何もあきらめない [Sony・VAIO]
発表から二週間たって、ようやく銀座ソニービルにこいつを見に行く暇が出来ました。
他にもtypeSとかtypeFとかも出てましたけど、今の僕にとって普通のオールインワンノートは、どうでもいいジャンルなので興味なし(笑)
まずは隣に展示してあるtypeTと並べてみると、デザインの共通性も含めtypeZのコンセプトが一目瞭然。
typeTのモバイル性を基本に、よりメインPCとしての性能向上を図った強化版typeT、まぁ平たく言えば「ザクとは違うのだよ、ザクとは。」ってことですね。
天板と底面の二面がカーボン素材であるところは同じですが、
ノーマルなブラックの天板はざらっとした感触で、ラメの入った塗装など旧typeSから受け継いでいる部分もあります。
一方内側の特徴はなんと言っても、キーボード面からパームレストまでがアルミの一枚板で成形されているところ。
精緻なヘアラインは高級感バリバリで、かなり僕好みな仕上がりです。ただしパームレストのVAIOロゴも、ディスプレイ下のSonyロゴもただのプリントだったのには幻滅(typeTはパームレストがロゴ彫りこみ、ディスプレイ下はメッキロゴパーツはめ込み)。
高級感にこだわるなら、こういう細かいところも手抜き無しで行って欲しかったです。
パームレストのヘアラインの美しさを阻害するFelicaポートの存在は、完全に旧typeSから継承しているので、見た目重視ならVAIO OWNER MADEでFelicaポートレス仕様にすべきでしょうね。
タッチパッドの大型化は以前から考えていて、別にMacBookAirを真似したわけではないらしいです。ディスプレイが16:9とかなり横長なので、もうちょっと幅広なタッチパッドが良かったような気がしないでもありません。
キーボードはたわみ・ゆがみが全く感じられず面全体の剛性感は十分。ストロークが2.5mmあるため、モバイルノートとしては出色の打ちやすさにあると思いますが、同じアイソレーションキーボードでもキーピッチが広いせいか、typeTに比べ妙に「すきっ歯」な印象を与えるデザインに見えなくも。
打鍵感はほんの少しやわらかめで、押し始めが固いtypeTよりも反発力のかけ方は自然な感じがしました。隣においてあった新typeSやtypeFのキーボードとのコスト差は歴然としており、高いだけのことはある出来と言ってよいでしょう。
前面にメモリーカードスロットと各種インジケータ、ワイヤレススイッチがあるのはtypeTと一緒。
シリンダーデザインの右サイドに電源ボタンがあって、鮮やかな緑色に発光するのも同じですが、肝心の使っているユーザーが電源状態を見やすいようシリンダー側面も光るように改良されています。
シリンダーの左サイドはACアダプタのコネクタと、グラフィック切換スイッチがあります。
typeSのように「STAMINA⇔SPEED」を切り替えるたびに再起動する必要はなくなりましたが、一度起動中の全アプリケーションを落とさないといけないので、そんなに頻繁に切り替えるものでも無さそう、っていうか仮に僕がこれを買ったら「STAMINA固定」で運用するでしょうね(モバイルでしか使わないし、3Dゲームなんて外でやりたいと思わないもん)。
右側面は光学ドライブとHDMI端子がありますが、HDMI端子がまぁなんともトリッキーな実装をされてまして、
光学ドライブのトレイ下の小さな空きスペースにネジこまれるように配置されています。
左側面にはExpressCardスロット、USB、iLINK端子がありますが、
さすがにもうiLINKは無くてもいいのでは?
