Super Steady 第2章へ [Sony・Cyber-shot]
既報の通り、薄型&光学3倍ズーム&大型液晶という、今の日本のコンパクトデジタルカメラの主流となる市場に向けた、Cyber-shotの最量販シリーズ、Tシリーズの新機種、DSC-T30が発表されました。
昨年、市場の最重要トレンドになりつつあった、「手ぶれ対策」で出遅れていたCyber-Shotは、松下電器のLUMIXや、カシオのEXILIMの追い上げを受け、Pシリーズで大人気だった頃の面影はどこへ?というぐらい存在感を失っていました。
そこに遅ればせながら、光学手ぶれ補正機能と高感度CCDを搭載して、「ダブルでブレない」のキャッチコピーを掲げたDSC-T9が登場、見事にSonyの戦略は当たり、久々に各売り上げランキングに常連として居座る、人気のCyber-Shotとなりました。
しかしDSC-T9だけでは、まだまだ玉不足。
過去、DSC-T1にはT11、DSC-T3にはT33、DSC-T7にはT5と、基本設計を流用しながら、よりおしゃれなデザインバージョンの別機種を出すことで、機種バリエーションを増やしてきたTシリーズですから、DSC-T9をベースにして、さらに一機種増やすのは、おそらく最初から計画にあったのでしょう。
これで光学手ぶれ補正機能搭載機が複数ある松下のLUMIXに、少しは対抗できるラインナップになったと思います。
そのDSC-T9のおしゃれバージョン、DSC-T30の詳細を見ていきましょう。
1.「手ブレ」による画像のブレを抑える「光学式手ブレ補正」機能搭載
T9ベースですから、これが最大のアピールポイントになるのは当然ですね。
しかしさすがはSony、ただ基本設計を流用するだけではすませず、補正のアルゴリズムを改良して、より確実に手ブレ補正がかかるようになっています。
2.「高感度」ISO1000対応
被写体ブレ対策になるCCDの高感度化、T9は最大感度がISO640でしたが、T30はISO1000まであげてきました。
2月に発表されたDSC-W30が、1/2.5インチ600万画素CCDでISO1000を達成していましたが、T30では720万画素と、より高画素化して、感度的には不利になっているにもかかわらず、同じISO1000を実現しています。
当然高感度レンジで使用するとノイズがのりやすくなるので、圧縮前のRAWデータの段階でノイズリダクションを行う、「クリアRAW NR」もT9に引き続いて搭載です。ちなみにW30のITmediaでのレビューを見る限り、ISO500ぐらいまで実用レベルの画質で撮影できるようです。
3.有効720万画素Super HAD CCDと光学3倍ズームのカール ツァイス「バリオ・テッサー」レンズ搭載による高画質記録
で、問題なのがここ。
結局「画素数が多い=高画質」という市場の思いこみに抗いきれなかったのか、T9、W30と同じ、1/2.5インチの撮像素子サイズで、600万画素→720万画素と、さらに高画素になってしまいました。
720万画素にするなら、せめて1/1.8インチCCDにしてくれ、とも思いましたが、冷静に考えてみると。撮像素子サイズが大きくなると、ただでさえギリギリまで小さいTシリーズのレンズでは、イメージサークルが不足するので、結局光学系の設計そのものを、一から見直さなくてはいけなくなってしまいます。マイナーチェンジのT30にそれを期待するのは、ちょっとお門違いか。
これは次のフルモデルチェンジで、光学系を新開発してくれることに期待するしかないですね。僕としては、新開発するなら、今の38mm~104mmではワイド端が足りないので、28mm~112mmぐらいの、より広角よりで4倍ズームレンズにしてくれると嬉しいです。
4.3.0型大画面液晶モニター「クリアフォト液晶プラス」搭載
ついに液晶画面が2.5インチから3.0インチに大型化。これでこのクラスは3インチ液晶が標準になるのは間違いないですね。
T9に続いて、あの明るくて見やすい「クリアフォト液晶プラス」を採用してきましたから、画面の視認性は非常に良さそうです。
5.約420枚の長時間撮影を実現
今までTシリーズは、伝統的に電池容量680mAhの「インフォリチウムT」をバッテリに採用してきましたが(T7は除く)、今回のT30は、インフォリチウムTよりも3mm厚く12g重いながらも、電池容量1220mAhの「インフォリチウムR」に変更になっています。
その結果CIPA規格測定法で、T9が撮影枚数240枚だったのに対し、T30は420枚と一気にスタミナアップになりました。
なおこのインフォリチウムRは、Cyber-Shot P100/P150/P200/V3/F88といった機種で使われていますので、これらの機種から買い替え、もしくは併用のユーザーならバッテリの使い回しがききます。
6.こだわりのスリムデザイン
とりあえず単純な数値比較です。
DSC-T1 91mm×60mm×21mm 重さ 180g
DSC-T7 91.7mm×60.2mm×14.7mm 重さ 136g
DSC-T9 89.7mm×54.9mm×20.6mm 重さ 159g
DSC-T30 95mm×56.5mm×23.3mm 重さ 169g
厚くなるのは予想の範囲内ですが、このT30、実は結構横長なデザインなんですね。
その他改良点としては、
・ダイナミックレンジ拡大
これも手ブレ補正と同じく、アルゴリズムの見直しでT9より35%ほどダイナミックレンジが広がっています。これで白とびとかも少なくなりそう。
・2秒セルフタイマー新設
・新ソフト「Cyber-shot Viewer Ver1.0」
・フラッシュ到達距離が最大で6.0mまで伸長
・Tシリーズ初の外付けフラッシュ「HVL-FSL1B」対応
といったところでしょうか。
昨年T9が発売になったとき、日本にいなかったため、すっかり買いそびれてしまった僕ですが、今回待っていたT9のバリエーション機種が登場ということで、すでに購入計画が始動しています。
もちろん自分が買うだけでなく、皆さんにも自信をもってお勧めできる良い機種だと思います。
でも、これでCyber-Shot完全復活かというと、まだまだだなぁとも感じています。
特に最近松下のLUMIXが、より広角よりのFX01や、あのボディに光学10倍ズームをねじ込んだTZ1など、技術的にもアイデア的にも、昔のSonyのお株を奪うような挑戦的なマシンを出してきているので、今のCyber-Shotのおとなしいラインナップにはちょっと不満です。
最近Cyber-Shotのページを見ても、「機種少なくなったなぁ」と寂しさを感じてしまう状態なので、これが大きな反撃前の静けさであることを願っています。
それにしても、この一機種ずつ五月雨式に発表する癖はどうにかならんもんか…
この機種、最新のトレンドをつかんで、とっても良く出来てますが
サイバーショット全体をいうと、ルミックスのようなバリエーションが
欲しいですね・・
コンパクト10倍だったり、あとなんっていっても、広角が欲しいですね~。
W30なんかもだいぶ売れてるようで、これもこのクラスでは結構売れそう
な気がしますし、あとはそういうバリエーションが欲しいですよね。(^。^)
ホント、機種が少なくなってます・・・
だからまとめて発表しないんですかね~。
by はまちゃん (2006-04-09 01:19)
>はまちゃん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。
T30自体はすごく「買い」の機種なんですが、これとT9とW30ぐらいしか売れ筋がないわけで、やっぱりラインナップが少ないですよね。
N1とかH1に今ひとつ存在感が感じられないのが痛いですね。HはH2になるようですが…
by akoustam (2006-04-11 11:55)