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NW-S706F/T Review 音質評価篇 [Sony・Walkman]

新型Walkman NW-S706F/Tレビュー、今日はこいつの音質を評価していきます。

先に結論から書いてしまいますが、NW-S706F/T、高校生の時にカセットウォークマンを買って以来僕が使ってきた歴代Walkmanの中でも、「史上最高音質のWalkman」です(ちなみに今まで最高音質だと思っていたのは、かなりマニアックなこれ。)。

SonyStyleからモノが届いて、まず充電をし、SonicStage4.1をインストールした後に曲データを転送、再生ボタンを押して飽きるほど聴いてきたoasisの「Whatever」が流れてきたときは、あまりの音の良さに声を失いました。

イントロのギターストロークの粒だちのいい音、そこに絶妙のバランスでからんでくるストリングス、高域から低域まで、およそ今までのNetwork Walkmanでは考えられなかった解像度の高さ、ただただ驚くしか無かったのです。

これもSonyが製品発表時に特長としてあげていた「クリアオーディオテクノロジー」のおかげか、一つ一つ検証してみました。

1)周囲の騒音を抑え、音楽をクリアに奏でる「ノイズキャンセリング機能」を本体に内蔵

これは非常に評価が難しいです。僕自身ノイズキャンセルヘッドフォンを使うのは初めてなのですが、その効果は絶大。

低音域を中心にノイズを消し去ってくれるので、地下鉄のトンネルによる雑音、電車内や建物内の空調音、パソコンのファンノイズ、あまりスピードを出していない車のエンジン音なんかは、ほぼ完全に耳に入ってこなくなります。

一方比較的高音域が多い、街中の雑踏の音や人の話し声、高回転時の電車のモーター音なんかは苦手とするようです。

これで雑音に邪魔されず、聴きたい音楽だけを聴くことが出来る、という主旨はわかるのですが、僕はONになると新幹線の耳ツンのような、妙な圧迫感を耳に感じてしまうのです。こればかりは人によって好き嫌い分かれるかもな、と思いました。今までのものに比べれば大きく進化しているようですが、ノイズキャンセリングはあくまでも音をいじる行為なので、原音再生というのとも微妙に違いますし。

ただ、あの小さな本体に必要な電気回路を内蔵し、誰もが気軽にノイズキャンセル機能を使えるようにしたというチャレンジは素晴らしいと思います。松下のこれなんか見てると、使い勝手は雲泥の差ですからね(^^;)

2)ステレオ左右の音の混在を抑制、本来のステレオ感を実現する「クリアステレオ」搭載

この機能は、「HOME」→「Settings」→「Clear Stereo」と辿っていくと使うことが出来ます。

これは予想以上に効果が高いです。一応「※本体付属のヘッドホン使用時に効果が最適になるように設定されています。」となっていますが、MDR-EX90SL使用時でも効果は確認できました。

これがONになると、左右のチャンネルセパレーションが向上して、ステレオ感が良くなると言う触れ込みでして、確かに高域を中心に音の定位が安定し、きっちりと音の広がりを出してくれるようになります。

3)低域音の「歪み」を抑え、クリアで力強い低音を再生できる「クリアベース」搭載

この機能は「HOME」→「Settings」→「Sound」→「Equalizer」と辿っていくと、5バンドイコライザとは、別にクリアベース機能だけをコントロールすることが出来るようになっています。

これも効果は高く、イコライザで低域をいじるのに比べ、非常にバランス良く低域を増強してくれるので、中高域とかに変な影響が出ません。低音重視の人はかなり重宝する機能だと思います。

4)広帯域再生、広ダイナミックレンジを実現する大口径「13.5mm EXヘッドホン」付属

実は今までの音質評価は、全て付属ヘッドフォンではなく、MDR-EX90SLをベースにしています。

この付属のヘッドフォンMDR-NC022、こういうポータブルオーディオに付いてくるヘッドフォンとしてはかなりの高級品で、付属のヘッドフォンしか使ったこと無いようなユーザーさんだと、その音の良さに驚くことになると思います。

といっても、純粋な音質評価という目で見てしまうと、やはりコスト的に厳しい付属品レベルであることに変わりはなく、MDR-EX90SLに比べ中高域の解像度が低く、かなり散漫な音を出してきます。

ベースとなったであろうMDR-NC22の仕様を見てみても、EX90SLより再生帯域が狭く、おなじ13.5mmドライバでも、使っているマグネットの磁力が弱いからでしょうか、レスポンスの悪さが目立ち、それが中高域の解像度の低さにつながっているのではないでしょうか。

ま、別売りで1万円弱もするMDR-EX90SLと比べること自体が間違いなのですが、僕は電車の中などうるさい場所ではNC022、多少静かなところならEX90と二本持ち歩いて使い分ける形になりそうです。

 

と、ハード的な音質向上技術を見てきましたが、結局今回のWalkmanの音質向上に最も貢献したのはこれだと思います。

MP3 / ATRAC / WMA / AAC に加え、新たにATRAC Advanced LosslessとリニアPCMの再生に対応しました。

前述のoasis「Whatever」もAALで入れていたもので、SonicStage4.1では「通常転送」に設定されていれば、AALはAALのままNW-S706Fに転送されます。

