SSブログ

崩壊する護送船団 [携帯電話・NTT DoCoMo]

今日はやっぱりこの話題に触れないといけませんかね…

se_press.jpg

2008/03/10 [お知らせ]3月10日付 一部報道に関して(ソニーエリクソンのプレスリリース)

騒動の元となったのは、今朝の日経の記事。

ソニー、ドコモ向け携帯電話から撤退・国内事業を縮小 (NIKKEI NET)

明らかに内部では決まっていた事を正式発表前にリークされただけなので、「まだ決まった事実はない」という言葉でお茶を濁すしかなかった東芝やパイオニアと違って、即座にソニエリから、

>ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは、日本国内での携帯電話の開発事業を縮小する計画はありません。

と正式に否定されたことから、一応『撤退決定』というのは、現時点では日経の飛ばし記事だったと思っていいでしょう。しかし同時に、

>ソニー・エリクソンは、NTTドコモ向けの商品化計画について、一部見直しを図っていることは事実

とも書かれていることから、906i/706i以降の端末開発を一部縮小もしくは開発中止し、開発要員を海外向けにまわす方向で動き出したというのも、ほぼ間違いないと思われます。

先週三菱電機の撤退が発表されたとき携帯電話研究家の木暮祐一氏が書いていましたが、既に906iシリーズの発表・発売まで数ヶ月を切っている今になって、このような話が二社からほぼ同時に出てくるということは、最近DoCoMoと各メーカー間で2008年度の端末納入や販売戦略について何らかの話し合いが持たれ、無理難題を吹っかけられたメーカー側がついにDoCoMoに愛想をつかし始めたのが表面化した、今回の報道の背景はそんなところではないでしょうか。

ソニエリと三菱に共通するのは「日本向け携帯電話端末事業が主力事業では無い」ということ。無理に儲からない事業に多額の資金と人材を投入するより、有能な人材は主力事業に回して、そっちの競争を勝ち抜くことが優先というのは、しごくまともな経営判断だと思います。

特にSonyEricssonは、今でこそ世界4位の端末メーカーとなり、世界3位の座さえ射程圏内に入ってくるほどの存在となりましたが、ほんの2年前までRAZRシリーズでわが世の春を謳歌していたMotorolaが、今年端末事業の分社・売却がささやかれるほど暗転している状況を見れば、この業界まさに一寸先は闇、今の地位に安閑とはしていられないという危機感を持つのも当然で、「何の得にもならん日本向けなぞやってられるか!」と考えるのも良くわかります。

今までDoCoMoは、FOMA開発費を何百億円単位で補填したり、MOAPなどの共通プラットフォームを供給し、ソフト開発の軽減化を図るなど、あらゆる手を尽くして「DoCoMo護送船団方式」でメーカーを囲ってきましたが、この世界大競争時代にその戦略は通用しなくなりつつあります。

一方のauもcdma2000という負け組規格を採用してしまった以上、KCP+というau端末金太郎飴化プラットフォームで開発コストを限界まで抑え、あらゆる手でメーカーを囲っておかないといけないのはDoCoMoと一緒。ハイリスク・ローリターンな国内でしか通用しない機能・サービス満載の状態では、護送船団方式でも端末を作ってもらえない状況になってきているのです。

よく「日本のやり方は日本のやり方で良い面がある。海外の真似なんてしないでこのまま行けばいいじゃないか。」という意見を見かけますが、もう「日本は日本」と言っていられないぐらい状況は悪化する一方です。このままだとこれから数年で日本の端末メーカーは一気に減少することになるでしょう。

そしてキャリアによる囲い込みを残したままの端末メーカーの減少は、僕らユーザーから一段と端末の選択肢を奪い、せっかくのモバイル社会の可能性を狭めていくことになりはしないでしょうか?一時期のVodafone/SoftBankが実質的にSHARPと東芝の二択になってしまったときのように。

