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携帯電話に5万円は是か非か [携帯電話・NTT DoCoMo]

NTT DoCoMoの第1四半期決算が発表されました。

2007年3月期 第1四半期決算説明会資料(NTT DoCoMo)

ドコモ、第1四半期決算は増収減益に 検索にGoogleを追加、ワンセグ端末を5機種投入へ (impress ケータイWatch)

秋モデルでワンセグ対応端末を4~5機種投入――NTTドコモ (ITmedia +D Mobile)

といっても、ドコモがどれだけ利益をあげたかとか興味ないので(^^;)、どうでもいいと言えば、どうでもいいのですが、中村社長の会見での話に少し注目点が。

まずはワンセグ搭載端末について。

>まもなく発表されるが、4~5台はワンセグを載せていくつもりで計画中 (ITmedia)

>ワンセグ機能搭載端末は、すでに10万台の出荷実績があり、当初の想定よりも多くの人に受け入れられている。また、従来に比べて、2分の1、3分の1のコストで、ワンセグ機能を搭載できるようになった点も大きい。顧客の好みにあわせて機能を搭載した機種を投入したい。 (ケータイWatch)

そろそろ発表されるはずの、秋から年末商戦にかけてのモデル群では、4~5機種はワンセグ搭載になるようです。

ちなみにauの秋モデルにも3機種ほどワンセグがあるようですから、日本の携帯電話のハイエンドモデルは「ワンセグの標準搭載化」が進みつつあります。

個人的にはこれは迷惑な話。

VAIO type U-ZEROでワンセグに接するようになって分かったのですが、現状の番組構成では、よっぽどせっぱ詰まった生中継モノでも無い限り、見る価値を見いだせ無いのです。

「外でも安定的にテレビが見られる」というワンセグのソリューションは、昼間移動中の都市型ビジネスマンあたりが一番の需要になるはずなのに、今の昼間の番組と言ったら、恐ろしくくだらない内容のワイドショーか、どうでもいいドラマの再放送ばかり。

僕としては、CSでやってる「ブルームバーグ テレビジョン」とか「CNN j」でも流してくれないかと切実に感じます(そう言う意味ではスカパーチューナーとリモコン連動させて見ることができる、Sonyのロケフリのほうが使い勝手がいいと思うぐらい。)

そんな使いたいと思わないワンセグが標準搭載になったところで、端末は重く・でかく・高くなるのは確実。しかもバッテリは最大もつVodafoneの905SHでも4時間ですから、電話として動かなくなってしまう恐れを考えると、そうそう使っていられないわけで、できることなら一部の機種が搭載しているだけの「おまけ機能」にしておいて貰いたいです。

でも、ユーザーの思いとは関係なく、ただひたすら無駄に肥大化していくのが、日本の携帯電話だからなぁ…

 

次に秋に迫ったMNP(同じ電話番号で別電話会社に移れるサービス)の話。

>メールアドレスは変わるとか、詳細が分かってきたことによって、各種調査の結果にも出ている通りに、半年前に想定していたよりも(実際にMNPを利用するユーザーは)減るだろう。ドコモの直接の影響としては、普段解約者の数が約200万人いるのに対し、MNP実施後はこれが3~4割増えるのではないかと見ている。 (ITmedia)

メールアドレスもそうですが、いい加減決まらない「MNP手数料」がいくらになるかで、利用率は全く変わってしまうと思います。

僕が聞いている話では、MNPを使って別会社に移ると、

1.元々加入していた携帯電話会社の「MNP手続き手数料」
2.年間契約等の解約金支払いに該当する場合は「解約料」
3.新しく同じ番号で加入する携帯電話会社の「MNP手続き手数料」
4.通常の新規契約時にかかる「新規事務手数料」

という四つの手数料を払わされます。もし出るときと入るときのMNP手数料がそれぞれ3000円とかに設定されると、場合によっては手数料だけで合計12000円~20000円もかかることになり、それだけのお金を払ってまで電話会社を移るユーザーがどれだけいるか、かな~り疑問です。

もしかしてマイラインと一緒で、「大山鳴動してネズミ一匹」ということになるのかも。

 

そしてITmediaの方に僕が最も注目する発言、「SIMロックとインセンティブモデル」の話が載っています。

>SIMロックを外した端末を販売するとなれば、ビジネスモデルは激変する。(インセンティブによって端末の販売価格を安く抑えた)こういう状況に慣れている日本のお客様に対して、SIMロックを外した端末を5万円で売って、果たして買っていただけるものなのか。たとえば“何年使うならこの価格で売る”というヨーロッパ方式など、さまざまな方法を検討することになるのだろうが、そうはいっても非常に複雑な問題 (ITmedia)

