人は流れに乗ればいい [ベトナム縦断自転車旅行記]
3月3日朝8時20分、いよいよ自転車旅行スタートです。
まずはホーチミン市内の喧噪を抜けていくわけですが、既に9時前のこの段階で暑いことこの上ない。
そしてあふれるバイクの人々。
こんな中を縫うように走り抜けながら、今日は一路東を目指します。
道はベトナムの幹線道路1A号線ですから、車もトラックもバイクもものすごい数。途中には料金場もあったりします。
1時間ほど走ったところで、スーパーマーケットの側に出店があったので、そこのパラソルの下で休憩。
ベトナムではこうやってパラソルと低い樹脂製のテーブルと椅子を置いた出店が、道ばたにたくさんあって、暑さにやられた人々を潤してくれます。
20分ほど休んだら、さらに東へ走行開始。なんだか立派な建物がありましたが、これはあのカオダイ教の寺院か何かかな。
しかし道路の混雑は相当のもの。ついには渋滞で身動きがとれなくなってしまいました。仕方ないので。橋の路肩に自転車を上げて、止まっている車やバイクの列を横に見ながら走っていきます。
ただ一歩バランスを崩すと河に落ちそうでちょっと怖い(笑)
さらに走ること1時間。今日二度目の休憩をとります。
ベトナムのカフェではお茶が無料で出てくるので助かります。しかし車の騒音が激しくて、のんびり休んだという気分にもなれず…
車の流れに乗りながらさらに走ること1時間。昼の13時前ぐらいにはあまりの日射しにすっかりフラフラとなり、道路沿いのカフェに駆け込みます。
ここで飲んだのはサトウキビを搾って飲む「MIA(ミア)」という飲み物。値段は安い(5000ドン=20円)ですし、味も想像よりさっぱりしていて(炭酸のないスプライトの薄いヤツみたいな感じ(笑))気持ちよく飲めます。
こうして延々と水分を採りながら進んでいくのですが、お腹を下すことがありません。どれだけ汗をかいてるのかってことですね。
ミアも飲み終わってのんびりしていると、目の前にバイクがやってきました。
「ガー!ガー!」
何だ?と思ったら、アヒル積んでるんですね、このバイク。ホント、ベトナムの人はあらゆる物をバイクで運ぶんだから…
これで気分も和んだところで、今日最後の20Km走行に挑んだわけですが、ここからが長い長い登り坂。
最終的には280mまで駆け上がることとなりました。
風もずっと東からの向かい風だし、今日は距離の割に疲れる運命にあるようです。
それでも4時間少々、76Kをm走って、スアンロクの街に到着。
ここはベトナム戦争の最終盤、サイゴン陥落前の最後の激戦が行われたところで、街にもそれを象徴するかのような像が建てられていました。
今は平和な小さな街で、学校が多く、街には生徒さんがあふれています。
そんなスアンロクにホテルはあるのか?何も情報無しで来てみたのですが、一軒だけありました。
この「ホテル616」他にも選択肢はないし、ぼったくられるかなと思ったのですが、25万ドン(1000円)で広い広い部屋に、エアコン・液晶テレビ・冷蔵庫・ホットシャワー付き、しかもホテル内無料無線LANで何でもつなぎ放題という、とんでもなく設備の整ったホテルでした。これはラッキー。
シャワーも浴びて一息ついたところで、街に出てみます。
ここで気づきました、僕の左足、右側半分だけ日焼けで真っ赤になってます。
今日は丸一に日にわたって東に向かうだけの日。つまり太陽はずっと自分の右側からあたっていたわけで、そうしたらこんなことになってしまうんですね。
街に携帯屋がたくさんあって、職業病で色々と話を聞いてしまいます。
端末はNOKIA中心で、やっぱりこういうラインアップになるんだなぁ。Androidスマートフォンの展示は一台も無し。
さて、街の散歩も終わってホテルに戻ると、ロビーで一人の若者から
「こんにちは」
と声をかけられます。え?こんな辺鄙な街に日本人?ここには観光資源は何もないし普通の人は通過するはずだけど…と思ったのですが、彼がここにいる理由は簡単でした。僕と同じ自転車野郎だったんです(笑)
この岡山から来ているS君。2月中旬にハノイからベトナムに入り、いったんベトナムを南下したあと、カンボジア→タイと抜けて、4月の中旬にバンコクから帰るという計画で走っており、ハノイ出発から20日目にして、ちょうどホーチミンの手前80Kmのこの街にたどり着いたというわけです。
彼の自転車はARAYAのランドナータイプ。ペダルはクリップもない普通のもの、ギアレバーもダウンチューブにあって、ブレーキはカンチブレーキ。
とおよそ「若さと体力があるからこそ出来る」とでもいうような、クラシカルな装備でやってきています。
しかもこれが彼にとって初めての海外旅行。バイク乗りでツーリングの経験は豊富なようですが、初海外でベトナム・カンボジア・タイの三カ国を自転車で走り抜けようとは、なかなかの根性です。
そういえば僕の初めての海外は23歳になる年、それまで海外どころか飛行機にも乗ったこと無いのに、アラスカまで自転車担いでいって、未舗装のデナリハイウェイを走る旅でした。
彼は今年24歳だそうで、一円たりとも無駄にしないケチりぶりや、筋肉痛の塗り薬まで日本から持ってくるのに、雨具は全く持ってこないというアンバランスな装備など、まるで16年前の自分を見るような、元気さとちょっとした無謀さには微笑してしまいました。
僕も20歳で何の知識もなく北海道自転車一周したときは、現地で出会った自転車旅行のベテランさんに、
「君すごいなぁ、この自転車と装備で北海道走っちゃうんだ。体力あるからこその芸当だよ」
と微笑されたものです。
人間こうやって年をとっていくんですね。S君もじきに南米とか行っちゃう人になるんだろうなぁ(笑)
お疲れさまっす。
これからの無事な旅を祈っています。
日焼け痛そうですね。
by Santa (2012-03-04 10:30)
日焼けは大丈夫ですか?ベトナムの日差しの強さは凄いものがありますね。日焼けは火傷と同じです。決して甘く考えずにケアしてくださいね。同じ日本人に出会うというのも何かの縁ですね。きっと彼も将来はakoustamさんと同じように世界中を旅するようになるんでしょうね・・・
by as (2012-03-04 17:02)