やはり通信キャリアとメーカーの事業領域を完全に分離し、メーカーには世界で勝負できる端末を自由に作らせ、販売・修理等は普通の電化製品のようにメーカーが行う。キャリアはメール機能をSMS/MMS、携帯向けブラウジング機能をWAP2.0で統一し、アクセスポイント設定を開放。日本・海外関係なくユーザーが端末を自由に選べるようにして、自分たちは契約者に品質の高い回線を、より安い価格で提供することに専念する、日本の携帯電話をこのカタチに作り変えるときが来たように思います。

キャリアが独自仕様を押し付けるのを止めるのが先か、日本メーカーが疲弊して脱落していくのが先か…


nice!(15)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:パソコン・インターネット

nice! 15

コメント 8

kozy

akoustamさんがいつも書かれてる、キャリアとメーカーの分離って、個人的にはそうあるべきで、そうなるしか生き残る道はないと思うのですが、実際の実現度ってどうなんでしょうかね?

数年掛けてゆっくりやっていけば、混乱も少なく浸透するんでしょうかね?
ま、やり方はいろいろありますよね?


by kozy (2008-03-11 12:35) 

かつぽん

端末を販売する、という甘い蜜。
電波という甘い蜜を吸い慣れているキャリアが
そんな甘い蜜を放り出すはずがありません。
いくら日本メーカーが放り出したとしても、
LGや三星なら付き合ってくれそうですしね(爆)

by かつぽん (2008-03-11 13:06) 

Riever

キャリアは「今の方法でやっていった場合のトータルのメリット」が「大幅に事業変更をした場合のトータルのメリット」を下回るギリギリのラインになるまで、方針を変えず粘るでしょうね。
ただ粘りに粘って少しでも時期を逃すと、メーカーがみんな脱却して「この先どうすんの?」になりそうですが。
by Riever (2008-03-11 17:59) 

ショウヘイ

日本での携帯市場は下降するのは間違いないのですから、今のままでは駄目ですね。
他の業界もそうですが、出来ないことは出来ないとさじを投げるのも必要でしょう。
そこで初めて次ぎどうすんねんとなるのですから。
どっかにしわ寄せでは、必ず破綻します。

横並びの企画では、メーカーとして違いを出すには無理でしょう。
ドコモちゃんもいい加減にしないと誰も相手しなくなりますよ。
うちの社員に聞いたら、DoCoMoは年寄りですって。
若い人はSoftBankでその中間がauだそうです。
そう言えば私の周りは、みんなドコモでした(笑)。
by ショウヘイ (2008-03-11 18:01) 

NO NAME

連投で申し訳ございません。
木暮祐一氏の記事を読ませていただきました。
古い業界は何処でも同じですね。
護送船団方式の弊害ですね。
ちなみに繊維業界では、とっくに政府に見放されましたのでメーカーが独自で動いています。
メーカーは日本国内ではなく独自で海外に出てます。
そうすると日本のしきたりがいかに矛盾しているかと言うことがわかります。
戦前はメーカーが強かったのですが、知らん間に流通が強くなり、メーカーがそれに耐えきれずにさじを投げたのが良かったのではないでしょうか?
あまり言うと語弊がありますが、アパレル、百貨店を見ればドコモとかぶるなあと。
by NO NAME (2008-03-12 10:48) 

Virgo

知らず知らずのデジタル鎖国。

知らぬが仏とはよく言ったもので、大半の方は、全然気にもしてないのも事実です。

悲しいかな、携帯も80年代の腕時計と同じ道を辿るのかな・・・・
by Virgo (2008-03-13 00:44) 

ハンディフォン

世界的に見て、同一レベルにしたほうが良いのなら、ユーザも変わらないとですね。ここまでつながる国は他にないですから。
コミュニケーションツールとしての携帯は捨て、携帯は固定電話にかける時に電源入れるだけとかならキャリアも採算取れるでしょうけど。

by ハンディフォン (2008-03-14 00:03) 

0x20

http://kirik.tea-nifty.com/diary/2008/03/post_1486.html
3/17の「ソニエリ・ドコモ転進、OEMに専念」関するエントリはかかれないのでしょうか?
こちらの観測範囲では上記サイトと読売新聞のみが言及し、
他サイトはスルーされているご様子です。
#観測範囲に引っかからなかった?/ニュースバリューが低かった?

by 0x20 (2008-03-21 17:40) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。