iPhone 3G Review 音質評価篇 [携帯電話・iPhone]
iPhone 3Gレビュー、本日は音質評価篇をお送りします。
いきなりぶっちゃけてしまうと、僕はiPhone 3Gを「面白そうな携帯電話」という意識で買っているので、音楽プレーヤーとして使う気がありません(^^;)。バッテリを激しく消費するし、ヘッドフォンのケーブルもうざったいし、別途お気に入りのWalkmanを使ったほうが便利に使えると思っています。
とはいえ、せっかく今のポータブルオーディオの主流であるiPod(の派生版であるiPhone)が手元にあるんですから、音質評価ぐらいはやっておきたいところ。今回は比較対象に
・PSP (PSP-1000)
・Walkman NW-A808
・SonyEricsson W880i
・NOKIA N95 (X02NK)
を用意して、各機器の聴き比べをやってみました(上の写真にあるように当初はN705iμとH11Tも試す予定でしたが、この二つ、音楽ファイルをメモリーカードに入れて聴けるようになるまでが恐ろしく面倒なうえ、AACは128Kbpsまでしか受け付けないというクソ仕様であることが判明したため、あまりに馬鹿馬鹿しくなってやめました(- -;)ホント国産携帯ってどうしようもない機種ばっか…)。
まずは音質評価の前に、iPhoneのシリコンオーディオとしての使い勝手から。
iPhoneはOSにOS XベースのMacOSを採用しているので、言うまでも無く完全マルチタスクで各アプリが動作します。ホーム画面から「iPod」アイコンをタップしてiPod機能を立ち上げ、音楽を再生すると画面はこうなりますが、
この状態からホームボタンを押してホーム画面に戻ることで、音楽が途切れることなくSafariやMailなどを別タスクとして起動して作業を行うことが出来るようになっています。
音楽再生中に着信があると、流れている音楽はフェードアウトしたあとで一時停止され、ヘッドフォンに着信音が流れて、画面も切り替わります。
通話が終了すると画面は元の状態に復帰し、音楽も自動的に一時停止が解除されて再度流れ始めるので、使い勝手としては携帯電話とiPodを別々に持っているのとそれほど変わりません。逆に着信したら自動で音楽を一時停止してくれる分、iPhoneで一体化しているほうが操作は煩わしくないと言えるかも。
少し変わった動作をするのがYouTubeプレーヤーなど音を出すアプリが起動された場合。
この時もiPodタスクで流している音楽はフェードアウト→一時停止しますが、別の音を出すアプリを抜けても自動では再生復帰しません。あらためて「iPod」アイコンでオーディオ機能を立ち上げ、手動で一時停止を解除する必要があります。
使ってみて一つ気になったのが音量調節のアバウトさ。音量0から最大まで16段階しかなく、細かい音量調節が出来ません。せめて倍の32段階ぐらいは欲しかったと思います。
というわけで使い勝手もわかったところで、iPhoneのオーディオプレーヤーとしての音質評価です。試聴に使ったのは以下のCD。
元ル・クプルの藤田恵美さんの洋楽カバーアルバム。音質チューニングにあのSonyアンプ部隊のネ申かないまるさんが参加しているだけあって音質が素晴らしく、最近のリファレンスになっています。
スター・ウォーズ エピソード 2 クローンの攻撃 オリジナルサウンドトラック - 通常盤
- アーティスト: ジョン・ウィリアムズ,ロンドン交響楽団
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
- 発売日: 2002/05/09
- メディア: CD
T-SQUAREはSBMレコーディングに早くから取り組むなど、高音質技術を積極的に導入しているアーティストですが、この「GRAVITY」のDisc2に入っている「Japanese Soul Brothers」は、仙波清彦・本田雅人といった新旧メンバーが一同に介してセッションした音源を、SBM-Directでマスタリングした高音質CDとなっています。
生音ではなく電子音楽の代表として持ってきたのがクラフトワーク。今年もツールは楽しいですねぇ、オスカル・ペレイロ応援しています。
NHKスペシャル「世紀を越えて」のテーマ曲「Beyond The Century」を初めて聴いたときの衝撃は忘れられません。アディエマスの独特の音楽世界は、少しでも良い音質で聴きたいと思わせるものがあります。
