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VAIO type P 開発者セミナー リポート 基板篇 [VAIO P-ZERO]

1/10(土)、銀座Sonyビル8Fを一日貸し切って「VAIO type P 開発者セミナー」が開催されました。

VAIO type P (Sony)

VAIO type P (SonyStyle)

『どんな製品なのか?』よりも『どんな人が作った製品なのか?』を重要視する僕にとって、こういう機会は絶対に見逃せないもの。今回も“みんぽす”でおなじみのWillVii株式会社さんのお誘いで、無事参加させていただく運びとなりました。

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本文の前に注意事項を書かなくてはいけないルールなので、とりあえずこちらをお読みください。


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みんぽす

 

何気なく写真に写ってますが、今回のセミナーは銀座ソニービルの8F、イベントスペース“OPUS”で開かれており、上のスライドなども、劇場・業務用4KSXRDプロジェクター+200インチブルーオーシャンスクリーンという、ものすごく贅沢な環境に映し出されています。

この不況下になんて太っ腹なんだSony…(^^;

 

さて今回のセミナーにVAIO type P開発者として登壇されたのは、ソニー株式会社 VAIO事業本部 Notebook事業部 1部1課 シニアプログラムマネージャ 鈴木一也氏。

実は僕自身は鈴木一也氏とお会いするのはこれが二回目。2年半前、あのVAIO type UX発売の時にアカディメディアさんの主催で開かれたイベントでも、VAIO type UXの開発者さんとして色々なお話を聞かせてくれました。

そう、VAIO type Pは、以前VAIO type UXで僕らを魅了してくれたスタッフが中心となって、開発されたものだったのです(“マスターすずいち”こと鈴木一也氏は、その他に初代VAIO F / VAIO GR / VAIO GRX / 初代VAIO typeAなどを担当されていますので、僕にとっては“Made by SUZUICHI”なVAIOを買うのは、VAIO GRを含めると3機種目になります。なお夜の懇親会で聞いたお話では、Sonyに入社して最初にかかわった製品は伝説のマシンPalmTopだったそうです。)。

そんな鈴木氏による開発秘話、ものすごく面白くて興味深い話でしたし、僕もボイスレコーダ代わりにHDVカメラで全編撮影してあるので、それをテキストに起こしてもいいのですが、今やその日のうちに動画が上がる時代になったのと、参加者の皆さんのレポートが集合する“みんぽすトラックバックセンター”があるので、あえて僕が書くまでも無いだろうということで省略します(笑)。

 

じゃあ僕らしい視点でお送りできる内容は何かないかと探しまして、セミナー内で公開されたVAIO type Pの基板についてお話したいと思います。

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上の写真がVAIO type Pのメイン基板。

右下の細長い黒いもの(ダイ)が載っかっている正方形のチップがAtom Z CPU(開発コードSilverthorne)、その左隣の大きなチップが、グラフィック機能やI/Oコントローラなどを統合したIntel System Controller Hub (SCH:開発コード Poulsbo)になります。

上に8個整列しているのがメインメモリ(ハイニックス製を積んでいた)で、この基板全体の大きさは約75mm×約65mmという非常に小さなものとなっています(右下Atom Z CPUが14mm×13mmという親指の爪ほどの大きさしかないと言えばわかりやすいかな?)。

鈴木氏が持ち込まれていたtype UXの基板と比べるとこんな感じ。

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基板全体の大きさは上のUXの基板とそれほど変わりませんが、載っているCPUとチップセットの面積が段違い。Core soloでもこんなに大きかったんですね。

次にtype Pの基板で特徴的なのが、フレキケーブルがコネクタではなく直接プリント基板とつながっている“フレックスリジッド基板”

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上の写真は、右側面のUSB/IOコネクターとメイン基板の間を接続するフレキケーブルを撮影したものですが、ほんとに緑色のプリント基板と、茶色のフレキケーブルが完全に一体化されています。

このフレックスリジッドを採用することで、ケーブルコネクタによって生じる無駄なスペースと重量を減らし、ケーブルがコネクタから外れるというトラブルも防げるそうですが、非常に難しい技術でパソコンでの採用はおそらく初めてだろうとのことでした。

