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Global Cyber-shot [Sony・Cyber-shot]

既報の通り、Cyber-shotに二つの新機種と、新たな周辺機器としてGPSユニットが発表されました。

昨年11月、低迷していたCyber-shot復活の切り札として、「薄型・光学三倍ズーム・光学手ブレ補正」という市場のトレンドに正面から取り組んだDSC-T9は、しばしば各種販売ランキングの上位に顔を出し、IT系ライター各氏からも高評価を得るなど、久しぶりのヒット作として、Sonyのデジタルイメージング事業の業績回復にも貢献してきました。

今年4月になって、T9をベースにバッテリ・液晶画面を大型化し、長時間撮影とさらなる高画質を実現したDSC-T30が登場、こちらも高い評価を得ますが、Tシリーズが持っていた軽快さ、デザインの良さが微妙にスポイルされ、T9ほどの話題作とまではいきませんでした。

それならこれでどうだ、と言わんばかりにT30の性能をT9サイズに詰め込んだDSC-T10が今回登場し、さらに初めて買う人の為のエントリーデジカメとして、地味ながらもCyber-shotのラインアップを支えてきたDSC-W30にも、上位機DSC-W50が出てきました。

米コダックがデジカメ製造から撤退するなど、厳しさを増す市場環境の中で、SonyがかつてのPシリーズ全盛時のような勢いを取り戻すことが出来るのか、今回の二機種を見ていきましょう。

 

デジタルスチルカメラ Cyber-shot DSC-T10

1. 「光学式手ブレ補正」機能と「高感度ISO1000」に対応

前機種T9は光学式手ブレ補正と「ISO640」という組み合わせでしたが、T10はT30に起用された新CCDを持ってきたので、最高感度はISO1000に上昇しました。

またT30と同じく、新しい光学式手ブレ補正機構のアルゴリズムが採用されているので、T9比でみれば「さらに手ブレに強い」デジカメになったといえます。

光学手ブレ補正の効果やISO1000のノイズの乗り方は、T30ユーザーである僕が、以前記事にしたので参考にしてみて下さい。

Cyber-shot T30 vs T7 比較撮影レビュー

2. 有効720万画素Super HAD CCDとカール ツァイス「バリオ・テッサー」レンズ搭載

これもT30と同じCCDを起用したので、600万画素から720万画素と高画素化しました。

そして今回もまたまた光学系は同じモノが継続です。新しいCyber-shotが出るたびに言っていますが、なぜこのレンズにこだわり続けるのか、そろそろ新開発してより明るくするとか(屈曲式なのでかなり難しいとは思いますが)、より広角側に振るとか、手を付けなくてはいけない部分がまだまだあると思うのですが、ここらへんの進歩しないところが、今ひとつ市場での評価が高まらない原因なのではないでしょうか。

3. スタイリッシュなデザインと4色カラーバリエーション

 

 

T10最大の優位点はここでしょう。

性能と引き替えにぼってりしてしまったT30と違い、「スタイリッシュな薄型デジカメ」というTシリーズのアイデンティティを取り戻しました。

毎度恒例の大きさ比較をしますと、

DSC-T1  91mm×60mm×21mm 重さ 180g
DSC-T7  91.7mm×60.2mm×14.7mm 重さ 136g
DSC-T9  89.7mm×54.9mm×20.6mm 重さ 159g
DSC-T30 95mm×56.5mm×23.3mm 重さ 169g
DSC-T10 89.7mm×54.9mm×20.6mm 重さ 165g

なんとT9と全く同じサイズです。明らかにT10の目標が「T30の性能とT9のサイズを両立させる」でスタートしたのが分かる結果です。今までシルバー・ブラックの2色展開だったT9&T30と違って、4色展開になったのは評価高いですね。

そしてT9と同じサイズを実現するために犠牲になったのが、液晶画面(3.0インチ→2.5インチ)とスタミナ(約420枚 / 約210分→約250枚 / 約125分)。T30ユーザーの僕に言わせれば、この二つは使っていて恩恵が大きいので、多少のサイズを気にしないという人なら、T30の方がお勧めかもしれません。

その他基本的に中身はT30と同じなので、マクロ二度押しで拡大鏡モードに入れたり、動画撮影でズームが出来るのはT9比で強化されています。

 

以上T10を見てきましたが、見事なまでにT9とT30のいいとこ取りのような出来になっており、あとはその人の好みでどれを選ぶかだけが問題でしょう。

逆に言うと、これといった大きな進歩をしていないので、新規ユーザーならともかく買い換えユーザーにはかなり微妙なカメラだと思います。

他社にこんなかっこいいデジカメがないので、買う価値は十分あると思いますが、光学手ブレ補正搭載に続く「何か」を実現しないと、このままではなかなか存在感を示すことが出来ないと思います。