この6枚のCDをiTunes7.7を使って「AAC 256Kbps」でリッピング。W880iとX02NKは.m4aファイルを直接ドラッグアンドドロップ、WalkmanとPSPは.m4aファイルをSonicStageに登録して変換無しで流し込むことによって、全機種に同じ音楽ファイルを入れます。
これで純粋に各機器のプレーヤーとしての音質を比較出来るようになりました。使用するヘッドフォンはWalkmanで常用しているSonyのインナーイヤーヘッドフォンMDR-EX90SL。癖や変な色づけが無くモニターライクな音質なので比較試聴に向いたヘッドフォンと言えるでしょう。
まずは藤田恵美。
iPhoneは高域が少し強め。今後エージングで音が丸まるのかもしれませんが、バックのピアノやアコギの優しさが消されぎみなので、こういう女性ボーカルをのんびり聴くにはちょっと不向きな感じです。
PSP/WalkmanはiPhoneよりはおとなしい感じ。特にPSPはホワイトノイズも無く、ボーカルの滑らかさをうまく引き出しています。いつも思うんですけどPSPのアンプってとんでもなく出来が良いんですよね。
W880iはホワイトノイズ多めのため、各楽器の細かいニュアンスが消され気味。ただこの基板サイズで携帯電話/BluetoothなどのRFノイズを抑えているのは頑張っているほうかもしれません。
X02NKは盛大にホワイトノイズが乗ってしまう状態。再生した瞬間から言葉にかけるぐらい「サー」音が響き渡ります。iPhoneと同じく高域強め傾向ですがいくらなんでもこれは強すぎ。とてもアコースティックものを聴くプレーヤーには使えません。
続いてスターウォーズ。
iPhoneはベスト。おなじみのスターウォーズのテーマ曲冒頭のホーンセクションが気持ちよく響き渡ります。こういうキラキラした音質はテンション高めの音楽には最適です。
PSP/Walkmanも良い感じ。昔のSonyのオーディオ機器はiPhoneのような「キラキラ」系のチューニングが多かったのですが、最近はそっちは抑え気味で、ストリングスの滑らかな感じなどちょっとおとなしい音質に変わっているようです。
W880iは全般に固め。高域が強いわけでもありませんが、どうもカッチリし過ぎているような傾向です。
X02NKはホワイトノイズ多め、NOKIAってこんなに音質悪かったっけ?(笑)
CM STYLEは一番聴き慣れたOASISの「Whatever」で比較。
iPhoneはちょっと固い音質傾向がこういうロックにはうまく嵌る感じ。イントロのギターからストリングスが重なって、ドラムとボーカルが乗ってくるとiPhoneの良さが出てくる。
PSP/Walkmanはやはり音が似ている。PSPのほうが繊細な部分まで出せるのはノイズが少ないからか。Walkmanでは普段はこの曲をATRAC Losslessで聴いてますが、さすがにロスレスのほうが音が良い。Walkmanの音の良さはATRACあってこそ?
W880iもロックには向いている印象。固い音質が全体に音楽にパワー感を与えているようです。
X02NKは「キラキラ」を通り越して「シャカシャカ」。シンバルやハイハットの音が伸びる伸びる。これは好み分かれるなぁ。
T-SQUAREはなんといってもソロパート。これだけのメンバーがJAZZセッションのような自由なかけあいを次々繰り出す部分は圧巻です。
iPhoneは「もう少し低域が欲しいかな」という印象。田中豊雪と須藤満のチョッパーベースバトルが少し軽い感じに聞こえてしまいます。
PSP/Walkmanは逆に華やかさが不足気味。特にWalkmanはもっとパワー感がないとドラム・パーカッションソロが生きてこない。逆にピアノソロはiPhoneよりもWalkmanのほうが楽しさ増。PSPは万能選手。
W880iはピアノは苦手?やはり固い音質なのでドラムソロには強い。
X02NKは、楽器が安っぽくなっちゃってますよぉ。
クラフトワークはシンプルな電子音とギャップレス再生をチェック。
iPhoneは音楽をうまくまとめる力がある。高域が強めの音質にもかかわらず、とっちらかったような感じにはならずに落ち着きも失わない。ちょっとステレオ感弱め?ギャップレス再生は問題なし。
PSPはATRACだけでなくAACでもギャップレス再生できるのか、恐るべし高性能。WalkmanはAACではギャップ発生。やはりATRACあってこそのWalkmanということなのかも。
W880iは固めの音質が災いして、すこしまとまらない感じ。このアルバム「ツールドフランス」は強烈なエフェクトのかかった男声が細切れに入ってくるので、そこをうまくまとめないと気色悪い音楽になってしまう。ギャップは大きめに入る。
