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Best Resolution Audio Visual Integrated Architecture [Sony・TV]

既報の通り、Sony最大のコア事業「テレビ」の復活へ向け、新ブランドBRAVIAが発表されました。

<ブラビア>オフィシャルページ

1997年5月13日、前年11月のKV-28SF5でスタートした“スーパーフラット・トリニトロン”が“FDトリニトロン”と名称変更し、一気に7機種を揃え、Sonyのテレビの新ブランドとして“WEGA(ベガ)”が登場してから8年と4ヶ月、ついにWEGAブランドはその役割を終え、今日からBRAVIAにバトンタッチします。

BRAVIAは「Best Resolution Audio Visual Integrated Architecture」の略。「VAIO」「CLIE」等でもおなじみの無理矢理な略語ブランド名ですが、僕の個人的な意訳では「音と映像を一体創造する最高の解答」とします。ちなみにスペイン語で「bravia(女性形)=野性的」ですから悪くない名前かも。

では、今日発表の4機種を順に見ていきましょう。

BRAVIA Xシリーズ KDL-46X1000 / KDL-40X1000

米Sonyや英Sonyで先行発表されていたのは、廉価機のVシリーズとSシリーズでしたが、高級志向の日本市場のためにちゃんと本命のBRAVIAが用意されていました。セグメント的には旧WEGA HVXシリーズを引き継ぐマシンです。

デザインは明らかにQUALIA 005から持ってきましたね。元ネタのQUALIA 005もそうですが、高級感とシンプルさと力強さがうまくミックスした、絶妙のデザインだと思います。

機能的な特長は、

・より本物に近いありのままの色彩を再現する新開発の広色域バックライトシステム「ライブカラークリエーション」

QUALIA 005ではRGB三色独立のLED(発光ダイオード)をバックライト光源とする「トリルミナス」で、NTSC比105%という驚異的な広色域(色を表現する能力と思ってください)を実現させたSony技術陣ですが、今度は従来から使われてきたオーソドックスなバックライト光源、CCFL(冷陰極管)を改良することで、NTSC比91%という広色域を実現させてきました。

 

「トリルミナス」は確かに性能は素晴らしいものがあるのですが、消費電力は多いは、コストは高いは、というデバイスなので、さすがにまだBRAVIAには起用できなかったんだと思います。

技術資料を見ると、従来のCCFLより30%ほど色域が広がっており、特に緑が大幅に伸びているので、このBRAVIA Xは「深い森の映像を見るのに最適」と言えるでしょう。う~んこれでTBS「世界遺産」の『屋久島篇』とか見たいかも。

・ハイビジョン本来の高精細映像を映し出すフルスペックハイビジョンパネル

HD画質の本来の解像度(1920×1080)いわゆる「フルHD」対応パネルが起用されました。実はQUALIAブランド以外でフルHDの薄型テレビを出すの初めてなんですね。

これからBlu-rayが本格普及すると、1080p解像度のコンテンツが家庭で見られるようになり、PLAY STATION 3も1080p出力可能なことを考えると、本当はこんな有様ですが、やはりフルHDは将来当たり前になるでしょうから、長く使いたいという人はこのXシリーズにすべきでしょう。

・これまでの液晶テレビの弱点を大幅に改善した業界最高水準“ソニーパネル”

これをSonyは“ソニーパネル”と自慢しますが、やはり言ってしまえば“サムスンパネル”なので、トリニトロンというブラウン管での独創技術に惚れ込んで、Sonyファンになった僕には、なんか寂しいものを感じます。

ただ性能的には上下左右178度の広視野角、コントラスト比1300対1、応答速度8ミリ秒、とかなりの高性能パネルであり、なんと2年保証というのですから、Sonyもこのパネルには自信ありなんでしょう。

・被写体が持つ精細感、質感を的確に再現し、立体感のある映像表現を可能にする独自の高画質回路技術 「DRC-MFv2エンジン」

ようは「ベガエンジンHD」ってことじゃん。素直に「ブラビアエンジンHD」にしとけばいいのに・・・

・クリアでリアル感のある大迫力の音声を実現する「S-Master」フルデジタルアンプ搭載

これもHVX シリーズから引き続き搭載ですね。ちゃんと自前でAVアンプとか用意するシアター派には、あまり意味の無い機能ですが、普通の一般家庭で使うTVにしては贅沢なほどのアンプです。

・映画館のような音場空間が楽しめる「S-Forceフロントサラウンド」搭載

これはびっくり、先日発表されたばかりの「S-Force」が早くも搭載されてしまいました。これまた普通の一般家庭で使うTVにしては、えらい贅沢な装備ですね。

・DLNAガイドライン対応予定

以前「メディアリンクスタジオ」という名前でWEGAに搭載されていたホームネットワーク機能ですが、今回は業界標準のDLNAに対応させ、VAIOじゃなくてもPC内のコンテンツ呼び出しができるようになります。