聴いたその瞬間にわかってしまうのですが、やはり圧縮音源と非圧縮音源ではまるで音が違いまして、CDにはこれだけの音が入っていたのかと改めて気づかされました。

SonyのCM使用曲を集めた「CM STYLE」には、13曲目にWEGAのCMに使われたMichel Polnareffの名曲「Love Me, Please Love Me」が入っていて、その声の余韻とかはATRAC3 Plus 256Kbpsでもかなり消えてしまっていたのです。

逆に言うと、僕自身が長年の間に圧縮音源に慣れさせられてしまって、ただ音楽が流れていればいいというような感覚になっていたことも痛感させられました。これからは多少不便でも、もっとちゃんと音楽と向き合って聴きたいなと思います。

 

今年の頭にコネクトカンパニーの再編が発表されたとき、次のWalkmanは高音質路線で来るのでは?と予想して、今回本当にそうなったわけですが、まさかここまで音が良くなるとは思いもしませんでした。こと音質に関してはライバルを完全に置き去りにしたと言っていいでしょう。

しかし、AALやリニアPCMを活かすには、さらに大容量のプレーヤが欲しいですし、歴代Network Walkmanで問題となったホワイトノイズもほぼ消え去ったとはいえ、アンプそのものもS-masterやHD Digital AMPを搭載するなど、改良の余地はまだまだあると思います。

これで「音の良さなら負けない」というポジションは確保できたので、次のWalkmanにもこの特長を維持しつつ、新しい展開を期待したいところですね。個人的には3G携帯電話の通信ユニットを内蔵して、Napsterの150万曲を「どこでも」水道のように手に入れることが出来る、という方向に行って欲しいところですが。


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Akihito(・。・)

僕が最高音質だと思ってたのはMZ-RH1だと思います。
最初にその音を聞いたとき、透明感があるなあ………と聞きほれたのを覚えています。
MDの技術をふんだんに取り入れた商品で、生録にも特化している現代の
「プロフェッショナルウォークマン」と言っても過言ではないでしょう。
S706もいろいろなレビュー記事で、「ホワイトノイズが解消された」ということで、
今まで購入を控えていた理由が解消されました。
ところで、S706FのS/N比はどれぐらいなのでしょうか?
by Akihito(・。・) (2006-11-03 16:52) 

 こんばんは、akoustamさんの厳しいお眼鏡にかなう音質だったわけですね。私自身は大した耳の持ち主ではないですが、普段RH-1使用していることもあったか店頭でいろいろ試聴してみても、どうしても音の厚みが足りなかったり、奥行き感が足りない感じがしていたのですが、今度のS-700系は良さそうですね。大変参考になりました。
by (2006-11-03 21:44) 

floss

おいしい水を飲み続けていると、水道水が飲めなくなる、というのと同じでしょうか。ふろすもHi-MDウォークマンMZ-RH1で音楽を聴くようになって、音の違いを感じ、で、使い続けている今では、普通のメモリーオーディオの音が許せなくなっているんじゃないかと思います。・・・試してないけど。(;^_^A
akoustamさんは、たくさんのスティック型をお持ちですが、使い分け、されるんでしょうね。(*^_^*)
by floss (2006-11-04 06:11) 

sundayblue

私もノイズキャンセリングをテストしました。
車のタイヤの回る音は聞こえるけど
道路とタイヤの接する音や地響きの低音はカットされててビックリ。
ここまで聞こえなくなるとは思わなかったので
通勤自転車時には使えなくなりました(笑)
by sundayblue (2006-11-04 10:47) 

akoustam

>Akihito(・。・)さん
コメントありがとうございます。

僕もMZ-RH1だけは持って無いんですよね、完全にMDよりDAT派だったんで。DATはフォーマット上の有利もさることながら、マニア向けの製品しかなかったんで、手抜きなのがほとんど無いんですよ。WMD-DT1もアンプがパワー不足なこと以外には文句無かったです。

ホワイトノイズはEX90なら完全に消えますね。付属のヘッドフォンだとNC時にどうしてもノイズが乗ってしまいます。まぁアンプレベルなら90dB後半ぐらいのS/Nがあるんじゃないでしょうか。
by akoustam (2006-11-06 19:53) 

akoustam

>シマリスさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

こと音質に関してはパーフェクトですね。Network Walkmanもついにここまで来たかと思いましたよ。RH1はアンプ回りも贅沢なモノを使ってますから、もしかしたら及ばないかもしれませんが、ちゃんとしたヘッドフォンと組み合わせれば、シマリスさんも満足できる音だと思います。
by akoustam (2006-11-06 20:03) 

akoustam

>ふろすさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

その例えだと、6年半前にVAIOミュージッククリップで圧縮音楽を使い始めて以来、いつの間にやら濁った水道水に慣らされてしまい、久しぶりにおいしい水の良さに気づいたといったところでしょうか。

スティック型はE507が引退、S205がスポーツ時、S706が通常仕様ということになりそうです。
by akoustam (2006-11-06 20:07) 

akoustam

>sundayblueさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

ゆっくり走っている車だとエンジン音やロードノイズが消されてしまうので、結構歩行中も危険かもしれませんね。僕はEX90での運用がメインになっています、音質も良いですし。
by akoustam (2006-11-06 20:12) 

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