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お零れにあずかるしか道は無し? [携帯電話・全般]

国内キャリアの中で、唯一スマートフォンをラインアップに持っていなかったauが、Windows Mobile搭載端末を出すことが発表されました。

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法人向け携帯電話の新ラインナップの発売について
~セキュリティに厳しいビジネスシーンにおいても安心してご利用いただける「W63Kカメラなしモデル」とWindows Mobile OSを搭載したKDDI初のスマートフォン「E30HT」~ (KDDIのプレスリリース)

法人向け携帯電話の新ラインナップの発売について〈別紙〉(KDDIのプレスリリース)

ベースとなるのは、SoftBank向けX01HT/X02HT/X03HT、docomo向けhTc Z/HT1100、EMOBILE向けS11HT/S12HT/S21HTの供給元で知られる、台湾HTCのHTC Touch PRO。

HTC Touch PRO (HTC香港)

Windows Mobile 6.1 ProfessionalをOSに採用し、横スライド式のQWERTYキーボード、2.8インチのVGA液晶、Bluetooth2.0+EDRと802.11b/g無線LAN、320万画素カメラを搭載するなど、今時のハイスペックなスマートフォンとしては、まぁ常識的なレベルの機能を持った端末です。

その最大の特徴はHTC独自のインターフェース「TouchFLO 3D」と、背面の「ダイヤモンドカットデザイン」のはずなのですが、

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なぜかau版はその二つが無くなって、インターフェースは一つ前の「TouchFLO」、背面は普通のフラットなデザインとなっています。

でこの話を聞いて最も疑問に感じたのが、TouchPROは現時点ではW-CDMA/HSDPA版しか発売されておらず、CDMA2000 1x EV-DO版は存在しないため、HTCがわざわざauのためだけに無線部を変更したTouchPROを新規開発したりするものなのか?ということ。

過去何度も書いてきましたが、CDMA2000規格は世界的には完全に負け組規格で、ヨーロッパでは採用しているキャリアは一つとしてありません。なので世界1位のNOKIA、世界4位のSonyEricsson(日本は除く)はCDMA2000端末から撤退し、世界2位のSAMSUNG、世界5位のLGあたりもGSM/W-CDMA/HSDPA端末が主力商品となりつつあります。

これはWindows Mobile端末でトップを走るHTCも同じで、大半の機種はW-CDMA/HSDPA版でのみ展開し、一部の端末だけCDMA2000化して米・韓で細々と売ってるような状況です。 

ですから、ただでさえ市場規模の小さい日本のスマートフォン市場なのに、その中で最弱のキャリアのためだけに、一から無線部を作り直した端末を供給するとなると、さすがのHTCといえども開発費用回収のために、端末代は大幅に高くなってしまう(販売価格10万円越え確実?)であろうと思ったのです。

しかし、この疑問に対する答えは海の向こうにありました。

Hands-on with Sprint's Touch Pro (engadget mobile)

なんとアメリカ国内でCDMA2000を展開するSprintが、CDMA2000版TouchPROを導入するというのです(ちなみにSprintNextelはシェア3位、同じCDMA2000のVerizonが2位で、GSM/W-CDMAを採用するAT&Tが1位。W-CDMAのiPhone 3Gは当然AT&Tが展開中。)。

実はauのCDMA2000というのは、隣接するアナログテレビ(UHF帯)との干渉問題から、周波数の上下割り当てが国際標準と逆になっていて、同じCDMA2000を採用する米・韓を中心とした海外キャリアと、端末を共通化するのに無駄な手間がかかるので、それがauの端末が専用設計の国内メーカー端末ばかりで、SoftBankやdocomoのように海外端末を利用することが出来ない原因の一つにもなっているのですが、無線部をそっくり入れ替えるのと周波数の上下逆転機能をつけるだけなら、断じて後者のほうが開発コストが少なくすみます。

つまり今回auがTouchPROを導入するのは、HTCにau用のスマートフォンを作ってもらったというよりも、SprintのTouchPRO導入のお零れにあずかることが出来たから、というのが真相ではないかと思うのです。

そう考えてみると、engadgetに出ているSprint版TouchPROの背面はダイヤモンドカットではなくフラットですし、Cメールは受信のみ、EZwebも絵文字も非対応と、au向けの独自機能がほとんど何もついてないE30HTが、なぜか「グローバルパスポートCDMA」にはしっかり対応している(グローバルパスポートCDMA対応=海外使用時と国内使用時でCDMA2000の上下周波数が逆転するようになっている)というのも理解できます。

結局のところ今回のE30HTは、auがちゃんとユーザーニーズを見たからではなく、iPhoneの国内発売でにわかに注目されはじめたスマートフォン市場で、「唯一スマートフォンを発売していないキャリア」という悪イメージがつく恐れがあったところに、SprintのTouchPRO導入を渡りに船と乗っかることで、当面の危機を回避することに主眼がある、そんな風に見えてくるのは僕の勘ぐりすぎでしょうか?(でなきゃ発売が来年春以降の製品をこんなタイミングで発表したり、法人向けルートでしか売らないというあまりのやる気の無さを説明できない。)

 

というわけで、スマートフォンを待ち望んでいたauユーザーさんが「やった!」という快哉を叫んだであろうE30HTの発表でしたが、僕にはCDMA2000を採用してしまったauの今後の端末戦略が困難に満ちていることを、白日のもとにさらけ出しただけの出来事に感じました。

実はauも本音では「早くCDMA2000なんてやめて、3.9G→4Gで世界共通規格に移行してしまいたい。」って思ってるかもしれませんね。


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コメント 7

しー

なるほど、
・グローバルパスポートCDMAに対応してるのに、GSM非対応な理由
・au独自サービスの色が全くない理由
が分かりました。
by しー (2008-09-12 10:37) 

Virgo

なんか、もう今のままでは、使っている機種が壊れないことを祈るだけですね。

auユーザーとしては。
by Virgo (2008-09-12 11:20) 

かつぽん

全く同意ですね。
cdmaOneが始まって以来のau/IDOユーザーですが、
もういい加減しびれが切れてきましたね。
by かつぽん (2008-09-12 11:25) 

satomi

>iPhoneの国内発売でにわかに注目されはじめたスマートフォン市場で、「唯一スマートフォンを発売していないキャリア」

これがなければ正直出していなかったんだろうなあ、と思います。

機種自体はいいかな? と思うのですが・・・(^^;;)


by satomi (2008-09-12 17:30) 

arkstar

シルエット、デザイン嫌いじゃないです(^_^;)
ただ、持ちたいか(個人販売してくれたとして)となると、
うーん、iPhone有るしなぁって思ってしまいます(^_^;)
by arkstar (2008-09-12 18:10) 

ライダー

長年使用し続けたAU(IDO時代から)ですが、先日とうとうMNPで移行しました。
170ヶ月以上使用してきたので愛着はあったのですが、ソニエリ端末の撤退等、魅力ある端末がなくなってきた事であきらめがつきました。
ずーとSONY製の端末を購入し続けてたので、今後は海外ソニエリ端末オンリーになりそうです。
故障しても本体基盤以外であればOEMパーツ販売の海外ショップからパーツも購入出来、自分で修理出来るし(笑)
by ライダー (2008-09-15 17:00) 

通りすがりですが近場のヒト

わらた。↓

ドコモとソフトバンクから「Touch Diamond」「Touch Pro」登場

http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/41859.html
by 通りすがりですが近場のヒト (2008-09-18 18:32) 

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