・テレビの楽しみ方を広げるテレビ専用ポータル「TV(テレビ)ホーム」(So-net提供)

なんか最近Sony製品のネット活用機能は、全部So-netがらみになってるような・・・僕はSo-netユーザーだから何も困りませんけどねぇ、他プロバイダユーザーはどう考えるのでしょう。

・耐震対策 転倒センサー搭載

これは素晴らしい機能ですね。地震でテレビが倒れて→内部回路がショートして発火→火災発生では、マジしゃれにならないですから。

・HDMI端子、PC入力端子をはじめ、業界初D5端子など将来の拡張に対応可能な豊富な入力端子

ここでも1080pがらみでD5端子を搭載させてますね。これからのことを考えるとHDMI端子は必須なので、やっぱり買うならこのXシリーズしかないような。

 

BRAVIA Vシリーズ KDL-40V1000 / KDL-32V1000 

BRAVIA Sシリーズ KDL-40S1000 / KDL-32S1000 

こちらのVシリーズとSシリーズは、セグメントは旧ハッピーベガの後を受けるポジションにくる製品です。そしてほとんど同じ性能でありながら、デザインテイストをがらりと変えた二つのシリーズを併存させることで、より多くのお客さんを取り込もうという作戦のようです。

一応モダンデザインでかっこ優先のVシリーズと、コンパクトな筐体設計で省スペース性優先のSシリーズに分かれます。

・ソニーパネルの実力を活かす「高集積ハイビジョンビデオプロセッサー」搭載

前のハッピーベガも「ベガなのにベガエンジンじゃない。」と揶揄されたものですが、今回も「ブラビアエンジン(もうこの呼び名でいいでしょ(^^;)」ではなく、安いタイプの映像回路を持ってきたようです。

ハッピーベガはベガエンジンHDのHVXに比べ、特にSD画質の映像を処理するのが苦手で、アナログ地上波を見るとかなりのがっかり感を醸し出していましたから、そこが改善されているといいんですけど。まだまだ地方を中心にSD映像を見る場面は残っているのですから。

・デジタルアンプと多彩なサラウンド機能
・地上・BS・110度CSデジタルチューナー内蔵
・便利なPC入力端子をはじめ、D4端子など将来の拡張に対応可能な豊富な入力端子

え~、明らかに「Xシリーズと違って安く作りましたよ~」な宣伝文句のオンパレードなんですが、市場はやっぱり安いことを求めているんですかね。

この問題を考えると、せめてHDMI端子は全機種搭載にすべきだったと思うんですが(昨日の本田雅一さんのリポートを見ると光明もさしてきたようですけどね、まだ安心できない。)。

 

BRAVIA Eシリーズ KDL-42E1000 / KDL-50E1000

2002年の11月以来、モデルチェンジが途絶えていたSonyのリアプロTV“グランドベガ”がついに“ブラビア”ブランドを得て復活します。もともと一部の大画面ファンには評価が高く、長らく日本のリアプロTVを一人で支えてきたのが、グランドベガですから、これは期待大。

・・・しかし個人的に最も期待していたSony独自の高画質デバイス「SXRD」仕様のRシリーズではなく、普通のXGA(1280×720)解像度の透過型LCDを3枚使った、3LCD方式のEシリーズが投入されてきました。

Rシリーズの方がデザインもかっこいいし、QUALIA 004 / 006で証明されているように、SXRDがもたらしてくれる高画質は他を圧倒するものがありますので、一日も早くRシリーズの投入を願いたいです。このままではビクターにお客さん持ってかれちゃいますよ

とりあえずRシリーズ導入への愚痴は置いておいて、Eシリーズの詳細から、

・色再現性が高く、目に優しい自然な映像を再現する新開発のデジタルハイビジョン対応小型液晶「ソニーパネル」を使用した3LCD方式を採用

これ知っている人は知っているのですが、フロプロ・リアプロ問わずプロジェクター用の透過型液晶パネルを作っているのは、日本では今やSonyとエプソンの2社しかありません。

人気になっている松下やら三洋やらの液晶フロントプロジェクターは、全てエプソンのパネルを使っており、Sonyだけが自社デバイスなのです。そういう意味では透過型液晶プロジェクターこそ「ソニーパネル」の呼び名にふさわしい製品だと言えます。

・42V型で従来比約25%輝度を向上し、明るいリビングに置いても映像を色鮮やかに再現

さすがにQUALIAじゃないので、キセノンランプの使用は絶対無理でしょうから、一番ポピュラーなUHP(高圧水銀系)ランプを起用してきました。

UHPはその特性として、緑と青紫のスペクトルの光が多めに出て、赤のスペクトルの光が少なめなので、赤がどこまで再現できるかが気になります(ちなみにキセノンランプは、全色域に渡って平均的に光が出るので、理想的な光源なんですが、値段がバカ高く、寿命がすごく短いのでQUALIA買える財力がないと使えません(笑))。

それとこの「定期的にランプ交換が必要」ってのが一般の人にどう受け入れられるかが、リアプロ成功の鍵を握っているのではないでしょうか。

・メリハリのある映像を実現する“DRC-MFエンジン”搭載

「ブラビアエンジンHD」ではなく「ブラビアエンジン」のようです。なんで?

