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もう限界でしょう [携帯電話・NTT DoCoMo]

NTT docomoより一つのサービスの終了が発表されました。

「プッシュトーク」サービスの終了について (NTT docomo)

2005年10月19日に発表された902iシリーズの目玉機能だった「プッシュトーク」ですが、その鳴り物入りの大々的な登場っぷりとは裏腹に、ユーザーからはほとんど見向きもされず、わずか4年で受付終了。5年でサービスそのものも終了という末路をたどることとなりました。

いちおうdocomoの表向きな言い訳としては、

>「ファミリー割引」のグループ内無料通話の提供、「パケ・ホーダイ ダブル」導入などによるコンシューマ市場の変化に伴い、経営資源を集中すべく、サービスを終了することといたしました。

と、失敗(あえて失敗と断言しよう)の原因を、“市場が変化したから”という外的な要因に求めていますが、僕に言わせれば、「最初から市場なんて見ずに、自分たちの都合ばかり優先してたからだろ。」という感想しか出てきません。

それというのも、アプリケーションで機能の取捨選択が出来るスマートフォンでもあるiPhoneには、こんなアプリがあるからです。

Push To Talk (iTunes App Store)

正直僕自身もこのアプリを導入しているわけではないので(^^;)、果たしてこいつが、docomoのプッシュトークに匹敵するような、機能と使い勝手を実現しているのかはわかりませんが、少なくともiPhoneユーザーにとってみれば、こういう全ユーザーが必要としていない付加的な機能というのは、

「そのうちこれが商売になると思いついた誰かが開発してくれる」
「使いたいユーザーだけがそのアプリ代を払って導入すればいい」
「どんなアプリだろうと使用料金は通常のパケット通信と同じ扱い」
「ハードウェアそのものを買い換えなくてもアプリを入れるだけで使える」

というのが当たり前で、これこそがiPhoneのビジネスモデルの真髄、“緩い囲い込みに集まってきた多種多様な開発者による集合知と、それをユーザーが自由に選んで使えるようにすることで、iPhoneの利用を活性化し、それで生み出された利益を各方面に適正分配するビジネス”なわけです。

ところが翻ってdocomoのプッシュトークを見てみると、

「企画も開発も全てはキャリア主導」
「ユーザーの利用ニーズに関係なくシリーズ全機種一斉搭載」
「かといって利用するには高価な最新ハードウェアへの買い換えが必要」
「使用料金は同じパケット通信なのにパケ・ホーダイとは別料金」
「しかも1プッシュ5円か、1000円/月で定額というありえない高額」
「使わないユーザーの存在を無視して、専用のハードボタンを端末のいいポジションに配置してしまう」
RIMG0215.jpg
↑ちなみにSO902iの場合は、端末左サイドの一番押しやすい場所に陣取ってます。
「auのHello MessengerやSoftBankのサークルトーク(現:S!一斉トーク)と相互接続して、ユーザーの利便性をあげるような努力もしない」

という日本のキャリアお得意の、“ハードウェア・ソフトウェアの開発からサービスの提供まで、全てをキャリアがガチガチに囲い込んで、とにかく利益をキャリアが総取りしようとするビジネス”になっていて、このように機能搭載を強制されて開発工程をいたずらに増やされてしまうメーカーも、使わない機能のための端末代を払わされたり、使うなら使うで、端末を買い換えたり高額な使用料を要求されるユーザーも、誰も得しない仕組みでは、結局利用も活性化されず、最後は「ごらんの有様だよ!」状態になったのも当然と言えるでしょう。

発売から10ヶ月、日本でも着実に浸透しつつあるiPhoneですが(最近は毎日ユーザーを見かけるようになりました)、iPhoneを先頭にして、各種スマートフォンの、機能を後から自由に組み合わせたり、ハードを買い換えなくても必要な機能が追加できる便利さが、幅広くユーザー認知されるようになったとき、日本のキャリアも、そのキャリアにおんぶにだっこ状態の日本メーカーも、いったいどうするつもりなのか、いいかげんこの囲い込み&使い捨てビジネスモデルを、改めるべき限界の時期が近づいていると思うんですけどね。

このまま何も変わらないようでは、パソコンの分野に続いて携帯電話の分野も、重要な部分は海外企業に席巻されて、日本企業は没落していくしかないのではないでしょうか(生き残れるのは部品メーカーと完成品はらくらくホンだけか?)。


