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Panasonic ブルーレイDIGA DMR-BW800 Review BDプレーヤー篇 [minpos Review]

筐体をレビューしてからすっかり時間がたってしまいましたが、DMR-BW800レビュー今日はBDプレーヤー篇をお送りします。

※レビューに使用したDMR-BW800は、minpos Review用にWillvii様&松下電器様より貸与されたものです。

基本的にはBD“レコーダー”であるBW800ですが、日本では一部の高級機を除いてBDプレーヤーが発売されてないので、実質的にBDプレーヤーといえばPS3しかないに等しい状態になっており、ゲームに興味の無い人がレコーダーを“プレーヤー”として運用することも多いと思われます。

そこで純粋にプレーヤーとしてBW800にどれほどの実力があるのか、実は優秀なBD/DVDプレーヤーでもあるPS3と比較してみましょう。

 

まず比較したのが起動から再生までのローディング時間。

BW800もPS3も単体プレーヤーではなく複数の機能をもった複合機なので、起動→再生にはそれなりに時間がかかります。昔のCDプレーヤーなんかは電源入れたら即起動→数秒で再生開始が当たり前でしたが、それも昔の話。今のデジタル家電の中身はコンピュータと化しており、内部OSの起動、周辺部の初期化、CD/DVD/BDという複数の規格が混在するディスクの認識など、やらなくてはいけないことが山盛りなので、時間がかかるのも致し方ない面があります。

BW800は基本レコーダーなので、トレイにディスクを乗せた状態からリモコンの「再生」ボタンを押しても、録画したHDDの番組の再生を始めてしまいます(直前に見ていた番組をレジューム再生する)。なので、ディスクを乗せたら「開/閉」ボタンでトレイを閉めるということをやらなくてはいけません。

トレイが閉じてディスクを認識すると自動でプレーヤーモードに切り替わり、再生がはじまります。

一方のPS3は電源は入っていようとなかろうと、スロットにディスクを差し込むことでディスクが吸い込まれ、再生がはじまります。

なので、BW800は電源ON状態で「開/閉」ボタンを押してから最初の画面が出るまでの時間。PS3も電源ON状態からスロットにディスクを差し込んで最初の画面が出るまでの時間を計測します。

BD「スパイダーマン3」の場合。

・BW800 最初の画面まで 52秒
・PS3 最初の画面まで 31秒

DVD「スターウォーズエピソード2」の場合。

・BW800 最初の画面まで 26秒
・PS3 最初の画面まで 29秒

このようにBW800はBDのローディングがあまり速くないという結果となりました。DVDのローディングが遅くないことを考えると、BW800はトレイに入っているディスクを認識するときに、「これはDVDだろう」と最初に決めうちしてくるアルゴリズムなのかもしれません。

一方のPS3はどっちが入ってもあまりローディング時間がかわりませんが、一年前にテストしたときも数秒の差だったので、PS3はディスクによってローディング時間に差が出ない機械みたいです。

というわけでBW800をBDプレーヤーとして使うと、「ローディングに待たされる」感があるのは否めません。

またローディングの遅さもそうですが、BW800はやはり“基本はレコーダーである”という部分が、色々とプレーヤーとしての使い勝手をスポイルしてしまっている部分がありまして、「BDディスクは既に入っているけど、今はチューナーとしてテレビを見ている」状態からBD再生に持っていこうとすると、まずリモコンの「BD/SD」ボタンを押してモードを切り替えてあげなくてはいけません。

しかもこれが「BD」ボタンではなく「BD/SD」ボタンになってるのが質悪い。一発でBDプレーヤーモードに切り替わらずテレビ画面にこんなものが出てきちゃうんです。

SDカードの中に入っている音楽や動画を再生する機能もあるからでしょうが、ここでさらにBDを選択しなくちゃいけないのがなんとも煩雑で、「この機械の主役はBDじゃないのか?」と思ってしまいます。毎度言いますけど松下はSDカードに縛られすぎ…

とにもかくにもこれでBDプレーヤーモードに切り替わって、テレビ画面はこうなります。

この状態で電源を切った場合は、次回電源を入れたときも「BD/SD」モードで起動してレジューム再生も可能ですが、この状態からトレイを開けるとその瞬間に「HDD/チューナー」モードに戻るようになっています。

もう一つプレーヤーとして使い勝手悪いなぁと思ったのがBW800のリモコン。

また後日リモコンだけで独立したエントリーを書く予定ですが、このBW800のリモコン、レコーダーとしてのキーが最優先配置されており、僕がBD/DVD鑑賞時に頻繁に使う「字幕切り替え」ボタンがありません(洋画は初見時以外は字幕を切って鑑賞したり、こまめに切り替えて鑑賞することで外国語ヒアリングの練習にしてるんです。)。

PS3のBDリモコンや、

DVDシアターシステムであるDAV-S880のリモコンにはちゃんとあるんですけどね。

ちなみにBW800リモコン「字幕」ボタンは無いのに「音声」切り替えボタンはあったりします。謎だ…

全体にリモコン操作に対するレスポンスも遅いですし、純粋なBD/DVDプレーヤーとしての操作性は、BW800よりもPS3+BDリモコンのほうが圧倒的に上と言わざるをえません。

 

じゃあBW800はプレーヤーとしてダメダメなのか、というとそうではなかったりします。実は画質がすこぶる良いのです。

まずはBD「スパイダーマン3」をBW800とPS3で再生。

BW800+BRAVIA X2500 HDMI接続

PS3+BRAVIA X2500 HDMI接続

さすがにデジカメ写真で差はわかりにくいのですが、BW800のBD再生画質は非常に解像感が高く、「まさにフルHD」というシャッキリ&クッキリとした映像を映し出します。上にあるクレーンがビルを破壊するシーン、CGでガラスの破片が細かく飛び散るため、MPEG-2では最もブロックノイズが出やすい状況ですが、SPEのH.264オーサリング能力の向上もあって、ノイズも無く一つ一つの破片が細かく描写され、BW800の特性が存分にいきてきます。

