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VAIOがVAIOであり続けるために [Sony・VAIO]

Sony年末商戦向け製品発表Week、今日はVAIOの発表です。

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写真、動画、音楽などエンタテインメントを徹底的に楽しむ“VAIO”6シリーズ16機種 発売
~デジタル一眼レフカメラによる高画質写真の本格編集に適した[フォトエディション]モデルを投入~

VAIO パーソナルコンピューター

7月のtypeZ/typeS/typeFの発表時に、VAIOの意味を「Video Audio Integrated Operation」から「Visual Audio Intelligent Organizer」に再定義し、第三章に突入したVAIOですが、今回のモデルチェンジではtypeR/typeL/typeA/typeCの4機種がフルモデルチェンジ、typeJという新タイプが加わるという大きな進化を遂げ、名実ともに“VAIO第三章”が本当のスタートをきった感じです。

 

それぞれの機種を見ていくと… 

VAIO誕生のときからラインナップに存在し、常にデスクトップVAIOの最高峰モデルとして君臨してきたミニタワータイプVAIO「R」も、今回ついにセパレートというフォームファクタと決別し、25.5インチWUXGA液晶一体型デスクトップとして生まれ変わることとなりました。

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結果的に「最後のセパレート」となったVAIO type Rmasterを昨年末に購入した僕ですが、あのRを液晶一体型タイプへと変更したことには、「よく決断した」と高い評価を与えたいと思います。

今の日本で大柄のデスクトップPCへのニーズは非常に少なく、Sonyのような大企業がビジネスとして成り立たせるのはかなり困難な状況です。

しかもそういうのを欲しがる層というのは、概してPCに対するリテラシーが高く、何も色々とサポートやお膳立てがされていて、その分割高な大手メーカー製など買わずとも、いわゆる自作PCやショップ・格安通販系メーカーの安いPCを買って、自力で使いこなしていくことが出来てしまうので、あえて「VAIOを買う」というのは、相当なこだわりを持つ人か、僕のような面倒くさがりやぐらいしかいないというのが正直なところでしょう。

つまり「Sony/VAIOの独自技術・ブランドに魅力を感じる人」と「大型デスクトップを欲しがる人」というのは、ほとんど重なることはないわけで、そんなニッチ中のニッチにtype Rmasterを「何でも出来るハイパワーPC」として売るよりも、「ビデオ編集機」「写真編集機」という明確なコンセプトを打ち出して、ユーザーは場所をとらず設置が楽で、メーカーは拡張性が低い分サポートが簡単な液晶一体型として売るほうが、ビジネスとしてうまくいくと思います。

 

…なんて難しいことを考えなくても、こんなハイパワーPCをあえて液晶一体型で作ってしまい、Adobe RGB 96%カバーの25.5インチWUXGA画面に、S-masterデジタルアンプ+専用開発の2.1chスピーカー、BDドライブ搭載と、ここまで物量を投入してしまうのは、いかにもSonyらしいおバカっぷり(笑)。こういう企画が通ってしまうVAIO事業本部はやはり面白いところだなと思います。

 

続いて念願のフルHD(ただしWUXGA)液晶を手に入れたtypeL。

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これも24インチWUXGA画面を手に入れたことで、「PC+フルHDテレビ+BDレコーダー」という家電的なアプローチが取れるようになりました。

国内大手メーカー製PCを欲しがる初心者さんというのは、今でもPCに対して「何に使うものなの?」っていう印象が強く、あえて「あれもできる」「これもできる」とPCとしてのアピールするよりも、「これを買えばテレビとビデオになります」という便利家電として訴求するほうが、財布の紐が緩みやすくなるものです。

まして今のBRAVIAのラインナップはフルHD機は40インチ以上にしかなく、スペースの関係で32インチ以下のテレビしか置けない人にとっては、typeLは24インチフルHD地デジテレビ(BDレコーダー付)として使うことも視野に入ってくるでしょう(VAIO事業本部からテレビ事業本部へのあてつけか?(笑))。

Sonyもそこらへんはわかっているようで、typeLはMPEG-4AVC/H.264トランスコーダーチップを搭載して、BDレコーダーばりの「長時間録画」まで出来るようになっています。

 

