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大企業には出来ないこと [気になるモノ・コト]

我が家のプロフィール・プロが壊れて、ついに1年がたちました。

壊れたときから後継のテレビモニターをどうしようかずっと考えてたのですが、結局丸一年結論が出なかった=それだけの価値を認められる製品がどこからも出てこなかった、というわけです(1年間まともなテレビ無しで生活出来たんだから、そもそもテレビは不必要なのではないかとも言えるのですが(^^;))。

そんな中で、僕が購入直前まで行きかけたテレビが一つだけあります。

大きいことはいいこと・・・なのか?(It's a ...)

このエントリーに書いたように、今の僕は「小さい液晶テレビ+SXRDプロジェクター」という視聴環境を構築することを目指しているのですが、この“小さいけど高画質な液晶テレビ”というのが曲者でして、Sonyを筆頭に、SHARP、Panasonic、東芝とみんな揃いも揃って大型化ばかりに目がいっていて、小さいテレビは画質も機能も手抜きな製品しかつくってくれません。

そんな大手メーカーの万人受け狙いのつまらないテレビと違って、小回りのきく中堅メーカーらしくネット直販のみという少量販売で、良いテレビを消費者に届けよう。というナナオの「FORIS.TV」ですが、今回一年ぶりのモデルチェンジを果たしました。

プレミアム液晶テレビ FORIS.TV (EIZO)

今回のモデルチェンジのキーワードは「原点回帰」。

去年の二代目FORIS.TVは、デジタルチューナー搭載が優先で、テレビの機能に絞った形になっていましたが、今回は初代と同じDVDプレーヤーが復活、高音質なスピーカが画面下についているので、オール・イン・ワンで映像を楽しむことが出来るようになっています。

そして誕生以来FORIS.TVの画作りの基本は、「見た目の派手さやインパクトのために意図的な強調をかけることをせず、ソースに忠実な映像再現で自然さ追求すること」であり、三代目も「ナチュラルコンフォート」というコンセプトが掲げられています。

二代目の映像はショールームで見たことがありますが、鮮烈な赤や、着色料まみれの食べ物ですか?というような極端な緑色が出ることもなく、不自然さを廃したニュートラルな映像は非常に好印象でした(その分普通の人が見ると「暗い」「色がくすんでる」という感想が出るかもしれません。)。

そしてテレビのデザインはおなじみの川崎和男氏。

画面部とスピーカ部が上下1対1の大きさのパネルで配置されたスタンド型、というFORIS.TVのスタイルはそのままに、三代目は背面から見ても美しい姿を実現しています。

しかし、無くしやすいリモコンの置き場を背面に設けるというアイデアは、さすが真の意味でのプロの工業デザイナー。機能関係無しに外面をあれこれいじることを「デザイン」と勘違いしている、日本の携帯電話のデザイナーには少しは見習って欲しいものです。

32インチと26インチはSonyのBRAVIA Xと同じく多色展開。ブルー・シルバー・ブラック・レッド・ブラウンの5色から選べるのもさすがといったところ。リビングルーム向けの32インチ、プライベートルーム向けの26/20インチ、どんなシチュエーションでも絵になるたたずまいはお見事です。

個人的に残念なのは、20インチがちょっと手抜きなのと、消費電力が大きく、重量が重いこと。

BRAVIA Sの26インチが109Wなのに対し、FORIS.TVの26インチが125Wと、ちょっと大きめ。製品イメージからいくともうちょっと抑えて欲しい気がします。

それとちょっと怖いのが、初代23インチ→二代目26インチ→三代目32インチと、ラインアップが徐々に大型にシフトしていること。どうもパネルメーカーが大きいのじゃないと良いパネルを作ってくれない、というのもあるようで、将来ナナオが「小さくても高画質」なテレビを作ろうにも、まともなパネルが手に入らないという状況になることも考えられます。

パネルメーカーでは無いというのが、こういうところで思わぬ弱点にならなければいいのですが。

 