ただこれ安いんですよね、ソニスタ価格40,000円でスタートですから。

 

デジタルスチルカメラ Cyber-shot DSC-W50

今年3月に発売され、Cyber-shotのボトムラインを支えるエントリー機として、地味に売れ続けていたW30がわずか半年でモデルチェンジすることになりました。

1. 「手ブレ」「被写体ブレ」や暗い場所での撮影に効果的な高感度ISO1000に対応

前機種のW30から引き続き搭載されるISO1000対応のCCDですが、同じISO1000を売り文句にするT30の経験から言うと、このCCDの売りは最高感度のISO1000ではなく、「多少高感度にしても画像が破綻しないCCD」=「より速いシャッタースピードが切れる」というところにあると思います。

コストの関係上光学手ブレ補正はついていませんが、手ブレしにくいシャッタースピードで切れるようになっていますので、十分「手ブレに強い」といえるでしょう。

でも初心者向けの機種だからこそ、しっかり脇を締めて構えるなどの基本が抑えられて無くても手ブレしにくい、という意味で光学手ブレ補正あったほうがいいと思うんですが、もしかして沈胴レンズ用の光学手ブレ補正機構が実用化できていないのでしょうか、それはまずいような気が。

2. 2.5型の大型液晶モニター搭載で、初心者の方にも簡単・便利な操作性を実現

W30から最も変わったのがここ。2.0インチ8万ドットから、2.5インチ11万ドット液晶と、一気に大きくなりました。大きい画面は見やすいので大歓迎ですが、やはりエントリー機らしくT10などの液晶(2.5インチ23万ドット)に比べ解像度は半分、これは致し方のないところですね。

ちなみに「クリアフォト液晶プラス」ではありません。

3. 有効600万画素Super HAD CCDと光学3倍ズームのカール ツァイス「バリオ・テッサー」レンズ搭載による高画質記録

レンズ・CCDは継続です。Tシリーズの屈曲系と違い沈胴系のレンズは、広角側では明るいけど望遠側では暗い、という特性になっています。これももちょっと広角側に広げた方がいいような。

4. スリムなデザイン

エントリー機とは思えない、前面ヘアライン加工を施してくるというのはさすがSonyですね。安い機械を安っぽく見せないための努力には、毎度頭が下がります。

サイズ全体はW30よりほんの少し小型化しています。

 

Tシリーズに比べ、どうしても地味な印象になってしまうWシリーズですが、実は光学ファインダーを搭載しているなど、カメラとしての基本はきっちり押さえた良機でもあります。

これで光学手ブレ補正が付いていたら、Tシリーズを超えるヒットも期待できそうですが、やっぱり沈胴レンズ用の光学手ブレ補正機構、開発が出来てないのでしょうか。

 

このように新しいCyber-shot二機種を見てきましたが、今回の発表には目玉がもう一つ。

撮影画像を位置情報と共に管理できるようにするための新オプション「GPSユニットキット」です。

GPSユニットキット GPS-CS1K

カーナビや携帯電話の普及で、今やすっかり身近なものになったアメリカの位置情報システム「GPS」ですが、これとデジカメを連携させるというアイデアを今回Sonyは提案してきました。

しかもそのためにデジカメ側に接続端子や特別な装備がいらないよう、GPSユニットキットが単独で位置情報を記憶していき、後でデジカメの撮影画像が持つ時間情報と一致させることで、その写真が撮られた場所を特定するというのはよく考えたなと思います。

1. 撮影した画像データを「ドラッグ&ドロップ」の簡単操作で地図上に表示し閲覧を楽しめる

GPSユニットキットには、日本地図ソフトとして「Super Mapple Digital Ver.7 for Sony(昭文社)」、GPSの位置情報を管理するソフトとして「GPS Image Tracker」が付属しており、GPSユニットからUSBケーブルで位置情報のログをPC上に取り込んだ後、デジカメの画像をMappleの地図上にドラッグ&ドロップするだけで、その画像が撮られた場所に次々と自動配置されるようになっています。

Sonyサイトの注意事項にも書いてありますが、この位置情報のマッチングに時間情報を使っているので、デジカメの時計は正確に合わせておく必要があります。

これからはCyber-shotも標準電波受信型の電波時計機能とかを内蔵する時代がくるかもしれませんね。

2. 2006年8月以降発売の“サイバーショット”“ハンディカム”に同梱の画像管理ソフトウエア「Picture Motion Browser」との組み合わせによるGoogle Mapsとの連動

