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ICレコーダからWalkmanの危機を考えた日 [Sony・Audio]

既報の通り、SonyよりICレコーダの新機種2機種が発表されました。

僕自身はICレコーダとは無縁の生活をしてるので、今ひとつどう評価していいのか難しい製品なのですが、まずは一通りプレスリリースを見てみましょう。

ステレオICレコーダー 『ICD-SX66』(左) 『ICD-SX56』(右)

・MP3形式ファイルの再生に対応

もともと音声収録には「LPEC(エルペック)」という、音声用に特化したSony独自コーデックを使っていたので、前機種ではPC上でMP3→LPECの変換を行わないとMP3ファイルを取り込めませんでしたが、本体にMP3のデコーダ機能も搭載したことによって、付属ソフト経由で変換無しにファイルを転送することが出来るようになりました。

ただここまでやるならMP3エンコーダ機能も付けて、音声や音楽をMP3にダイレクトエンコード出来たら面白かったと思うのですが、それじゃあウォークマンの立場がないか・・・(^^;)

・高容量メモリー内蔵による長時間録音に対応

LPECはLPモード時のビットレートが約6Kbpsという高圧縮をかけるので、256MBのICD-SX56でも95時間50分という長時間録音を可能にしました。

使ったことないので、このLPモードがどれほどの音質かわかりませんが、携帯電話のPDC方式(ドコモのムーバと言った方がわかりやすいかも)ハーフレート時が、約5.6Kbpsのビットレートなので、「音が悪いときのムーバと同じレベルの音質」と思われます。って、LPモード、実用に耐えられるのか?

・録りたい音をクリアに収録する、指向性切り換え

鋭指向性にして、インタビューとかで発言者の音だけ録るには必須の機能ですね。ただこれ、本体内蔵マイクがどこまで信用できるのか、ちょっと疑問です。本格的に収録するなら、やっぱり外付けで、いいマイク買った方がいいんじゃないかと。マイクって値段に綺麗に比例して性能のよくなる製品ですから。

・音声レベルを快適に自動調整「デジタルボイスアップ」機能

そういえばカセットでもICでもレコーダ使ってる人って、録音レベル調整ってどうしてるんでしょ。そこまで厳密に綺麗な音で録らないってことなのかなぁ。そういう意味では、こういう機能は重要ですね。

・自然な音で速聞き、遅聞きが可能な「DPC(デジタルピッチコントロール)機能」搭載

ICレコーダの圧縮音声データでこういうことが出来るなら、ATRACのウォークマンでも出来るようにならないのかなぁ。NW-E507とかせっかくA-Bリピート・センテンスリピート機能が付いてるのに、ピッチコントロールが出来ないから、語学学習用に勧めにくいんですけど。

・語学学習ソフトを本体内に収録

ほんと日本人って英語の学習が好きなんですね。NHK「実践ビジネス英会話」で採用された英会話教材が収録された、CD-ROMが付いてくるんだそうです。

と、今回のICレコーダの特長を見てきたのですが、やっぱり使ったこと無いのでどう評価していいのかわかりません(じゃあレビューするなよ。)。

 

ただ今回のこの2機種を見て気になったのが、MP3プレーヤ機能です。

どういう形にせよ、これでまた一つ音楽再生機能の付いた機器が増えました。この増え方を見ていると、僕は将来ポータブル音楽プレーヤは、腕時計と同じ運命を辿るかもしれないと感じています。

携帯電話を持つことが当たり前の今の若い世代が、腕時計をしなくなり、目覚まし時計も携帯電話で済ませてしまうので、腕時計業界が縮小しているという話を何度も見たことがあります。時間を身につける為のための専用機「腕時計」が、携帯電話の時計機能に置き換えられてきているのです。

なにせauや一部のDoCoMoの携帯電話の時計は、GPS等を活用して電波時計化しており、普通の腕時計より携帯電話のほうが時間が正確という状態。あえて腕時計をする必然性を感じられなくなっても仕方ありません。

