XPERIA X1 Review SIMカード篇 [Sony・MobileCommunication]
XPERIA X1レビュー、今日はSIMカード篇をお送りします。
今回僕が買ったXPERIA X1は、SonyEricssonがイギリスで直で売っているメーカー品ですから、言うまでも無くどこの電話会社・SIMカードでも動かすことが可能な「SIMフリー」機になります。
と言っても、日本でW-CDMA/HSDPAを国際バンドでサービスしているのは、docomoとSoftBankの2社のみ。cdma2000でサービス展開しているauのSIMカードを挿してみたところで…
この有様です。
まぁauがこうなるのはわかりきったことなのでそれはいいとして、何と言っても気になるのがW-CDMA/HSDPAを“1.7GHz帯で”サービス展開しているEMOBILE。
2月11日の発表当初、SonyEricssonのプレスリリースに「UMTS/HSDPA/HSUPA 850/900/1700/1900/2100 MHz対応」という表記があったため、「もしやXPERIAはEMOBILEでも使えるのでは?」と僕も期待していました。
しかしいざEMOBILEのSIM(音声通話可能な黒SIM)を挿してみると、
auと同じく全くネットワークを認識できません。
それもそのはず、Settings→Phone→Bandと進んでいくと、
このUK版XPERIAは、UMTS(3G=W-CDMA/HSDPAのこと)が800/850/900/1900/2100のいずれかの周波数にしか対応しておらず、EMOBILEが使っている1700には未対応となっているのです。
これが1700に対応する必要の無いUK版「XPERIA X1i」だけのもので、T-Mobile USAが1700でUMTSをサービスインしているアメリカ向け、USA版「XPERIA X1a」ならば1700対応になっている可能性もありますが、同じ1700でもT-Mobile USAとEMOBILEは周波数の使い方が違うため、結局EMOBILEでは無理という結果になりそうです。
国内キャリアの中では一番オープンで料金の低廉なEMOBILEが、周波数的にガラパゴスになってしまっているのは、ユーザーとしては何とも痛い限り、正直規格そのものがガラパゴスなauが、国際的に使われている2GHz帯を返上してEMOBILEの1.7GHz帯と交換してくれるとありがたいんですけどね。
あとはEMOBILEと同じ周波数を使う海外のキャリアが増えて、各メーカーが対応機を出さざるを得ない状況になることを祈るしかないのかもしれません。
というわけでEMOBILEもNGなので、やっぱりXPERIAを日本で使うにはdocomoかSoftBankの二択しかないということになりました。
ではdocomoのFOMA SIMを挿してみましょう。
すると今度はSIMカードはきっちり認識され、Connection Setup機能で自動的にインターネット接続の設定も作成されていきます。
Connection Setupが完了すると再起動が要求されるので、一旦XPERIAを再起動しましょう。
このConnection Setupで自動的に作られるインターネット接続とは、iモードの設定ではなくmopera U(従量制)を使うためのアクセスポイント設定のこと。
このようにdocomoの設定ガイド(PDF)に沿った「APN:mopera.net」「User name:不要」「Password:不要」という設定になっていることがわかります。
ただしdocomoはこの従量制のAP情報しか公開しておらず、定額制データ通信やdocomoブランドのスマートフォンなら定額で使えるBizホーダイのAP情報は公開されていないため、XPERIAをdocomo回線で定額で使うのは現段階では不可能です。
とはいえ、SIMカードはちゃんと認識して電波もつかんでいるので、電話としては普通に発着信出来ますし、
SIMカード内の電話帳もちゃんと表示されています。
また当然のようにSMSの送受信も出来ますが、iモードメールのやり取りは無理。仮にiモードのアドレスにメールを送っても、XPERIAはうんともすんとも動きません。もうこのBlogに何回書いたかわかりませんが、docomoは一日も早くiモードなんて止めてしまって、メール機能をSMS/MMSに統合してもらいたいものです。
続いてSoftBankのSIMを挿してみます(ただし僕が所有しているのは最初期のVodafone SIM)。
海外機だと「J-PHONE」と表示してしまうのはいつものパターンですね。
で、初めてSoftBankのSIMを挿したときも、Connection Setupが自動で働いてアクセスインターネットのAP情報が出来上がります。
これも言うまでも無く定額制ではなく従量制。これだから定額制APを公開しているEMOBILEで使いたいんですよねぇXPERIAは…
で、これまた電話も当然のように出来ますし、iPhoneからテストでSMSを送ってみても、
ちゃんと電話が鳴ってSMSが届きます。
しかしMMS/eメールアドレスに向けての長文メールを送ると、
いちおうSMS着信通知によって電話が鳴り、メールが来たことはわかるのですが、
どのアドレスから来たかと題名がわかるだけで、いざMMSの本文を受信しようとしても、SoftBankがMMSのAP情報を公開していないので、MMSサーバーに接続できず「受信できません」というエラーが出てしまいます。
ここらへんの挙動はW880iの時と全く同じですね。XPERIAでMMSを使うにはあのソフトが必要なようです(海外Windows Mobile機を個人輸入してる方の間では比較的知られているようですが)。
最後に、SoftBankはSoftBankでもiPhone 3GのSIMを挿してみましょう。
iPhone 3Gのレビューでお伝えしたとおり、iPhone 3GのSIMは正確には“iPhone専用SIM”ではなく、古いVodafoneの端末や海外などのSIMフリー端末では、普通に“SoftBankのSIM”として認識され、電話もSMSも出来るようになっています。
なのでSIMフリーのXPERIAに挿しても結果は同じ、
SoftBankのSIMとして認識され、通常契約のSoftBank SIMと同様にアクセスインターネットのAP情報が自動設定されます。