以前から「SIMロック無し、インセンティブ無しの、メーカーによる端末販売」を訴え続けている僕ですが、中村社長の言うとおり、仮にSIMロック・インセンティブ無しで販売するということになれば、携帯電話は安くて3万円、高いのになると7万円~10万円になるのは間違いありません。

それを「携帯電話は1円で買うもの」という感覚が染みついている今の日本人が受け入れるかというと、たぶん受け入れられないのかと思います(販売の現場にいると、1万円でも「高い!」とお客さんに怒られることしょっちゅうなんで…)

それでも僕はやるべきだと主張します。

さきほどのワンセグがそうですが、機能の多少にかかわらず同じような価格で販売することになる今の手法では、いるのかいらないのかわからないような機能や、キャリアがインセンティブを取り返すために、通信料金が発生する機能ばかりが重視され、ほんとうにユーザーが欲しい機能が付いてないことがほとんどです。

これが正常な業界と言えるでしょうか。

そして今の1円販売の乱発がもたらしたのは、モノの価値判断をおかしくしてしまったこと。もっと言うならば「モノを大切にしない」人を増やしたことです。

高く買ったものなら「大切に使おう」と思うでしょうが、1円で買ったモノだとそれなりの扱いを受けるのもしかたのないことで、やれ「落っことした」「電池が弱った」果ては「飽きたから」という理由で、まだ買って半年ほどなのに「新しいのがいい」と販売店にやってくる人(特に中高生ぐらいの年齢層)は想像以上に多いんです。

で、まだ利用期間が短いので「機種変更だと3~5万円ですね。」というと、「高い!」「ぼったくりだ!」とまで言われたりします。

企画した人、設計した人、作った人、売った人、沢山の人の努力と苦労が詰まっている製品をその程度にしか大切にしてもらえない。それはすごく悲しいことです。

しかもそういう状況を作ったのは、誰あろう携帯電話業界自身なのですから、まさに自業自得、救いようがありません。

僕としては携帯電話は5万円が当たり前、一回買ったら、修理するとか、電池パックだけ買い換えて何年も大切に使うモノ、そういう世の中になることを願っています。インセンティブ制度の一刻も早い撤廃を。


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NAKATSU♪

携帯電話が一台、1円・・・作る側もやる気を無くしちゃいます。
一年、もしくは半年くらいで、価格も落ちてきますもんね ^^;
ワンセグ携帯、会社でも持ち始めている人がいます。
持つことがステータスになってきているんですね~
と言いつつ、Pのワンセグケータイを狙っていました♪
秋モデルを見て、買い替えようかな~ (〃^ー^〃)
by NAKATSU♪ (2006-07-30 13:18) 

arkstar

ワンセグ否定派な私ですが、その理由の一つが「視聴に耐えるまともな番組をやっていない」からなんです(^_^;)
地上デジタルと同じ番組編成しか取れないワンセグであれば、
未来永劫視聴しようと思わないんですよね。
TYPE-U ZEROの購入を躊躇って結局見送ったのは、ワンセグチューナが外せないという点が気になったので(軽量化の足枷だと考えました)
by arkstar (2006-07-30 16:27) 

ahtoh

>「機種変更だと3~5万円ですね。」というと、「高い!」「ぼったくりだ!」とまで言われたりします。
ここに今の抱えている問題点が凝縮されてしまっているかのようです。
普通で考えれば、コンパクトで通信機能も音楽再生機能もカメラ機能もさらにはワンセグ機能まで有しているハイテク端末が、5万円でも他のデジモノと比較してもまだ安いと思うのですが・・・。
きっとタダ同然の価格に慣れさせてしまったことの問題点ですよね。
by ahtoh (2006-07-30 19:24) 

