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深化と進化 ~NEW VAIO P 開発者セミナー リポート モバイルグリップ篇~ [VAIO P-ZERO]

あの2009年最初の衝撃だった“Perfect-ZERO”ことVAIO typePの登場から1年4ヶ月。さらに改良が加えられたVAIO NEW ULTRA MOBILEとして、二代目VAIO Pが僕らの目の前に姿を現しました。

VAIO P (vaio.sony.co.jp)

VAIO P (SonyStyle)

そして今回もWillVii株式会社“みんぽす”さんのご厚意で、VAIO P開発者セミナーに参加させていただくこととなりましたので、そのリポートをお届けします。

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今回の新VAIO Pも、開発を主導したのは初代VAIO typePと同じVAIO事業本部 第1事業部 VAIO Pプログラムマネージャ 鈴木一也氏。とかしこまった呼び方をするより、氏の愛称である『マスターすずいち』さんとお呼びした方がわかりやすいかもしれません(笑)

僕にとってすずいちさんとお会いするのは三度目。

一度目はあの伝説のスライドキーボードVAIO、VAIO UXのとき。

二度目が初代VAIO typePのとき。

そして今回が三度目になるわけですが、この経歴でもおわかりの通り、ここ数年のすずいちさんはVAIOの中でも最小クラスのモノを担当し続けている方で、現行VAIO Xを担当した林氏(通称:ぱやさん)、現行VAIO Zを担当した鈴木氏(通称:すずまささん)と並ぶ、VAIOモバイル三銃士の一人でもあります。

そしてもうお一方登壇されたのが、商品企画担当の伊藤好文氏。この伊藤さんも初代VAIO typePから引き続きの担当となっているということで(過去には中華Walkmanなども担当)、今回の新VAIO Pは「初代の良かった部分はそのままでより進歩させる“深化”と、新たに使いやすくなるような要素を付け加える“進化”という、二つの『シンカ』をさせる」という、極めて正当派のモデルチェンジを目指したものとなっています。

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では初代VAIO Pの持つ要素のうち、何を“深化”させ、何を“進化”させたのか?そのためにまずVAIOのウルトラモバイルPCの歴史を振り返ってみることにします。

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その人によって色々と考え方の違いはあると思いますが、VAIOウルトラモバイルの始祖は“早すぎた生中継用モバイルPC”ことVAIO GTではないでしょうか。

そしてそのVAIO GTからカメラを省いて超小型VAIOとして登場したVAIO U1。その後継として登場したVAIO U101。キーボードを分離したタッチパネルVAIO typeU。スライドキーボードを採用したVAIO UXと続いていくわけですが、そのコンセプトは一貫して「両手で掴むように持って、立った状態でも使えるPC=モバイルグリップ・スタイルPC」となっていました。

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以上の歴史の中で、ウルトラモバイルVAIOは「多少キーボードの使い勝手を割り切ってでも、小型軽量化を追い求める」のが基本線としてあったわけですが、初代VAIO typePは、それまでの歴史を踏まえつつも大きく覆した「ウルトラモバイルであっても、あくまで普通に使えるキーボードが必要」という結論に至り、あの“ジャストキーボードサイズ”として登場しました。

そして、その「普通のキーボードがついていながら片手で容易に持ち出せるPC」というコンセプトがユーザーに大いに受け入れられ、市場で好評を博することとなります。

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となると、新VAIO Pで継承されるべき要素としてまず決まったのが「ジャストキーボードサイズ」。

また時代の流れとしてスマートフォンやネットブック、タブレット端末など、情報の閲覧を主とした「パッシブな使い方をする端末」も増えてきており、ウルトラモバイルPCにはそれらとは違う「パッシブ+アクティブな使い方をする端末」として、表示能力の高さ(高解像度)がポジション的に求められてくるだろうという結論が導き出されます。

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ということでもう一つ出てきた継承されるべき要素は、「1600×768ドットの高解像度ディスプレイ」ということになり、

