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受動的 / 能動的 [Sony・VAIO]

2008年5月7日。VAIO2008夏モデルの第二弾が発表されたこの日、品川のSony本社にて「VAIO開発者が語る!ホームネットワークミーティング」が開催されました。

このミーティングに僕も運よく招待されたのでレポートを…と思いましたが、僕がウダウダと文章を書き連ねなくても、参加者の皆さんのエントリーがトラックバックされているイベントレポートBlogがあり、kozyさんのBlogにいたっては開発者さんのプレゼン内容がビデオで丸ごと載っているので(さすがTG1+eyeVio、便利な時代になったものです)、細かい部分はそちらを見ていただいたほうが確実だったりします(^^;

そんなわけで僕は製品のインプレッションを中心に、今日はCP1篇から。

今回のVAIOのモデルチェンジの中心は、VAIOエクステンションラインとして発表されたホームサーバー「ライブログステーション HS1」とフォトフレーム「キャンバスオンライン CP1」の二つとなっていて、ミーティングもこの二製品の開発担当者さんによるプレゼンを中心に進みました。

キャンバスオンラインCP1を担当されたのは、VAIO商品企画1課の西方伊織氏。噂によると「マウストークVN-CX1」とか「Bluetoothオーディオコントローラー VGP-BRM1」といった、チャレンジングな企画に携わってきた方のようで、

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CP1の企画のスタート地点は「置時計のような家にどこにでもある存在の再発明」という発想だったそうです。

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そうして完成したCP1。アンベールされた時の第一印象は、「3万円にしては質感の高いフォトフレームだな」と感じました。

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各種インジケータも下のアクリル部に浮かび上がるようになっていて、Sonyお得意のフローティングデザインが継承されているのも好印象です。

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液晶は7インチの大きさに800×480ドットの解像度となっていて、視野角も広く、この手の製品としてはかなり綺麗な画面を持っていると言えるでしょう。

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各種メモリースロットは裏面下側に。

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裏面上部には操作用ボタンが並んでいます。

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ここでびっくりさせられたのですが、会場でいきなりCP1の生分解ショーが!

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発表直後の新製品をブロガーの目の前で分解して見せるなんて世界初の試みではないでしょうか、分解しながら各パーツの説明までしてくれます。

液晶は24bit(1677万色)タイプの高品質なものを投入しているとのこと。

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メイン基板も見せてもらいましたが、確かに中央左にCPUとなるfreescaleのiMX31(ARM11コア)、中央にXILINXのプログラマブルチップ(XCシリーズ?)が見えます。筐体左上隅にはWi-Fiのアンテナ。

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基板は二段構造となっていて、メイン基板の下にカードスロットやUSBとつながっている基板が収められています。

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液晶パネルもかなりお金がかかっていましたが、左右のステレオスピーカーも「何もそこまで」と思うぐらいしっかりしたユニットが使われています。

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こういうところがSonyならではといったところでしょうか。

 

というわけでモノとしての出来は十分なこの「キャンバスオンライン CP1」ですが、「?」と思うような部分もちらほら。

もともとSonyでは同時期に「S-Frame」という製品を出しているのですが、このS-FrameとCP1の一番の違いは「ワイヤレスLAN搭載」という点にあります。

S-Frameはあくまで単純なフォトスタンドであり、メモリースティックなどの外部メモリや512MBの本体メモリ内の写真を表示するなど、「それ単体で完結する」家電的製品であるのに対し、CP1は本体メモリを100MB弱しか持たず(写真用は約85MB)、ホームネットワーク内のPCやサーバー、もしくはGoogleフォトといったネットの向こうにあるフォトストレージサービスの写真を表示するなど、「他の機器とつながる」ことで完成するIT的製品となっています。

そしてそれらが「ワイヤレス」でつながるためにWi-Fiを搭載しているはずですが、

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電源はACアダプタオンリーで、電源ケーブルの呪縛からは逃れることが出来ません。

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コストやら商品特性やら色々難しい問題もあるでしょうが、やはりこの製品はユーザーがスライドショーなどで“受動的”に写真を閲覧するような、昔からある写真立てをデジタル化したものではなく、ネットワークにつながることで実質無限の容量を持ったフォトフレームとして動作し、置いて使わず手に持って、ユーザーが大量の写真の中から“能動的”に写真を閲覧していく製品に位置づけたほうが、S-Frameとも差別化出来てよかったのではと思います。

そうなると「バッテリ駆動」の次に当然の帰結として出てくるのが、「操作はタッチパネルにすべきだった」ということ。

せっかくSonyは社内でこんな技術を開発済みなのですから、ワイヤレスで次から次と手元に写真を取り出し、指によるジェスチャー操作で写真をめくったり、いわゆる「フリック」「ピンチ」操作で写真のスクロール・拡大・縮小をさせて、みんなでワイワイと写真を見ていくような、そういう「新時代の写真閲覧装置」のほうがVAIOブランドにふさわしかったのではないでしょうか。

なにせこのCP1、Wi-Fiを活かしてネットブラウジングしたり(Operaブラウザ搭載)、RSSリーダーによるニュース・天気情報を画面に流すことも出来るのですが、それを操作するのが、

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この小さなリモコンか、あの裏面のカーソルキーで、ってちょっと無理がありません?あれがタッチパネルだったら、ブラウジングももうちょっとやりやすくなっただろうと思います。

逆にリモコンで操作するような“離れて見る受動的メディア再生装置”としてCP1を訴求するのであれば、同じ受動的メディアであるテレビ=ワンセグを搭載するとか、今は下火になりましたけどはてなのRimoのような、YouTube流し見装置として訴求するという手もあったでしょうし、西内さんの意気込みがS-Frameとの完全な差別化まで持っていけずに、ちょっと空回りしている感があります(置き時計から発想しているということは、受動的な使い方を想定していた?)。

なお非公式ながら、搭載しているOperaブラウザはYouTube動画を再生する能力は持っていたりします(CPUパワーが絶対的に不足していてカクカク再生ですけど)。

 

以上キャンバスオンライン CP1を見てきましたが、ガジェットとしてのハードウェアの出来は素晴らしいだけに、製品の立ち位置の曖昧さが悔やまれます。はっきり言えば、

「これでどう生活が楽しくなるのかいまいちピンと来ない。」

そんなところでしょうか。

まぁこれは第一弾製品ですし、VAIOエクステンションラインもまだまだバリエーションを増やしていくみたいなので、これからさらなる改良を続けて、素晴らしい製品に仕上げていってもらいたいです。アップデートにも対応するらしいので、

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Sony恒例の「ちょっと時代を先取りしすぎてうまく行かなかったら、時代が追いつく前に放り出してしまう」(^^;ということが無いようにお願いします。

次回はライブログステーション HS1篇をお送りします。


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コメント 2

アントン清水

何故、日本企業は、発想を自由に出来なくなってしまったのでしょうか。
企業論理で無い発想が、SONYの強みだったのに、残念。
「Chumby」には、遠く及ばず。
Sonyは、「Chumby」のような製品を出して初めて、評価を受けられるかと。。
by アントン清水 (2008-05-10 19:36) 

kozy

だいぶ前の話になりますが、お疲れ様でした!
あと、ご紹介ありがとうございます!分解動画にはakoustamさんがちょっぴり写ってしまいました、すいません(汗)

by kozy (2008-05-26 11:27) 

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