次は名前はGood Morning VAIOをデザインはVAIO Pを思い起こさせるtypeJ。

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これはtypeLの下、家族でも各個室で使うようなパーソナル使用向けデスクトップPCといったところでしょうか。カラーは4色から選択可能で、テレビチューナーを搭載しない分、ネットやPCパワーを活かしたアプリケーションを使用する「便利PC」のようなコンセプトとなっています。

 

ノート型はフラッグシップのtypeAがモデルチェンジ。

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これは完全に「typeRでかすぎ!」というお客さんに向けた製品ですね。ビデオ編集・写真編集の二つのエディションを分けたのもRと一緒。逆にVAIO第三章共通のシリンダーデザインを採用するなど、今までの重厚一辺倒のtypeAシリーズと違って、軽快なデザインとなっているのはなかなか評価高いです。

フットプリントがそれほど小さいわけではなく、バッテリや本体質量から「持ち運ぶ」ということも考えにくいtypeAを買うんだったらtypeLやtypeRを買えば?という考え方もありますが、ディスプレイを閉じてしまえば部屋に圧迫感を与えないノート型は一定のニーズがあるもので(特に電源の入っていない時の、真っ黒で大きな画面は奥様方に嫌う人が多い)、このシリーズはtypeNやtypeFほどは売れなくても、地道に続いていくことになるんだと思います。

 

最後が今のVAIOでは売れ筋ラインアップの一つであるtypeC。

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ああ、またもやイメージ写真は女性の脚ですか(笑)もうこのシリーズはひたすら「女性」「女性」「女性」なんですね。

>まるで感情を表現するかのようにイルミネーションLEDが輝きます。たとえば、天板のソニーロゴのまわりを拭いてあげたり、なでであげると喜んだように激しく、スリープ状態のときには寝息のように穏やかに。カラフルな光で、いつもあなたを楽しませてくれます。

これまたなんともベタな機能をつけてきたもんで…果たして世の女性はこんなPCに喜ぶのか、発売が楽しみです。

 

以上今回発表の5機種を見てきましたが、これでまだフルモデルチェンジをしていないのは、typeG/typeT/typeUのモバイルトリオとtypeNぐらいになって、VAIO第三章の世界観は確実に構築されてきました。

今回の5機種を見て僕が感じたのは、いかにPCの安売り競争に引きずり込まれないようにするか、Sonyがかなり苦労しているなということ。

typeRが一般的なミニタワー型から液晶一体型になったのも、typeLを明白に「テレビデオPC」として家電的な製品コンセプトで売るのも、“普通のPC”というジャンルから離れ、VAIOの土俵で戦おうという戦略に他なりませんし、typeCなんかは誰に売りたいモノなのかを明確にして、買う側にわかりやすさをアピールすることで、お客さんにお金を出してもらえるようにしよう、という考えが見え隠れしています。

僕は最近流行の5万円PC(ULCPC)をSonyがやっても意味が無いというのが持論ですが、それはとりもなおさず「メーカーバッジがSonyとなってるだけのパソコンはVAIOとは呼べない」ということ。

MSとIntelと台湾メーカーにPCの基幹となる部分を押さえられたなかで、5万円のコストでSonyらしい部分VAIOらしい部分を付加するなど絶望的というのが現実であり、他社のパソコンではなく“VAIOでなくてはならない”意義を与えようと思ったら、結局それなりのお金がかかってしまうものです。それを忘れて、中身の乏しい安いだけのPCを出してしまったら、VAIOはそこいらの凡百のパソコンメーカーと同じレベルになり、かえって見向きもされなくなってしまうことでしょう。

VAIOがVAIOであり続けるために、お客さんを納得させられるだけの価格に見合った機能とサポートを提供する。それが今Sonyに課せられた課題なんだと思います。

 

それでも目標の1000万台に向けて、安売りPCを売る必要が出てきたら、VAIOではなく“AIWAのPC”を作ってみるのはいかが?(^^;)


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Riever

うーん・・・type Rの低性能化(爆)だけは喜べません。
確かに自作すればいいとはなるんですが、自作だとDSD系が・・・。
Sound RealityをPCIボードとして売ってくれれば自作でいっこうに構わないんですが、そう考える私は変人ですかね(^^;;;

逆にLの方はWUXGAを手に入れたことでけっこう評価したいところなんですが、欲しいかと言われると・・・
by Riever (2008-09-10 13:38) 

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