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こうして究極のウルトラモバイルPCを目指す、新VAIO Pの出発点が決定したわけです。

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では新VAIO Pを初代VAIO typePより便利にするために、新しく加わった“進化”の要素とは何か。

それがウルトラモバイルVAIOが伝統的に持っていながら、VAIO typePでは放棄された「立ったままでも操作できるモバイルグリップ・スタイル」というコンセプトだったのです。

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座ってキーボードを普通に叩ける状況ならば圧倒的に使いやすいVAIO typePに、立った状態でも両手で持って使えるモバイルグリップ・スタイルを加えるにはどうすればいいか、すずいちさんはVAIO typePを使っていて、小さな文字が表示されたときに、思わず顔に近づけようとVAIO typePを両手で持ち上げたことからヒントを得ます。

『typePの液晶ディスプレイ脇に、タッチパッドをつけてみたらどうだろう…?』

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このアイデアを開発チームに披露したすずいちさんは、当初他のメンバーから「そんなの使いやすいわけないじゃないですか」と一笑に付されたそうです。

『本当にダメか?使いにくいか?いや、絶対使いやすいはずだ。実際に触ればその使いやすさは理解される。』

そう考えたすずいちさん、各種の電気系部品を担当するメンバーに、

『VAIO typePのディスプレイの両脇に入るようなサイズのタッチパッドって、やってなかったっけ?』

と聞いて、『ありますよ』という返事に『これに付けてみて』とお願いします。

その結果出来上がった試作品がこれ(笑)

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初代VAIO typePにテープで縛り付けられた、手製のタッチパッドとクリックボタンです。

この急造タッチパッド、まずtypePのコネクタ接続用サブ基板からUSB端子につながる線を筐体の外に取り出し、

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USB-PS/2変換ケーブルをかまして、

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ディスプレイ左脇に仕込まれた小型の静電タッチパッドと、

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これまたサイドをパックリと開けて配線を入れ、中にチップスイッチを取り付けて、クリックボタンとしたものを、

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電気基板で接続して出来上がったものです。

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こうして作られた急造タッチパッド。

しかし、こうして実際に手に取ってその使い勝手を確認可能になったことで、すずいちさん提案の「ディスプレイ脇にタッチパッド」が有効であるという認識がメンバーで共有され、目出度く新VAIO Pは「ジャストキーボードサイズの打ちやすさと、モバイルグリップスタイルの利便性を両立したPC」へと昇華していったのです。

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そしてただ旧来のモバイルグリップ・スタイルを復活させただけではありません。元々はHDDのヘッド待避検知のために搭載していた加速度センサーを(新VAIO PではHDDモデルの設定がなくなったので、センサーは不要になったにもかかわらず!)活用して、左右に傾けるとブラウザーのページ送り・戻しが出来たり、本体を半回転したときにディスプレイを縦長表示にオートローテンションさせて、縦長な構成のWebサイトの可読性を上げるなどの機能が付加されています。

余談ですが、試作品段階ではVAIO Pをモバイルグリップ・スタイルで使用しているときに、本体を前後に傾けることで、ページを上下スクロールさせる機能も考えられていたそうです(ユーザーがスクロールを停止させたいタイミングを正確に計るのに有効な方法が見あたらずボツに…)。

 

見た目には先代のVAIO typePを引き継いで、大きく変化してないように見える新VAIO P。しかしその中身は大きくブラッシュアップされ、伝統あるモバイルグリップ・スタイルまで取り込んで、見事な“進化”を遂げていました。

では、もう一つの『シンカ』である“深化”のほうはどうであったのか、それは次回に続きます。

このレビューで使用されている商品はWillVii株式会社が運営する レビューサイト「みんぽす」 が無償で貸与しています。本レビュー掲載は無報酬です。また、WillViiは掲載内容に一切関与していません。(本情報開示と事実誤認時の修正を除く)レビュー商品無償貸し出しサービス 「モノフェローズ」に関する詳細はこちら
(WillVii株式会社みんぽす運営事務局)

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