それに携帯電話に限らず、僕らの周りを振り返っても、時刻を表示することが出来る機械がいかに多いことか。

僕の部屋にもPSX、スカパーチューナー、2台のVAIO、3台の携帯電話、2台のウォークマン、PSP、サイバーショット、ビデオカメラ、部屋の中に3台ある自転車のサイクルメーターと、15個もの現在時刻を刻む機械が存在しています(ちなみに腕時計も好きなので9本も持ってますが(^^;))。
これじゃあ敢えて専用の時計を買う必要がなくなるのもわかります。

振り返って音楽プレーヤはどうでしょう。これまた僕の場合だと、ほぼ常時持ち歩く電機機器の中で、ウォークマン、VAIOノート、PSP、2台の携帯電話が音楽再生機能を持っています。

他にも今回のICレコーダ、デジカメ、腕時計、など他の電機機器が続々と音楽再生機能を付けています。しかもそのために本来の機能がおろそかになってるわけでもありません。

ただ、今はバッテリや持ち歩きの手軽さから、ウォークマンが最も優れた音楽再生手段の地位を保っています。iPodなんかは操作性やPCとの連携性などで携帯電話の音楽再生機能より優れていますから、まだその地位は安泰でしょう。

しかし将来超小型燃料電池などが実用化され、携帯電話での音楽再生が実用的になった時、果たしてウォークマンのような専用プレーヤを買う必然性はどこまで保てるのでしょうか。

携帯電話は大型のディスプレイを持ち、情報の閲覧性・検索性が高く、通信機であるためネットワークと常時つながることが可能という強力な武器があります。そしてなんと言っても「誰もが最も優先して、肌身離さず持ち歩こうとする電気機器」という立場を獲得しているのです。

このように、時計よりも優れた時計機能を実現して、その地位を脅かしているように、音楽プレーヤの地位を脅かすことも十分可能なアドバンテージを、携帯電話は持ちつつあると言えるのではないでしょうか。

実は近い将来、ウォークマンが挑むべき相手は、iPodではなく携帯電話になるのではないか、だからこそSonyはソニーエリクソンを再度吸収合併して、強力な携帯電話部門を自前で持っておくべきではないか、そうしないと将来に禍根を残すことになるぞ・・・そんなことを考えさせられた今回のICレコーダの発表でした。


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ahtoh

はじめまして。
実はSONYのICレコーダーを2つ持っている者です。
つい先日にその所有するICレコーダーについての記事を書いたので、TBさせてもらいます。

旧来のモデルの所有者として、補足できることをいくつか。
LPモードの音はかなり的確に表現されていると思います。
実際にそんな感じに聞こえ、講義を録音したものを聞き取るにはちょっとつらいです。
SPモードになるとそれはある程度改善されます。

また、外付けマイクとしてECM-DM5Pという小型のマイクを使用していますが、外付けにしたほうが、ザワザワといった感じの音が聞こえにくくなり、より明瞭に聞き取ることができるようになります。実際に試したわけではないですが、これが口頭録音だと大差はないかもしれません。

そして録音レベルですが、前は口頭録音と会議録音の2モードがありました。
この2モードを使い分けていくしかありませんでした。

もっとも、これは2001年のモデルの話だということをご了承下さい。
音声フォーマット自体は変わっていないと思いますが、他の細かい部分はその後のモデルについてはよく分かりません。
by ahtoh (2005-09-28 03:33) 

akoustam

>ahtohさん
はじめまして&コメント&ナイス投票&TBありがとうございます。

わざわざユーザーとしての補足までしていただいてすいません。
やっぱ得意分野外のことをレビューするのは無理でしたね(^^;)

ahtohさんのエントリー拝読させて頂きました。
ICレコーダもちゃんとレビューすると奥深いものなんですね。
by akoustam (2005-09-28 03:49) 

floss

ふろすです。ためになりました。ICレコーダー、なんとなーく欲しいなぁ、っておもっていたのですが、深いですね。
確かに、携帯電話とかにこの機能が入っていれば、別立てで買わなくても、と思います。
腕時計は携帯を持ち始めた8年前から着けなくなりましたし。
by floss (2005-09-28 05:43) 

akoustam

>flossさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

ふろすさんも腕時計しない派ですか・・・
僕はなんかこうメカとして好きなんで、腕時計は必ずしちゃうんです。

といっても高い機械巻き時計なんて持ってないですが。
みんな3万円ぐらいのデジタル時計ばっかり(^^;)
by akoustam (2005-09-29 04:08) 

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