こうして新しいFORIS.TVを見てきましたが、結局小さい液晶テレビを求める人間にとって、まともな選択肢と言えるのはこれしかないな、と思います。

でも僕がそこまで評価していながら購入を決断できないのは、「もしかしたらSonyが対抗できるような製品を準備しているのでは?」という期待があるからです。

かつてのSonyは売れ筋のテレビも作る大手テレビメーカーでありながら、どこか趣味性の高い、マニアを納得させるテレビも、必ず製品ラインアップに加えていました(その頂点がプロフィール・プロであり、トリニトロンという独創技術だった)。

それが液晶テレビの時代になり、赤字解消のためにはとにかく売ることが第一になってしまい、趣味性の高いSonyらしい製品は消え去ってしまっています。

すっかり小回りのきかない大企業になってしまったSonyのテレビ事業。なんとかかつての姿を取り戻して欲しいです。そういう意味ではFORIS.TVの手法は一つのお手本になると思うのですが…

そう言えば川崎さんは今年の製品発表会でも良いこと言ってますね。

ナナオ、地デジ/DVD内蔵の“プレミアム”液晶テレビ-「背面」にこだわり。32/26/20型の新「FORIS.TV」(impress AV Watch)

>また、「大阪でテレビCMを放映したところ“FORISはTVCMして欲しくない”と言われた」との事例を紹介し、「FORISは自分で探して見つける製品。FORISを買ったから見に来ない? といえるようなモノを作れている」と新製品への自信を語った。

テレビCMとかで万人受けを狙わず、分かる人間が自分で探して、人にも自慢できるような製品を作ることで、多少高くても買ってもらえるようにする。

ただパネルを大型化するだけで、高い価格を維持しようとする大企業の安易な戦略とは違う、中堅企業らしいナナオの戦略は素晴らしいと思います。


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コメント 6

蔵三

ホントに…たたずまいが絵になるプロダクツが少なくなりました。
後ろ姿や普段は見えない部分にもしっかりメッセージを込めたモノづくり…

大企業には、期待するだけムダなんでしょうか…?

我々は、大画面だけじゃなく、つくりのくしっかりした小型・中型の製品も欲しいんですが…「小さな画面は手抜きでいいや」というのはあんまりです。
by 蔵三 (2006-10-12 00:40) 

ahtoh

ホントに高画質で小さいモデルって出ませんよね~。
かつて14インチWEGAという画期的なモノを出してくれたSONYには期待しているんですが、なかなか出してくれませんよね。

個人的にはSONYパネル搭載単体PCディスプレイをまだ熱望しています(笑)
by ahtoh (2006-10-12 01:55) 

Virgo

初めて、フォリスを見た時は、頭、ぶん殴られた感がありました。

敬愛する川崎和男さんが深く関わってるというのもみそですが、【2】が発表されたから私もそのうちショールームに行くつもりです。実家用に考えてるので。
ちなみに丸の内から銀座3丁目にショールームがお引っ越しみたいですよね。
更に倍の坪数に拡大なんだとか、最初の表参道からすると大出世です。

そういえば、液晶パネルの複数年保証って、フォリスが最初でしたね。
by Virgo (2006-10-13 01:57) 

akoustam

>蔵三さん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

大企業はとにかく無難で、どっからも文句のでないようにした、妥協の産物になっちゃってますね。Sonyだけはそんなことないかなと思っていたのですが、液晶時代になって、どうも普通のドン亀な大企業になってしまった感があります。

さすがのトリニトロンファンの僕でも、今はSonyよりナナオのチャレンジを応援しようかなと言う気分です。
by akoustam (2006-10-13 06:28) 

akoustam

>ahtohさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

14インチWEGAは良かったですね。あのサイズに至るまでフラットなトリニトロン管を持ってきて、デザインもかっこよくて、「手抜きはしないぞ」っていう意気込みを感じました。
by akoustam (2006-10-13 06:29) 

akoustam

>Virgoさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

僕が川崎さんデザインに魅せられたといえば、富士通のINTERTopですね。あのとき同時期に初代VAIO NOTE 505が出てこなければ、間違いなく買っていたでしょう。かっこだけじゃない信念を持ったデザインができる川崎さんこそ、真の「工業デザイナー」と言えます。

あ、ショールーム引っ越し何ですか、銀座三丁目ならSonyビルのついでに行きやすくなるかな?
by akoustam (2006-10-13 06:36) 

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