THE世界遺産 part4 [ベトナム縦断自転車旅行記]
目指すハノイまで160Kmまで近づいてきました。しかし、このままただ1A号線を走って終わりではつまらないので、今日は一つ寄り道をしてみます。
雨は夜のうちに止んで、天気は曇り(どうも3月のベトナム北部は昼は曇りで、夕方から夜に決まって霧雨が降るみたい)。
タンホアの街を早々に出たら、道はしばらく水田と小さな集落が交互に現れる、平坦な田舎道になります。
続いてソンマー川河畔に。
この写真を撮った直後、この旅で初めての「立ちゴケ」をしました(こういった写真を撮ってるときは、自転車を止めて右側の足をペダルに固定したままにしているので、その時右側に体重バランスを崩すと足が地面に着けなくてコロリ(笑))。で、NEX-5を地面にたたきつけてしまうと言う…
幸いカメラはボディに傷は付きましたが、壊れてはいないようです。壊れたというかペダルですれて擦り傷が付いたのは僕の左足(笑)
ソンマー川を渡ると風景は水田の中に奇岩といった感じに。
田んぼでは農作業をしている菅笠の女性という、ベトナムらしい情景。
このまま走ってスタートから1時間半。ビンロックという街に着きました。
この街に世界遺産があるはずですが、そんな表示も、それを伺わせるような土産物屋街などもさっぱりありません。
仕方がないのでGoogleMapを頼りにぐるっと、その「世界遺産」がある周囲の道路を回ってみると。
おお、あるじゃないですか、堤防にしか見えない城壁跡が(笑)
というわけで正門の反対側、北門側に回り込んでしまいましたが、とにもかくにもこの旅で四つ目のベトナム世界遺産「胡朝の城塞」 に着きました。
Citadel of the Ho Dynasty (ユネスコ本部)
と言っても北門には入場券を売る検札所があるだけ。
いちおう観光客である僕は10000ドン(40円)の入場料を払いますが、
この真四角の城塞を貫くように、普通に東西南北に生活道路が走っており、地元の中高生が自転車で世界遺産内を無料で通学に使ってます。
これと奇岩の風景を組み合わせれば、何とか観光資源化出来るかな?
北門は門だけでなく、周辺の城壁も残っていて、それらしい形を保っています。
そんな中を普通に中高生が日常的に走って行く不思議な光景。
城塞の中も既に現代人の生活空間になっていて水田に覆われています。
これでも世界遺産の城塞に囲まれたど真ん中です(笑)
そのまま南に走っていくと、正門である南門に到達しました。
こちらは北門と違って門周囲の城壁の石垣は内側が消えており、盛り土だけが残っています。
確かに7年しか続かなかった王朝にしては立派な門と城壁で、なかなかの偉容を感じさせますね。
アーチの中もご立派。
しかしこの「胡朝の城塞」。去年ユネスコに世界遺産登録されたばかりで、それまで観光地化することなど全く考えてなかったのでしょう。正門の入口側は少しでも見栄えが良くなるよう工事中。
オフィシャルなお土産店も慌てて作られたようで、係員のおじさんも控えめに「こんなのあるよ」と紹介してくれるだけで、買うことを勧めようとさえしません。
で、関連グッズも急遽作ったのでしょう、バリバリ合成写真のマグカップとか(笑)
正門を模した模型のようですが、たぶん外国人観光客来ても、これを30$では買わないと思うぞ(笑)
これは公式ガイドブックか。ちゃんとユネスコマークが入っていて、世界遺産であることを教えてくれます。
隣にはこじんまりとした資料館(資料小屋?)も設けられており、
再現模型や、
立派な出土品もあります。
にしても地味。とにかく地味(笑)
まずはこの工事を終わらせて、見栄えを良くしたら観光客が…来るのか?ほんとに(笑)
ただその分、この街の人々の人情は観光地化されておらず、係員のおじさんも親切ですし、街の人が英語を覚えて土産物を押し売りしてくるなんてことも全くありません。
このまま地元の生活に密着して、こぢんまりとした世界遺産として残っていくことになるんでしょうね。
正門からビンロックの街中へ続く道も、現在は未舗装ですが、急ピッチで舗装作業が進められています。
この通り両サイドの建物が、全部土産物屋や飲食店やホテルになって、観光客がどっと訪れる街になる日はくるのでしょうか。素朴なこの田舎街ビンロックの将来に注目です。
最後は観光客として街にお金を落としていこうと、食堂でフォーを一杯。
その後はこの田舎道45号線をひたすら進んでいきます。道はだんだん山がちに。
あとは今日の目的地ニンビンに向けて、走って行くだけですが、GoogleMapでルート検索してみると、この地図にある492号線をPhu LongからTrung Sonまで走って行くのが最短距離とのこと。
しかも492号線の西側半分は1A号線や45号線と同じオレンジ色に塗られた道路。これなら普通に舗装路だと思ったのですが…
これが492号線の実態でした(笑)
昨晩の雨で道は泥のぬかるみになり、大きな石がゴロゴロと転がっています。土のところでペダルを踏んでもタイヤは空転するし、石のガタガタにぶつけたら即パンクです。
こうなると押して歩くしかありません。
時間は14:30、こんなんじゃ暗くなる前にニンビンに着けないぞと焦りますが、GoogleMapで黄色くなっている東半分に出ると、普通に舗装路になりました(笑)
おい、Googleさん!色分けするなら逆でしょうよ。
というわけでこの旅の教訓「GoogleMapは慎重に使え」(爆)
そんなわけで無事に舗装路をたどって懐かしの1A号線に復帰、あとはニンビンまで走るだけですが、街の直前でどうにもスピードが出なくなります。
よーく後輪を見てみると、空気が抜けてきている。
「パンクかよ…」
ということで街の川沿いの遊歩道に進路変更して自転車を止めます。
史上最小・最軽量を目指した旅でも、最後の安全の保険として絶対に外さなかった装備「パンク修理キット」「替えチューブ」「空気入れ」の三つを本当に使うときがくるとは。
ということでタイヤレバーでチューブを外すと、見事に小さな穴がチューブにあいています。やっぱりさっきの泥道のせいか。
10分ほどでチューブ交換を済ませたら走行再開。どうせあとハノイまで100Km走るだけです。このまま保つでしょう。
ホテルは9$の安くてWiFi装備の良いホテル。二軒隣は食堂で、お姉ちゃんが適当に豚肉と空心菜の炒めを作ってくれました。これにご飯とビール「ビア・ハノイ」で今日の走行に乾杯。
今日の走行距離はまっすぐ1A号線を走るより40Km増えてちょうど100Km。最終目的地ハノイまでも残り100Kmになりました。明日は自転車走行最終日!
残りがんばってくださいまし。
by Santa (2012-03-21 13:10)