外観はざっとこんな感じですが、旧typeSに比べフットプリントも小さくなり、WXGA++(1600×900ドット)と大幅に高解像度化(展示が店頭モデルだったためその実力は未確認)されるなど、ハイパワーモバイルPCとして他社の追随を許さない、非常に優秀なマシンに仕上がっています。
一点惜しいのはこの本体の厚さ。
TDP35WのCore 2 Duo通常電圧版が入る設計のため、放熱機構等に大き目のものを搭載しなくてはいけないのはわかりますが、多少の性能向上よりもモバイル性能重視で、もう少し本体を薄くする方向性で行く路線もあったのではないかと個人的には思いました。
以上新型VAIO typeZの展示機インプレッションをお送りしましたが、純粋に一つのハードウェアとしては「完成度の高い優秀なプロダクツ」と言い切って良いでしょう。
わずか1.5kg弱の本体に高解像度ディスプレイ・高剛性キーボード・Core 2 Duo・DDR3メモリ・HDMI端子・アナログモデムまで詰め込んで、標準バッテリでも7.5時間駆動(実使用でも4時間はかたい?)を実現するなど、「持ち運べるメインマシン」「何もあきらめない妥協なきモバイルPC」という開発者さんの思いはきっちりと実現されていると思います。
ただこれ買うか?と言われると「う~ん」と答えざるをえません。
僕にとってモバイルPCとは「快適に持ち運べるパソコン」であり、軽量であること、バッテリが持つこと、壊れにくいことが最優先で、光学ドライブや大容量HDDの優先度は相対的に低くなります。
なのでtypeZのディスプレイ・キーボード・バッテリ性能・SSD-RAID128GBといったあたりは、大変魅力的なのですが、光学ドライブ・独立GPU・通常電圧版CPU・HDMI端子などは明らかに過剰スペックなんですね。
正直言えば、このtypeZの13.1インチWXGA++ディスプレイ・19mmピッチキーボードというフォームファクタはそのままに、CPUを低電圧版Penryn専用設計にして放熱機構を小型化、光学ドライブレスによるゼロスピンドル化を行って、質量1Kg以下&本体の厚さ2/3以下を実現した専用筐体の「typeZ Extreme」でも発売してくれたら、さらに借金してでも(笑)買うと思います。果たして僕以外にそんな需要があるのかはわかりませんけど…
結局今回のtypeZは、たくさんのユーザーからの共感を得ようと全方位に気を使うあまり、「VAIOらしい突き抜けた部分」が弱くなってしまった“悲しき優等生プロダクト”に感じます。
「何もあきらめない」「妥協しない」というのは、それはそれで素晴らしいコンセプトであり、実際にパソコンを買うユーザーからも高い評価が得られるでしょうが、投入できる技術とコストに限りがある以上、「何もあきらめない」が「全部をほんの少しずつあきらめる」になってしまうのは避けられません。
やっぱりSonyが作るパソコンなのですから、VAIOには「全部がそこそこ」という平均点主義ではなく、「30点しかとれない弱点はあっても、ある部分では誰にも負けない100点がとれる」個性派主義でモノづくりをして欲しいなぁと思います。
>多少の性能向上よりもモバイル性能重視で、もう少し本体を薄くする方向性で行く路線もあったのではないかと個人的には思いました。
この辺りはTZの後継がやってくれるのかなと思っています。
とりあえずSZでの不満点はキーボードの打鍵感が一番なので、それが今回のでどう変わっているのかが気になって仕方がありません。
by Riever (2008-07-31 10:15)
そうそう、SONYプロダクトが80点主義のTOYOTAになってはダメ。
僕もなんか最初「アルファード/ヴェルファイアみたい」って感じた印象は
間違ってなかったみたいですねぇ・・・
僕は・・・そうだな、いま欲しいのはクルマで言えばFIAT500かな?
EeePC=軽/hp2133=miniみたいな例え方をしたとすれば。
モバイル性能重視で処理速度的にはそれなりでも
乗って・・・もとい持ち歩いて&使って楽しいモノが欲しいです。
by かつぽん (2008-07-31 12:39)
何でPCにFelicaポートが標準装備になっているのか、未だに理解に苦しむのですが(^_^;)
店頭でType Z 触りましたが、食指がピクリとも動きませんでした。
この方向性なら、第三幕「も」厳しいのかなって思います。
「何もあきらめない」のを諦める位の尖り方してる製品を作れるのがSONYだと思ってたのですが。
by arkstar (2008-07-31 14:15)
自分もお台場行ったときに改めて触ってみました。typeZ。
確かにキーボードのタッチ感とかは、前に持っていたFZとかと雲泥の差で、質が高いし、よくここまで高次元でまとめられたなあ、って思います。でも、優等生すぎて面白みが・・・。
by penguin (2008-08-01 00:08)
うーん、やはりここは山椒は小粒でもぴりりと辛いモデルの登場を待つしかないのかもしれませんね。
うーん、そう言えば、今まで買ったVaioって、すべて1スピンドルだという事に読んでて気付きました。
しかも、軒並み、動作にあえぐ系。
実は、Vaioにはマゾスティックなモノを求めてるのかなぁ。(^_^;;
by Virgo (2008-08-01 01:33)
映像系の人間としてはiLINKは大切なんですよ。
これがなくてはソニーとはいえない。
SDビデオはまだ現場では多いんです。
否定的な意見が多いですが、私は買いですこのマシン。
液晶の色再現性もよさそうだし、
このくらいのスペックがあれば編集室でも3Dの修正もできそう。
テキストやちょっとした画像を扱うにはオーバースペックでも
私にとってぴったりなマシンです。
あと、結構とんがっているマシンだと思います・・・価格が(笑)。
by stash (2008-08-13 13:42)