メモリースティック/SDカードスロット用サブ基板の接続ケーブルもこの通り、

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プリント基板から直接ケーブルが生えているような姿は、僕には見ているだけで不思議な気分になってくる光景でした。

このメモリースティック/SDカードスロット用サブ基板は、場所的にはメイン基板の真下に配置されるので、このフレキケーブルを直接メインに接続してもよさそうなものですが、フレキケーブルは一旦隣にあるWiFi/WWAN/ワンセグモジュール用サブ基板につながれ、そこからメイン基板に接続されるようになっています。

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裏返しになって「21」とマジックで書かれているのがメモリースティックスロット基板。左にS字に出ているフレキケーブルが隣のWiFiモジュール用基板につながっていて、下にあるメイン基板とは直接つながっていないのがおわかりいただけるでしょうか(上は大きさ比較用のN705iμ)。

このように三つの基板が合体してPCとしてのメインボードが構成されているわけですが、メイン部の表面はこんな感じになります。

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VAIO type P全体としては、この上にキーボードが乗っかる形になっているわけですね。

そしてこれがたぶん本邦初公開になるであろう、“HSDPA-WWANを搭載した”WiFiモジュール用サブ基板の姿です(PC watchSony公式ではWWANの無いタイプ、ITmediaASCII.jpではアメリカ向けCDMA2000 EV-DO版が搭載されたタイプが記事になっています。)。

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手前側の小さなモジュールがPCI Express Half Mini Cardとして搭載された無線LAN、奥側の大きなモジュールがPCI Express Full Mini Cardとして搭載されたHSDPA-WWANです。

なお、マジックで「XTH」と書かれたところにはBluetoothモジュールが乗っかるようになっています。

ワンセグモジュールもWWANと同じPCI Express Full Mini Cardとして提供されるので、ソニースタイルでもどちらか一方しか積めないようになっているわけですね。

で、携帯電話オタクとしては、やっぱりこのWWANがどこのものを使っているのかが気になるわけですよ(笑)。まるでそれを見透かしたかのように、肝心な部分がシールで隠されていますが、モジュールの青い色を見てすぐにわかりました。搭載されるのはこいつですね。

GTM382 (MO 0402) (ベルギーOption社)

スペックシートを見てお分かりの通り、素のGTM382はHSDPA 7.2MbpsだけでなくHSUPAやGSM/EDGEにも対応しており、docomoがイーモバイルに続いてHSUPAサービスを開始すれば、ソフトウェアのバージョンアップで上り通信速度をアップすることが出来そうですし、万が一こいつのSIMロックを外すことが出来れば、SIM入れ替えだけで海外でGSMネットワークを使って安価にデータ通信をしたり、SoftBankのネットワークで使用することも可能になると思われます(docomoのネットワークを使うb-mobileは使えるようですが、残念ながらイーモバイルは周波数自体非対応。)。

まぁSIMロックを解除出来なくても、type Pを分解して海外から輸入したSIMフリーのモジュールと丸ごと交換してしまうという手も…(あ、本気でそんなことに挑戦されようという方がいらっしゃいましたら、完全に保証外の行為になりますのでくれぐれもお気をつけください(^^;))

だいたいdocomoからインセンティブが出てVAIO type Pが安く買えるというわけでもないのに、なんでdocomo SIMロックなんかかけているのか正直全く意味不明です。docomoが悪いのかSonyが悪いのか知りませんけど、ほんと日本の携帯電話業界って閉鎖的で、ユーザーの利便性などこれっぽっちも考えてくれないからイヤになっちゃいます。

そしてもう一つ、「なんでWWANとGPSが一緒にしか選べないんだ」という方も、これで謎が解けたと思います。

VAIO type Pの内蔵GPS機能は、このGTM382が持っているGPS機能を使うので、WWANを搭載しないとGPS機能がついてこないというわけです。

となると、携帯電話のネットワークにつながっていないと使えないA-GPS(アシステッドGPS)か?という心配もありましたが、鈴木氏によると携帯電話のネットワークにつながっていなくても動作するS-GPS(スタンドアローンGPS)で動作するそうなので、WWANモジュールさえ選択しておけば、携帯電話の契約をしなくてもGPS機能は使えるようです。

 

もう一つ基板周りで感心したのが、DC電源入力やヘッドフォンコネクタを収めた基板。

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これまたフレックスリジッドで緑色のプリント基板と茶色のフレキケーブルがいくつもつながっていますが、実際に筐体に収めるときは…

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こういう風に折れ曲がって収まるようになっています。いやぁスペースを節約するためとはいえ、芸が細かい!