ですから音声通話だけでなく、SMSも普通にiPhoneの電話番号に送られてきたものを受信出来ますし、
それに返信をすれば、
通常のSoftBank契約の電話機で受信できました。ここまではほぼ予想通り。
しかしここでふと思いついたのが、iPhoneを契約するともらえる「Eメール(i)」を使うこと。
これもiPhone 3Gのレビューでお伝えしたとおり、Eメール(i)のメールサーバーは携帯電話専用ではなく、IMAP/SMTPという標準プロトコルに準拠しているので、Windows Mobileにプリインストールされているメーラーでもやりとり可能なはずです。
そこでパソコンで自分のi.softbank.jpあてのメールを作り、iPhone SIMをXPERIAに挿した状態で送信してみると…
なんとXPERIAが鳴って「You Got a Mail」と画面に表示されるではありませんか。
どうやらi.softbank.jpは、iPhoneにSMSの仕組みを使って着信通知を投げているみたいですね。こうなったら後はメールソフトにi.softbank.jpのアカウント情報を設定するだけ。Messaging→Setup E-mailと進んで、
まずは自分のi.softbank.jpのアドレスとパスワード、
自動設定は飛ばし、
ここでは「Internet e-mail」を選択。
Fromの名前とアカウント識別ネームはお好きなように。
受信メールサーバー「imap.softbank.jp」を入力し、アカウントタイプは「IMAP4」に。
ユーザーネームはi.softbank.jpアドレスの@から前の部分、パスワードは先ほど入れてあります。
送信メールサーバーは「smtp.softbank.jp:587」を入力し、下の二つには必ずチェックを入れます。
メールサーバーへのアクセス間隔はお好みで、
これでアカウント設定は完了。メールボックスの送受信操作を行うと、さきほどパソコンからi.softbank.jpにテストで送ったメールがちゃんと受信できました。
で、これをパソコンに返信してみると、
おおおおおおお、パソコンにもちゃんと届いたじゃないですか。
というわけで、iPhone 3GのSIMをXPERIAにさした場合、ただ単に音声通話とSMSが出来るだけでなく、i.softbank.jpのアドレスを使って普通にメールのやり取りが出来ることがわかりました。
しかもメールが届いた瞬間にXPERIAが鳴ってくれますし(iPhone 3Gは届いた瞬間は画面に表示が出るだけで音/バイブが鳴らず、受信操作を行ったときに初めて鳴るようになっている。)、i.softbank.jpは携帯電話各社が、「パソコンからのメールは拒否」という設定の対象から外してくれているので、まさに“普通の携帯電話のメール”として活用することが可能なのです(問題は絵文字が使えないぐらい?)。
これはまさにうれしい誤算。なまじiPhoneを使うよりQWERTYキーボードもあって、メール着信時に電話が鳴るXPERIAのほうがいいぐらいです。こりゃiPhoneいらんかなぁ(^^;)
いやはやこれでXPERIAがデータ定額制で使えればなぁ…
iPhone契約者は必ずパケット定額フルを契約してるんだし…
このiPhoneの契約を活かせればなぁ…
そんな夢のような微笑の世界を想像してしまいます…
…ええ、想像ですよ。
僕の期待をこめた、ただの想像ですとも。
11月の料金が確定するのは12月ですから(爆)
あ、XPERIAでデータ通信を利用される皆様。Settings→Connections→Advanced Network→HSDPA/HSUPAの項目は「Enable HSDPA only」に、
SoftBank/iPhoneのSIMを挿したときに自動設定される、アクセスインターネットのAP設定「SoftBank」は、仮に使うことがなくても消さないようにしてください。
こうしておかないとうまくネットワークにつながらないようです。
次回は音質評価篇をお送りする予定です。いやこれが結構音がいいんだ、XPERIA。
なかなか興味深いレポートですね。
データのみにはなりますが、b-mobile3GのSIMカードだと定額(といっても150時間)で使えるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう?
実は、OQOのHSDPAモデルでb-mobile3GのSIMカードが使えるという情報を聞き、注文中なのです。
たぶん、VAIOのWWANモデルでも使えると思います。
XPERIAでも使えると一気に購入意欲が高まりますね。
by noririn (2008-11-17 10:44)
いつも拝見しています。
今回もまた「知りたいところ」を実に詳細に検証してくださって、ありがとうございます。
自分もXPERIA発表時の1.7GHz帯対応表示に小躍りしたひとりですので。
今回もラスト1マイルが残念な結果でしたが、iPhoneSIMに関しては大変興味深いですね。
WVGAに最速プロセッサとフルキー搭載、現時点でほぼ最強スペックのX1ですから、データ定額の問題さえクリア出来れば有無を言わず導入出来るのですが…ホントにニホンのキャリアときたら(溜息)。
自分は来年春のイーモバイル端末ラインナップに超期待していますよ。
EM-ONE登場から丸2年目、イーモバ自体も正念場ですから気合い入れてきてくれると信じています(笑)
by yonhongi (2008-11-17 12:13)
先日より楽しく読ませてもらっています。
データ定額に関する(行間の多い文書の)524524結果を楽しみにしております。ではでは。
by kiku (2008-11-17 20:46)
はじめまして、あーばれすとと申します。
私も同じくX1ユーザーです。
微笑の世界でびくびくしながらも使い倒してる一人ですね(笑)
もっとPanelが充実してくれれば、楽しさも無限大になるでしょうけど、
ちょっと流行りそうにないんですよね。
by あーばれすと (2008-11-23 10:31)
一応、HTC端末やM1000用にBizホーダイの設定が、Bizホーダイのページに載っています。
APも公開されているので、試してみてはどうでしょうか。
by DarkMark (2008-12-04 14:56)