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Riever

>使わないユーザーの存在を無視して、専用のハードボタンを端末のいいポジションに配置してしまう
これはものすごく感じました。私のN905iにも堂々と押しやすい場所に陣取ってますから。

iPhoneは絶対的なアドバンテージとして拡張性が挙げられるので、ここは他キャリアもさっさと見習って欲しいところです。
いつまでも囲い込みをやっているとそれに目が眩んで、どこかが自由な端末を"本気で"出してきたときに出し抜かれますから、その辺りにいい加減気づいて欲しいです。
by Riever (2009-05-09 02:34) 

蔵三

全く同感です。『使わない自由』を認めて欲しいですね。
by 蔵三 (2009-05-09 07:50) 

Akihito(・。・)

やっぱり、これからは携帯はカスタマイズして使うのがこれからの形でしょう
使いもしないアプリや機能があっても、どうせ使わないんだし、
使わない機能がメモリの容量を食っていると思うとなんだか損.
これじゃあ、キャリアの自己満足ですよ!

僕みたいにケータイのカメラで気になった瞬間とかを沢山撮りためていく僕にしちゃ邪魔なアプリは要りません.



by Akihito(・。・) (2009-05-09 23:18) 

モーリタイザー

プロダクトデザインとして、お客さんのほうを向いていこうとするところと、お客さんをだましてでも新しい機能をつけて釣っていこうという方向と、そういういろんな行き違いの交通事故が起きてると、今日(こんにち)の携帯を見てると思うんですよね。それが内輪もめだけで変な方向に進化を遂げているという意味で、ガラパゴス携帯とよぶのだとずっとおもってたんですが、どうやら世間では違ったようで恥ずかしい日々を過ごしていますw


by モーリタイザー (2009-05-11 02:42) 

ショウヘイ

まさしく仰るとおりですね。
iチャンネル、iコンシェルも同じですね。
しかも末端の良いところにボタンついているし。
この場所には他の機能の方がよっぽどましですよね。
だってこんな機能使ったことありませんし。
結局成功したiモードをいつまでも追っかけているのかな。

by ショウヘイ (2009-05-11 13:17) 

Turbo381

最初から「こんなの誰が使うのかな?」と思っていました。まあメーカーとしては、新たな収益源を見いだす必要があるので開発したのでしょうが、まったくユーザーを見ていないサービスでしたね...
by Turbo381 (2009-05-19 00:16) 

NO NAME

日本以外のアジア圏では同様なサービスはかなり受けていたはずなんですがね。どうしてこういった意見をされる方はある特定な地域しかみないんでしょうか。複数と同時に通話するには便利な機能だったですよ。まさに使わず嫌いでしょうね。
企業が発売する物に新機能として付加するのであれば必然的に目立つ位置に持ってくるのは当たり前だと思いますが。皆さんがどんな仕事をしているかわかりませんが、みなさんの会社ではそういったアピールはしないのかな?
たしかにプッシュトークはパケットですが、帯域を保証する音声サービスなはず。根底にあるこの部分を無視するのはいかがなものかと。いつからソフトバンクのパケットサービスは帯域保証するようになったのですかね。比べる根本がおかしい。そもそも30秒5円って音声サービスとして高いですかね。ソフトバンク21円取られますが。
ちなみにアップルさんは本質的に他のキャリアにiPhone解放したのでしょうか?iPhoneのアプリってiPhone以外の携帯で使えます?

そもそも日本以外のアジア圏では同様なサービスはかなり受けていたはずなんですがね。どうしてこういった意見をされる方はある特定な地域しかみないんでしょうか。複数と同時に通話するには便利な機能だったですよ。まさに使わず嫌いでしょうね。
企業が発売する物に新機能として付加するのであれば必然的に目立つ位置に持ってくるのは当たり前だと思いますが。皆さんがどんな仕事をしているかわかりませんが、みなさんの会社ではそういったアピールはしないのかな?
たしかにプッシュトークはパケットですが、帯域を保証する音声サービスなはず。根底にあるこの部分を無視するのはいかがなものかと。いつからソフトバンクのパケットサービスは帯域保証するようになったのですかね。比べる根本がおかしい。そもそも30秒5円って音声サービスとして高いですかね。ソフトバンク21円取られますが。
ちなみにアップルさんは本質的に他のキャリアにiPhone解放したのでしょうか?iPhoneのアプリってiPhone以外の携帯で使えます?

