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新しい時代が始まる [Sony・全般]

PlayStationの父にして、Sony Computer Entertainmentの代表取締役会長兼グループCEO、久夛良木健氏が任期満了に伴って、名誉会長に退くことが発表されました。

役員人事のお知らせ

SCE、久夛良木CEOが取締役を退任。名誉会長へ-6月19日付け。新CEOには平井一夫氏が就任 (impress AV Watch)

表向き任期満了での退任となっていますが、僕はSonyの出井・安藤体制の後を狙っていた久夛良木さんが後継者に指名されず、現在の中鉢・ストリンガー体制になった時から、こうなるのは既定路線だったのではなかったかと思っています。企業の社長争いレースの敗者というのは、往々にしてこういう結果になることが多いですから。

実際PlayStationプラットフォームが絶好調で、Sonyの利益の大半を稼いでいた頃は、久夛良木さんが出井さんの次というのはよく言われていましたし、当の久夛良木さん自身も、SCEがSonyの100%子会社になる時に、「SCEがSonyに吸収されるのではない。SCEがSonyそのものになるのだ。」という主旨の発言をしていたので、我こそはSonyの次期社長、と強く意識していたと思います。

しかし結果は今の通り。

出井さんは、派手で、いかにもSonyらしい花があって、カリスマ型(悪く言えば独裁的)の経営者である久夛良木さんよりも、地味ながらも堅実で「グッド・リスナー(良く人の話を聞く)」と評した中鉢さんを社長に選んだのです。

以前紹介した出井さんの著書「迷いと決断」にも、もうちょっと自分が経営するつもりだったのが、社内で「我こそはSonyの次期社長」という政治的な動きをする一派が目立ってきたので、あそこで中鉢・ストリンガー路線を明確せざるを得なかった、という下りが出てきます。おそらくこの一派というのは久夛良木さんではないでしょうか。

僕は久夛良木さんは技術者として尊敬してますし、ああいうタイプの経営者は大好きで、Sonyの社長は中鉢さんではなく、久夛良木さんが良かったのではと今でも思っていますが、今のSonyに必要なのは、堅実に一歩一歩進めていくタイプだった、時代が久夛良木さんを求めていなかったということなんでしょう。

これで、90年代中盤からSonyの発展を主導してきた人たちはほぼ完全にいなくなって、新時代の経営者がSonyを引っ張っていくことになります。

くしくも同じ4月26日、“エレクトロニクス企業Sony”にとっては異質と言っていい、ネットワーク型動画共有サービスeyeVio(アイビオ)が発表され、開始当初からWalkman、PSPだけでなくiPod 5G、果ては日本の携帯電話の大半にも対応する、という一昔前のSonyでは考えられないような、柔軟な設計のサービスになっています。

発表会の様子を見ても、ストリンガー氏自らプレゼンするなど、並々ならぬ力が入っており、今後もBRAVIA・VAIO・Cyber-shot・Handycamなど、Sonyの機器全般を横串でつないでいく中心サービスに育ちそうな予感がします。

ソニー、PSPやiPodにダウンロード可能な動画共有サイト-夏にHD対応予定。ハードウェアとの連携で差別化(impress AV Watch)

もしかしたら2007年4月26日は、新時代のSonyが始まった記念すべき日として記憶されるかもしれません。

次の時代に向かって、がんばれSony!

そして久夛良木さん、長い間お疲れ様でした&ありがとうございました。1994年12月3日のPlayStation発売以来、あなたにはたくさんの夢と楽しい世界を見せて頂きました。今後はまた新しいフィールドでご活躍されることと思いますが、次の久夛良木さんが見せてくれる世界にも大いに期待しております。


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