・“アドバンスト アイリス”機能により高コントラスト比を実現し、映画の暗いシーンの質感を再現

いわゆる普通の液晶テレビにせよ、液晶リアプロにせよ、弱点の一つがコントラストが低いことです。液晶がいわゆる光を遮るシャッターの役目を果たすものである以上、画像にメリハリをつけるために明るいバックライトやランプを使うと、完全な黒を出したいときでもシャッターの隙間から光が漏れて、完全な黒にならずコントラストの低下を招いてしまいます。

そこで投射するというプロジェクターの基礎原理に目をつけて、元の光源の光の強さをカメラのような絞り機構を使って常にコントロールしてあげることで、明るい画像の時は強い光、暗い画像の時は弱い光で投射して、よりメリハリのある映像にするのがこの“アドバンスト アイリス”です。

具体的なコントラスト比の数値は非公開のようですが、前のグランドベガの4倍のコントラスト比ということで、メリハリのきいた映像が期待できるでしょう。

・地上・BS・110度CSデジタルハイビジョンチューナー内蔵
・TruSurround XT、TruSurround DIGITAL 5.1CH*搭載

回路的には廉価機の作りになっていますが、HDMI端子は付いているので、VシリーズSシリーズよりは長持ちしそうです。

 

以上ざっと4機種見てきましたが、僕がこの中で仮に買うならKDL-46X1000で決まりですね。デザインも性能も、こいつなら安心して買っていいと思えます。

日本人のテレビの平均買い換えサイクルというのは、現在9~10年と非常に長くなっており、大型の薄型テレビは値段も値段なだけに、おいそれと衝動買いするような品物ではありません。

これから長く使うことが前提なら、V・Sシリーズは機能的に厳しいものがありますが、逆に短いサイクルで常に新しいのを持っていたい人には、V・Sシリーズがうってつけです。

そういう意味では今回のラインナップは、きっちりと市場のセグメントを埋めてきており、後はハイエンドかつ60~70インチの大型リアプロと、32インチ以下の中型機を埋めていけば、Sonyもお客さんを取り逃がさないでしょう。

しかしなにぶん高品位ブランドとして定着しつつあるAQUOSやVIERAに比べ、イメージ的に不利な立場でこのBRAVIAはスタートするわけですから、Sonyもブランドイメージ構築のための相当な努力が必要ではないでしょうか。

特にメディアやネットなどでは、「所詮韓国製パネル」みたいな論評がどうしても残ると思います。それを克服するためにも、純Sony製の技術であり、Sonyの九州の工場で生産される「SXRD」を全面に打ち出すことこそ、Sonyテレビ復活への道筋だと僕は考えます。

KDS-Rシリーズの早期投入を願って、BRAVIAを応援していくとしましょうか。とりあえず今日のところはBRAVIA誕生に乾杯!

【追記】画像を追加し、見やすさを改善しました。


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はまちゃん

リアプロは日本ではエプソンとソニーだけなんんですね・・
なるほど・・
国土の狭い日本では、流行るかどうかわかりませんけど、
中国やアメリカなどで、もし液晶プラズマなどと較べて、引けをとらないものを
提供出来るとなると、ソニーにとってリアプロは貴重な財産になりそうです・・

液晶の方はやはり、ブラビアのイメージづくりにかかってるでしょうね・・
by はまちゃん (2005-09-16 00:02) 

akoustam

>はまちゃん
毎度のナイス投票、有り難いことです。

リアプロというより「プロジェクター用透過型液晶パネル」ですね、Sonyとエプソンしかやってないのは。
それだけエプソンのパネルが優秀で、他のメーカーがやる気をなくしちゃったというのが、
現在のプロジェクター用液晶パネルの状況です(Sonyはパネルを外販していない。)

では、プロジェクターはSonyの独壇場か(実際アメリカではトップシェア)といわれるとそうでもなく、
TI(テキサス・インスツルメンツ)のDLP(DMD)というプロジェクター用デバイスが、強力なライバルとして存在します。

DLPはその性能もさることながら、リファレンスモデルという、いわゆる「組み立てキット」みたいなものをTIが用意しているので、
MP3プレーヤのように、技術の蓄積のない台湾・韓国メーカーが容易に参入できるので製品はたくさん開発されてます。

そこに「圧倒的画質」で対抗しようというのが、Sonyの『SXRD』なのです。
ブラビアのイメージ作りのためにも、SXRDを中心に据えるべきだと思うんですけどね・・・

プロジェクターの話は、3LCDグループのホームページがわかりやすいかと。
http://www.3lcd.com/jp/index.html
by akoustam (2005-09-16 13:37) 

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