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Japan Passing [Sony・全般]

Sonyの2007年度第3四半期連結業績が発表されました。

ソニー(株)2007年度第3四半期連結業績のお知らせ (PDF)

プレゼンテーション資料 (HTML)

第3四半期は、10月~12月という一年で最も売り上げが膨らむ年末商戦にあたり、ここでの好不調が通年の業績に与える影響も大きいわけですが、Sonyは全体に好調な年末商戦だったようで、売上高、営業収入、税引前利益、純利益は、四半期として過去最高の業績となっています。

特に改善が著しいのがゲーム事業で、

この3ヶ月間に、PS3が490万台、PSPが576万台、もはやモデル末期のPS2でも540万台のハードが売れ、ソフトもPS3が2600万本、PSPが1830万本、PS2が6090万本を売り上げています。

PS3は前半調子が悪かったので、2007年度の年間売上台数見込みが1100万台→950万台へと下方修正されてはいますが、発売からの累計販売台数は1000万台を突破しており、完全に一つのゲームアーキテクチュアとして離陸を果たしたと言っていいでしょう。

そのせいかPS3事業の赤字は急速に縮小し、来年度後半にはハードの赤字販売状態(いわゆる“逆ザヤ”)すら抜け出せる見通しまでたってきました。

これでこの四半期のゲーム事業は、PS3の赤字をPSP/PS2がカバーする形で129億円の黒字を残すまでになっていて、ゲーム事業がSony全体の足を引っ張っていた時期は脱出したようです。

少し不安要因があるとすれば、PSPがハードの売上のわりにソフトが売れていないこと。PSPはハードが売れても黒字の構造になっているので、ソフトが売れない=赤字とはなりませんが、せっかくこれだけ普及したハードなのですから、もう一段ゲーム機としてのてこ入れがほしいところです。

それとゲームとは直接関係ありませんが、この三ヶ月間にPS3ソフトが2600万本も売れたというのは、BD事業にはかなりのプラスになっていると思われます。

なにせBD-ROMによるパッケージコンテンツの販売が始まったのはわずか1年半前のこと。普通の規格なら、まだ一部のAVマニアとアーリーアダプターに対し、細々とディスクを売っているような時期ですが、ゲームのおかげで早くも2600万枚ものプレスを行うこととなり、0.1mm保護層のディスクを大量にプレスするという技術的なハードルを乗り越え、プレスコストの低減と、ディスクの歩留まり向上が一気に進んだであろうことは想像に難くありません。

HD DVD陣営が「BDはコストが高い、HD DVDのほうが安くプレスできるのでユーザーに優しい。」と喧伝してましたが、それもPS3のパワーで完全に吹き飛んでしまいましたね。

 

逆に喜べない事態となっているのが、このグラフ、

地域別の売上で日本の占める割合がさらに低下(第1・2四半期は17%)し、わずか15%しかなくなってしまいました。この資料を見ていくとわかりますが、海外ではバカ売れ中のCyber-shotとBRAVIAが、日本で思ったほど売れないのが、かなり日本の立場を弱くしているようです(逆にウォークマンなんかは日本が売上の大半を占めている)。

別の資料を見ても、Cyber-shotは海外では相当な人気となっており、

2007年度の年間売上台数見通しは全世界で2200万台を維持!単純に台数だけで言えば、今地球人が最も見かけるSonyのデジモノ製品は、「SonyEricssonの携帯電話」「PlayStationファミリー」の次に「Cyber-shot」がくるということになります。

ここ数年、僕が「欲しい製品がない」と嘆く状態が続いていて、実際国内の各種販売ランキング調査データでも、すっかり不人気カメラとなっているCyber-shotですが、それもそのはずでCyber-shotのメイン市場はあくまで海外。数少ない日本のユーザーに向けて製品を作るよりも、遥かに大きい海外のユーザーが欲しがる企画や仕様で、製品を出すことが優先なのは、当然と言えば当然と言えます(例えば海外(特に北米)では「薄型ボディ」「広角レンズ」はあまり求められていないので、TシリーズよりW/Sシリーズが主力となっている。)。

今海外に主眼が置かれた企画が顕著になってる製品はCyber-shotぐらいですが、このままSonyの中で日本市場の重要性が低下してくると、BRAVIAやHandycam、VAIOなども、日本人にぴったりフィットするような製品が減ってくる恐れがあります。そしてますます日本では売れなくなり、海外向けの企画がさらに増えるという悪循環…

日本の企業でありながら日本人に向いた製品を作れなくなってくる、日本のSonyがJapan Passing(日本離れ)を起こすなんて考えたくもありませんが、それが義理人情ではコントロール出来ない冷たい経済原理と言うもの。結局自分が欲しいと思える製品を出してもらうためには、少しでも製品を買って「日本のニーズも無視するなよ」というメッセージを送り続けていく必要がありそうです(逆に一切買わないことで「そんな企画じゃ日本人は誰も買わないよ」ってメッセージを伝えるのもありかもですね(^^;))


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コメント 4

店員佐藤

akoustamさんのところで久々に1ゲットできたかも!!
日本市場で10%を切ったら、かなりまずいですねぇ。
さすがに日本企業ですから、国内向けに力を入れて
くれると期待しています。
by 店員佐藤 (2008-02-01 00:57) 

Riever

北米ではあまり広角化のニーズがないのですか。国際的な事情を考えると、Cyber-shotは仕方がないのかもしれませんね。ただ、私は諦めませんが(笑)

PSPのハードがよく売れるのは、やはりハード自体の性能の高さからでしょうね。
かくいう私もソフトのない環境で、今まさに、こうしてPSPで書き込みをしているわけですから。
by Riever (2008-02-01 01:19) 

蔵三

買って、しかもガンガン要求していくしかないですね。
by 蔵三 (2008-02-01 08:26) 

ショウヘイ

まさにホンダと同じですね。
あそこも海外、特に北米がメインで日本では不評ですから。
私がUSにいた時の評判もまさにホンダとソニーでしたからね。
そう言う私もほとんどソニーとホンダですが。
でも忘れてはいけないのが、向こうで評価された理由です。
日本で良い物作ったからですから。
ホンダは今そのことを忘れつつあります。
ソニーもそうならないことを願います。
by ショウヘイ (2008-02-01 10:49) 

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