今度のCyber-shot・Handycamから「Picture Motion Browser」という新しい画像管理ソフトが付属するのですが、このソフトにGoogle Mapsとの連動機能が付いていて、「マップビュー」という閲覧方法をとると、画像が世界地図上に配置されて表示させるという機能が付いています。

また2006年8月以降発売のマシンでなくても、

>既発売の『DSC-T30/W30/H5』及び“DSLR-A100”は、『GPS-CS1K』の付属ソフト「Sony Picture Utility」を使用し、パソコンにインストール済みの画像管理ソフトをアップデートすることで、世界地図機能を使用可能です。

となっておりDSC-T30ユーザーの僕は嬉しいところ。東南アジア旅行の時に持っていたT7にこの機能が付いていればなぁと思ってしまいます。

 

デジカメの普及率も高くなり、新規需要の開拓が難しくなってくる中、各社は色々な使い方を提案して掘り起こしを狙っていますが、SonyはGPSとの連動という手を打ってきました。

これがどれほど市場から受け入れられるか分かりませんが、来年4月から3G携帯電話へのGPS搭載が義務化されることを考えると、「携帯電話のカメラからステップアップしましょう」というアピールをするのに、GPS連携はなかなか面白いと思います。

ただ撮るだけでは終わらない、という新しいデジカメの世界を垣間見せるこのGPSユニットキット、流行るといいなぁ。


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コメント 10

sundayblue

T30の機能が使えてコンパクトになったT10。
うむむ。
一旦買ったら、長い間買い換えない私としては悩みどころです。
T10のカラーヴァリエーションにダークグリーンがあったら
絶対に即買うのに。ピンクじゃ心が動かないな~・・・
そんなに「ピンク」の色に需要ってあるんだろうか、独り言(笑)

でもこのGPSユニットキット。すごいッ!
旅が楽しくなりそう。
地図上で自分の足跡を視覚を通して感じる事ができるなんて魅力的だなぁ
by sundayblue (2006-08-03 10:54) 

akamaru

画面が多きほうがやっぱいいかも
by akamaru (2006-08-03 15:03) 

現在地味なW30ユーザーですが、W50は液晶画面が大きくなった分若干撮影枚数が少なくなったみたいですが、スタミナ性能は充分って感じですね、もう少し上達したらTシリーズにステップアップしたいと思っておりますが、ピンクなんかはうちのかみさんが好きそうな色ですね。
by (2006-08-03 20:59) 

akoustam

>琥珀さん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

携帯電話の世界ではピンクは必ず一定の需要がありますが、実は女性からの「グリーン」の要望って結構多いんですよね。でも、グリーンのデジタル機器ってほとんど見ない…今年の流行から行けば「ホワイト」がお勧めですが、いかが?
by akoustam (2006-08-05 01:28) 

akoustam

>あかまるさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

T30ユーザーの僕もそう思います。3.0インチ液晶の威力は絶大ですから。
by akoustam (2006-08-05 01:29) 

akoustam

>シマリスさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

地味といっても、ぶっとんだモノ好きのSonyにしては、ってことでWシリーズも普通のカメラとしてはかなり出来がいいですから、光学手ブレ補正にこだわらなければ、Tじゃなくてもいいのかもしれません。
by akoustam (2006-08-05 01:31) 

mineja

ご無沙汰しております。(ブログ引っ越しました)
先月T30購入して、来週再びホーチミンに行きます。
GPSユニットキットもう少し早く発売してくれると嬉しかったんですが、ナカナカ
面白そうなので是非購入したいと思います。
#しかしT30使い勝手良いし、3.0インチ液晶見やすくてナイスです。
by mineja (2006-08-08 23:19) 

akoustam

>minejaさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

お久しぶりです!早速登録させていただきました。来週ホーチミンですか、いいなぁ。あの東南アジア旅行のときに出会った旅仲間も、夏休み中各地に飛ぶようで、みんな羨ましいです。

T30の液晶はいいですよね。多少重くてもバッテリも持ちますし、でも今日T10見てきたんですけど、小さくていい感じ…(^^;)
by akoustam (2006-08-09 14:56) 

mineja

いよいよ明日出発です。(何も準備できてませんが)
以前にコメントさせて頂いたメコンデルタも今回は是非足を伸ばそうと
考えています。
インターネット天国のホーチミン滞在ですので、可能な限り現地での
更新に挑戦したいと思います。それでわ!
by mineja (2006-08-13 21:08) 

akoustam

>minejaさん
いいな、いいな、僕もまたベトナム行きたいです。デタムやフォングーラオなら、ネットには全く困りませんからね。現地更新期待しています。

メコンデルタはくれぐれもぼったくられないようお気をつけて。
by akoustam (2006-08-14 00:42) 

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