そもそもiPhoneは電話おまけだからねぇ。比べるんだったら他のとこでしょ。


by NO NAME (2009-05-20 00:27) 

akoustam

>NO NAMEさん
コメントありがとうございます。私への反論・ご意見大いに結構なのですが、あまりに疑問点の多い内容なので、返信をさせていただきます。

>日本以外のアジア圏では同様なサービスはかなり受けていたはずなんですがね。

というのは、どこの国の何というPush-to-Talk(PTT)サービスでしょう?

私も海外の携帯電話事情は相当調べていますし、友人も世界各国にいるため、それなりの情報が入ってきますが、アメリカのNextel(現:Sprint Nextel)の「Direct Connect」がトラック・タクシードライバーなどの法人向け中心に1500万人以上の加入者を獲得した以外、PTTの成功例は聞いたことがありません。

確かに業務用無線の会社だったNextelがPTTで急激に加入者をのばし、それを携帯電話のネットワークに移植したPoC(PTT over Cellular)サービスを、対抗する各社が始めた2003年~2005年ぐらいは、「SMSの次はPTTだ!」ともてはやされた時期なんかもありましたが、その後どこのキャリアも加入者が急増したりせず、今回のdocomoのようにサービス停止したところもあるはずです(OrangeUKの「Talk Now」とか)。

そういえば最近は対応機種自体が出ていなくて、NOKIAのS60やiPhoneみたいな「スマートフォンアプリとしてのPTT」しか見たことがないんですが、そのアジア圏の方々はどこのメーカーの何という機種をお使いなのでしょうか。

>企業が発売する物に新機能として付加するのであれば必然的に目立つ位置に持ってくるのは当たり前だと思いますが。

UIデザイン/プロダクツデザインとプロモーションは全く別の次元の話です。あくまで付加機能でしかないものを、「新機能だから目立たせないと」などという理由で重要な位置に持ってくるデザイナーがいたら、デザイナーとしての見識を疑います。

>たしかにプッシュトークはパケットですが、帯域を保証する音声サービスなはず。

プッシュトークが「帯域を保証するサービス」だったなどという話は、これまた聞いたことがありません。

docomoのFOMAサービス契約約款内にある、料金表-通信料-通信の条件には『PTT通信モードによる通信については、通信のふくそう等により、遅延の発生その他の通信品質の低下が生じる場合があります。』と明らかにプッシュトークの帯域を保証しない旨書かれていますが、これはどういうことでしょう。
http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/disclosure/agreement/

>そもそも30秒5円って音声サービスとして高いですかね。ソフトバンク21円取られますが。

SoftBankのPoCサービスであるサークルトーク(現:S!一斉トーク)は、毎月+210円で、通信料は通常のパケット料金と同じ扱いになり、「パケットし放題」であれば定額料金の対象となります。
http://mb.softbank.jp/mb/service/3G/communication/hotstatus/
「比べる根本がおかしい」とおっしゃるのであれば、同じPoCサービス同士比べなければ、フェアじゃありません。

>ちなみにアップルさんは本質的に他のキャリアにiPhone解放したのでしょうか?iPhoneのアプリってiPhone以外の携帯で使えます?

何がおっしゃりたいのかわかりません。

>そもそもiPhoneは電話おまけだからねぇ。比べるんだったら他のとこでしょ。

このエントリーの主旨は、「機能をハードウェアに密に実装してしまって、機種の買い換えが必要だったり、失敗に終わったら全くの無駄に終わってしまうようなドコモ型ビジネスモデルと、ソフトウェアのみで実装し、利用者に選択権を与える世界のスマートフォン型ビジネスモデルのどちらがユーザーに有益であるのか?これだけ携帯電話が普及してしまった日本では、もうドコモ型ビジネスモデルは限界じゃないのか?」ということを問うためのものです。

ドコモのプッシュトークとiPhoneのPTTアプリを比較するのは、全く自然なことだと考えておりましたが、その主旨が伝わらなかったのは、私の文章力の無さに原因があるのかもしれません。その点はお詫び申し上げます。
by akoustam (2009-05-22 08:56) 

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