SOYN

>「SIMロック無し、インセンティブ無しの、メーカーによる端末販売」
今の日本の端末と海外の端末を比較すると、やっぱりこれ↑がネックになって端末が面白くならないのかなぁって気分になります。
本当にそんな機能必要かぁ?って機能がデフォルトになってたりしますし。
ユーザーがSIMロック・インセンティブ有り・無しを選択できるような形になれば一番いいのかもしれませんが、値段の高い方を選ぶ人が少ないことを考えると、それ用に端末を開発するってのはやっぱり難しいんですかね。。。
by SOYN (2006-07-31 00:20) 

akoustam

>NAKATSU♪さん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

NAKATSU♪さんも今の1円販売当たり前、なんて状況ではやる気も無くしちゃいますよね。それだけの価値しかないのか?ってことになってしまいますから。

ワンセグはステータスになってるんですか?僕らの間では「物好き&野球好きなオジサンのツール」みたいなイメージになっているんですが。
by akoustam (2006-07-31 20:21) 

akoustam

>arkstarさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

僕の場合はtype U-ZEROのワンセグは許せましたね。25万円・500gのマシンが積むのと、2万円・140gのマシンが積むのでは、コストと重量への影響度が段違いですから。

type U-ZEROを身につけるように持ち歩くようになってから、携帯電話は通話とBluetoothとFelicaがあればOKってな感じになってきました。着メロすらつかいません(100%マナーモード)。
by akoustam (2006-07-31 20:24) 

akoustam

>ahtohさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

僕も電子工学を学んだ者として、今の携帯電話にかかっているコストと労力はイヤというほどわかるので、3万円を「高い」と言われると悲しくなってしまいます。

だからこそかかったコストに見合う価格で販売すべきだと思うのですが…
by akoustam (2006-07-31 20:30) 

akoustam

>vaio_trさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

インセンティブモデルの悪影響の象徴的なモノとして、NOKIA6630とそのボーダフォンインセンティブモデル版702NKがあります。

ソフトウェアの一部をボーダフォン用に変えた以外は、ほぼ一緒の両機ですが、たとえばNOKIA版は標準で同梱されている同期ソフト(NOKIA Suite)で、普通にCDから録音した音楽を、簡単に転送してミュージックプレーヤでの視聴・着メロ・着うたにできるのに、ボーダフォン版はその機能がロックしてあり、ユーザー側が知識を駆使して色々と回避策を講じないと同じ事ができません。

それは結局、CDから簡単に着うたにされてしまったら、ぼったくり価格で売っているコンテンツプロバイダが商売あがったりになってしまうからです。こうしてユーザーの利便性は、電話会社・コンテンツプロバイダの利益の犠牲になってしまうんですね。

僕は併売ではなくインセンティブ無しモデルだけに国が規制して、正常な競争をするようにし向けるべきだと思っています。
by akoustam (2006-07-31 20:38) 

Riever

少しコメント遅くなってしまいました。

>高く買ったものなら「大切に使おう」と思うでしょうが、1円で買ったモノだとそれなりの扱いを受けるのもしかたのないことで、やれ「落っことした」「電池が弱った」果ては「飽きたから」という理由で、まだ買って半年ほどなのに「新しいのがいい」と販売店にやってくる人(特に中高生ぐらいの年齢層)は想像以上に多いんです。

>企画した人、設計した人、作った人、売った人、沢山の人の努力と苦労が詰まっている製品をその程度にしか大切にしてもらえない。それはすごく悲しいことです。

非常に胸を打たれました。まったくそのとおりだと思います。技術者がせっせと作ってやっと出来た代物を、自分では作れもしないのに、「飽きた」の一言で終わらせてしまうのは無いんでないかと思います。私も将来「モノづくり」にかかわる仕事をしたいと思っている身なので。

そしてタイトルの「携帯電話に5万円は是か非か」、と問われたならば、私は「是」です。これだけの技術の結晶なのだから、もっと高くてもいいと思うくらいです。

>僕としては携帯電話は5万円が当たり前、一回買ったら、修理するとか、電池パックだけ買い換えて何年も大切に使うモノ、そういう世の中になることを願っています。

私も、そうなることを願います。限りある資源(原材料はもちろん、技術者の腕、コスト、労力など)なのだから、もっともっと大切にして欲しいと思います。
by Riever (2006-08-01 21:29) 

akoustam

>Rieverさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

販売の現場にいると、ぞんざいな扱いを受ける携帯電話をイヤというほど目にするんで、「1円ですよ~」と表向きは売り文句を言いながら、心の底では「それは間違っている」という思いがぬけません。

僕としては、作った人の努力も考えると、5万円の携帯電話を、QUALIAストアのように丁寧な説明で売りたいんですけどね。そういう世の中にはなってくれそうもありません。
by akoustam (2006-08-02 14:13) 

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