そしてノイズキャンセリングヘッドフォンの処理チップも、この小さな基板に収めなくてはいけないため、相当な苦労があったとのことでしたが、何故この機種にノイズキャンセリングヘッドフォンを?という疑問には、「奥行きが小さいVAIO C1が飛行機の中で使いやすいという評価があったので、この機種も飛行機の中で積極的に使う人が多いだろうと考えている。そのためにはノイズキャンセリング機能は絶対はずせなかった。」というのが鈴木氏のお話でした。ちゃんとユーザーの使用シーンを考慮して機能も取捨選択されているんですね。

 

そのほかにも超オフレコ話として、VAIO type Pのマグネシウム天板の秘密話などもSonyの方から聞けたのですが(各メディアの記事でも何故か液晶側は全く分解されていないので、“あれ”は最大の秘密なんでしょう。僕は聞いたときには唖然としてしまいましたが(^^;))、とにかくハードウェアの設計・製造に関しては、見る話聞く話、何から何まで「そこまで手間とお金がかかっているのか!」と驚きの連続でした。

今回のVAIO type P発表を見て「Sonyが話題のネットブック市場に参入!」見たいな取り上げ方をしている、的外れな一般メディアがありましたが、中身を見れば一目瞭然、

VAIO type Pはネットブックではありません。

これは完全に別ジャンル「新世代ウルトラモバイルPC」です。ネットブック市場が盛り上がっているから完全に無視を決め込むわけにもいかなかったとはいえ、よくもこれだけ手間とコストのかかったパソコンを、最低79,800円から売ろうなんていう気になったもんだと思います。ホントありえない超バーゲン価格です。

あえて物議を醸すような言い方をしますが、VAIO type Pをネットブックと比較して「高い!」とか「ソニーはぼったくってる」と言うような人は、いくらなんでもモノを見る目が無さすぎると思います(もちろんモバイルパソコンが不要な方にとってみれば、いくらであろうと高い製品であることに変わりはないわけですが。)。安いだけがとりえのネットブック否定派の僕としては、こういうちゃんとした出来のモバイルPCが他の国産メーカーからも発売されて、不毛な価格競争に蹴りをつけてくれることを願ってやみません。そう感じたVAIO type Pの内部構造でした。

 

次回はセミナーの残りの部分をお伝えします。

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VAIO 505 EXTREME、VAIO T-ZERO 505、VAIO type P、XPERIA X1そろい踏みの図


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kozy

ご紹介ありがとうございます!

最近のセミナーは、分解とかで実際に触れる時間も増えてきたのですが、人がどっと集まってしまうので、なんか気が引けちゃうんですよね(汗)

まともに写真も撮れずに終わってしまいます、毎回(笑)

でも、今回はこの記事で色々と勉強になりました。
ありがとうございます!

次回は、夜の飲み会でのレポートも楽しみにしてます!
by kozy (2009-01-13 10:54) 

Riever

フレキシブルケーブルが基板直づけとはかなり珍しいですね。コネクタを省略する為の小型化というのは分かるんですが、その分修理の対応となると大変そうです。

それにしても・・・どう見てもネットブックじゃないんですが、それは分からないのかなと思ってしまいました(^^;;
by Riever (2009-01-13 12:21) 

かつぽん

確かにイーモバのSIMが挿せて欲しいですよね。
もしくはiPh・・・バキッ!!☆/(x_x)

・・・にしても、最後の10行くらいは激しく同意ですね。
by かつぽん (2009-01-15 15:25) 

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