになったからだと思われ、少ないコストで世界の地域特性にあった柔軟な製品展開が可能な今のWalkmanが、いかに優れた設計になっているかがわかります(ちなみにその基幹となっているのがNECエレクトロニクスのPlatformOViA)。

日本版でATRAC対応が優先され、DRM10非対応となったことは、賛否両論あるかと思いますが、少なくとも現在の日本市場でのATRACのシェアを考えると、そうそう捨てることは不可能なわけで、しばらくはこの海外・日本のねじれ状態が続いていくのではないでしょうか。

こうなると心配なのがSonicStage。今後は日本のWalkman/Rolly/携帯電話のためだけに存在する統合音楽管理ソフトとなり、全Walkman向けだったときに比べ、開発ペースが低下するのは避けられそうもありません。

動画転送ソフトも今回からMedia Manager for WALKMANというものに変わりますが、これ海外でPSP/Walkman Phone用に開発された転送ソフトなんですよね(過去記事でもこのときと、このときに取り上げています。)。今後はPC側のソフトをどうして行くかが、Walkman最大の課題でしょう。

それにしても、この“柔軟な基礎設計をいかして地域別に異なる仕様の製品を出す”というのは、HONDA ACCORDの世界共通フレキシブルプラットフォームを思い出します。

6代目アコードから導入されたこのプラットフォームですが、同じ基礎骨格でありながら、日本向けは5ナンバーサイズに、アメリカ向けはアメリカサイズに設計できるという、非常に柔軟なものとなっており、さすがはホンダの屋台骨を支える、中級セダン向けに作られたプラットフォームだなと感心したものです。

車もエレクトロニクス製品も、世界市場相手に過酷な競争が強いられる現代。Walkmanも止まることの無い進歩をしていかないといけないのかもしれません。

 

最後に各製品の正直な感想ですが、

NW-S710F/NW-S610シリーズ…デザインが大雑把で好みではありません、久しぶりに見送りです(^^;)。まぁせめて16GB版があったら考えたのですが。

NETJUKE NAS-M95HD/NAS-M75HD/NAS-D55HD…DLNAサーバ対応となったのは素直に評価。でも95HDは250GBでは全然足りません。最低でも500GBか、出来れば中にSATA HDDを増設出来る設計にして欲しいです。あとHi-MDに対応しないならMDデッキは要りません。

NETJUKE NAS-C5…すいません、VAIO WA1とわざわざ別製品にして混乱を呼び覚ますぐらいなら統合してください。PCとつながるWA1とNETJUKEとつながるC5、というように分けたつもりなんでしょうが、どっちもDLNAなんですからPCとAVの垣根を逆に作ってしまっているとしか…

CMT-M35WM…これはいいですねぇ。もう一声値段が下なら初心者にマジお勧めです。なんたってWalkmanに直接リップですから、転送作業がいらないってのが○。これでWalkmanもコンポも無線LAN搭載して、接続しなくてもケーブルレスで曲が入ったらいいのに(コスト度外視)。


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Doyo

akoustam さん

「NAS-M95HD」辛口ですが、

考え方によりますが、今までの中途半端製品よりは、よく機能を集めたとも、いえるのでは、

アナログの収録、ラジオ放送の声・音楽分離、家庭内LANを介して

同時別ロケ別曲再生。 比較のレベルが違いますが、Appleにはできない

sony技術の集約との第一印象でした。

HD容量が大はベターですが、最近のソニーにしては、まあいいほうでは?

私的には、Rolly含めてほしいなあ…。

今はPS3にホームメディアサーバー的役割を期待しているのですが、

まだ、時間を要しそうですし。
by Doyo (2007-09-12 23:42) 

ATRAC、そのうち参入障壁とかいわれたりして。(^^ゞ

私はMDもアンプもスピーカーもAnyも要らないので、
BluetoothつけてRollyと遊べるようにして欲しいです。
by (2007-09-13 09:19) 

Riever

>Hi-MDに対応しないならMDデッキは要りません。
ユーザーにとっては痛いほど、そう思います。
全体から見ればニッチだと言うことは間違いないですが、もともとSonyが出した規格なんですから、責任持って欲しいです。
たいしたコストもかからないでしょうに・・・。

Walkman S Seriesも、あの大きさになっては少し残念ですね。小さくてノイズキャンセリングだったから良いというように思いましたから。
それにしても、A SeriesでHD Digital AMP搭載は・・・まだかなぁ・・・
by Riever (2007-09-14 17:13) 

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