X02NKはこういうのは向いてるのか疾走感は出ている。でも相変わらず高域は暴走中。ギャップは強烈に入る。
アディエマスはクラフトワークとは逆に女声の滑らかさ勝負。
iPhoneはかなり良い。「Beyond the Century」の終盤、大盛り上がりのサビでは聴いてるこっちもテンションがあがってくる。大人しい音楽より華やかな音楽が得意なのがよくわかる。
PSPもそつが無い。曲序盤の落ち着いたところでは音の綺麗さを感じるし、サビのパワーも失わない。Walkmanは女声を綺麗に奏でる落ち着きはあるのでもう少し力強さが欲しい。
W880iは序盤落ち着かない感じ。高域は良く出ているので、低域のしまりとパワーが必要な感じがする。
X02NKは、だめだこりゃ(笑)。音がシャリシャリと暴れすぎてアディエマスの良さが出せない。なんでこんな高域過多なアンプチューニングになってしまったのだろう。
以上iPhoneの音質評価をお送りしてきましたが、予想に反してiPhone良い音出してます。その昔iPod miniを買って、高域がこもりまくった安っぽい音質に「なんて手抜きなアンプなんだ」と、即刻中古送りにしたのが嘘みたい。
音質は誤解を恐れずに一言で言うなら、
「昔のSonyの音」
最近おとなしい音質傾向にあるSonyのオーディオ機器ですが、10年ぐらい前はまさに「華やか」「キラキラ」といった表現がピッタリな音質傾向にありました。それが人によっては「ドンシャリ」と批判される原因となっていましたが、音楽を聴いて「楽しくなる」という方向としてはそれもアリだと思います。
実際iPhoneも聴いてて楽しくなる・テンションがあがるタイプの音質をしており、「夜寝る前に落ち着いて音楽を楽しむ」という人にはちょっと不向きかもしれません。流行のポピュラー音楽をいつでもどこでも、みんなが楽しめるようにする。iPod/iPhoneが目指すのはそういう使い方であり、ユーザー層に合致した音質にチューニングにされるようになったのは、Appleも「自分たちの製品に必要な音」というものが分かってきたからなのかもしれません。
それにしても、iPhoneで最初に音を聴いた瞬間「これはSonyのオーディオですか?」と思ってしまったのは内緒です(笑)。え?それならiPhoneを音楽プレーヤーとして使う気になったのかって?いややっぱり音楽はWalkmanで聴くと思います。だってiTunes重いあげくに使いにくいんだもん。SonicStageのほうが音楽管理ソフトとしてなんぼ使いやすいか(爆)
p.s.先日読者様よりご質問のあった「SIM無しの状態でもitunesで端末として読み取られますか?」ですが、SIMを抜いた状態でも何の問題も無くiTunesは認識しています。ですので、やはりiPhoneは「解約後もオーディオ機器として使える」ということで間違いないようです。
PSPはゲーム機なのに音作りが異常ですよね。
・・・と、本題はiPhoneでした(^^;;
まともに作られているならそれをiPod(nano)系にも生かして欲しいかなぁと思います。
・・・結局iPhoneから話が逸れました(爆)
by Riever (2008-07-16 18:26)
SonicStage VS iTunes は私にとって、どちらも「う~ん」だったりします(^_^;)
ポッドキャストに対応しているので、iTunesの勝ちみたいな感覚も有ったり。
で、iTunesの音、良くなってきてるんですね。
MP3の場合はどうなんでしょうね?
その昔、CDをiTunesでMP3にリッピングしたのを聴いて、何だこれ?って思ってから、あまり良い印象って無いのですが。
確か、Windows対応の初期版iTunesだったからかも?
それと「昔のSONYの音」、私はキツイかも
ドンシャリ系は・・・(^_^;)
by arkstar (2008-07-16 20:32)
はじめまして。
PSPってそんなに音質がよかったんですね。しらなかったー。
PSPってちょっとでかいけど、なんでもできて実は無敵じゃないかと思っていたけど、音質も良かったとは。
少し買いたくなってきました。
by ジキタリス (2008-08-13 01:00)
ピュアオーディオの音を熟知した基準での評価なのではなく、sonyマンセーの廉価基準の音質評価だということがよくわかりましたw
by もえたん (2008-08-30 14:04)
最高のレビューです☆
めっちゃ役に立ちました♪
ありがとうございます☆
by tom (2008-12-05 23:25)