また今までBDプレーヤーとしてPS3しかなかったので、PS3の映像の傾向というのがつかみにくかったのですが、このBW800との比較で、「シャッキリ・クッキリ高解像度」ではなく「スッキリ滑らかフィルム的な優しい描写」を狙ったチューニングをされているんだなと感じました。

PS3にはプレーヤーとして「ブロックノイズリダクション機能」や「フレームノイズリダクション機能」もあることから、SCEの映像チューニング担当者は高解像度バリバリといったビデオ映像的押し出しよりも、フィルム+プロジェクタ的な映像を好む人なのかもしれません。

 

もう一つBW800もPS3もDVDアップコンバート機能があり、HDMI接続するとDVDも1080pで出力するのでそのアップコンバート画質を比べてみます。

XEL-1とBW800をHDMI接続したら画面表示はこうなる。

映像はDVD「スターウォーズエピソード2」

BW800+BRAVIA X2500 HDMI接続 1080pアップコンバート

PS3+BRAVIA X2500 HDMI接続 1080pアップコンバート(ノーマルモード+ノイズリダクション切)

これもこの画像で比べてどうするって感じですが、映像の傾向はBD再生時と同じで、BW800がカリカリにエッジが立った解像度感重視。PS3が解像度感を確保しながらも、エッジ付近のノイズを減らそうとしたソフトな映像になります。

ただBW800は解像度重視のあまり、単純にラインダブラーで2倍に引き伸ばしただけ?みたいな感じに取れないことも無く、アップコンバート性能は「2倍」モードなどユーザー設定が自由に選べることも含め、PS3のほうが良いなぁと思いました。っていうかPS3のDVDアプコンは、本体価格から考えると破格の大バーゲンセール機能なので、さすがのBW800も「参った」ってところでしょうね。

最後に発色の傾向を見るために、液晶ではなく有機ELテレビにつないでみます。素材はDVD「レイダース 失われた聖櫃」で僕が最も好きなシーン。

BW800+XEL-1 HDMI接続 1080pアップコンバート

PS3+XEL-1 HDMI接続 1080pアップコンバート

このシーンではエジプトの明るい空や建物の白壁と、インディ・ジョーンズに一発でやられるおっさんの黒い服が混在しており、液晶だとどうしてもおっさんの服のディテールが甘くなってしまいます。

これは写真にもはっきり出ていますが、BW800は全体に明るめに映像を出す傾向があり、色も少し濃い感じになります。一方のPS3はここでも全体に地味で落ち着いた発色となっており、全般に「元気なBW800」「やさしいPS3」という映像チューニングのが見てとれます。僕のXEL-1がPS3を基準にして画質調整されているので、少し色を濃くした設定になっているのですが、BW800のときは少し色を薄くしようかなと思ってしまいました。

 

以上BW800のBD/DVDプレーヤーとしての能力を見てきましたが、

・使い勝手 △
・画質(特に解像感の高さ) ◎

という結論となりました。とにかく再生画質はすばらしいものがあり、さすがPHLを傘下に持っているだけあって、松下はエンコーダだけでなくデコーダも優秀なものを作るんだなと感心しました。この映像の傾向はどちらかというと明るくはっきりした映像を好む日本人に、非常にわかりやすい「高画質」だと思うので、最大のボリュームゾーンを外さない製品作りは、まさに松下電器という会社の面目躍如だと思います。

だからこそ全体のレスポンスの悪さ、メニュー構造、リモコンのキー配置の偏りからくる使い勝手の悪さがどうしても気になります。とにかく世の中にはPS3というレスポンスに優れたBDプレーヤーが、4万円で大量に出回っているのですから、20万円の機械がこの使い勝手というのはちょっと許されないでしょう。

まずはユニフィエの処理能力の高さを使ってレスポンスを向上させること、DIGAの技術陣には次回作でここに取り組んでほしいですね。

 

でもやっぱり単純にBDプレーヤーを国内で発売してくれればいいんですよねぇ。やっぱりレコーダーはレコーダーであって、純粋プレーヤーとして使うものではないですから。Sonyも松下もシャープもなんで売らないんだろう…


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Riever

>MPEG-2では最もブロックノイズが出やすい状況ですが、SPEのH.264オーサリング能力の向上もあって
一つ気になりましたが、H.264はMPEG-4の分類ですよね。間違っていたらスミマセンm(_ _)m

レコーダー、再生面でまだ未熟な面があるみたいですね。
使うのに慣れればいいのでしょうが、やはりBD/SDモードなど、煩わしいものは煩わしいですね。

ちなみに上の比較画像(特にスターウォーズ エピソード2)を見てみた感想ですが、私は日本人の例に漏れず(?)、映像はくっきり派みたいです(笑)
by Riever (2008-01-14 19:38) 

かつぽん

SDモードは無いな(爆)
SDで繋がる〜ってのをウリにしたいのはわかるんだけど、
この価格のレコーダーでそれは無いだろうと(爆)(爆)
by かつぽん (2008-01-15 12:24) 

akoustam

>Rieverさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

ちょっと文章がわかりにくかったですね。あの一文はMPEG-2ではなくMPEG-4AVC=H.264の採用で、まずブロックノイズが一段減り、オーサリング時のビット割り当てでさらにノイズが減ったという二段階での減少を意味してます。

BW800の映像傾向はエッジが立った感じなんですよね。だからキリッとした映像になってます。
by akoustam (2008-01-29 01:25) 

akoustam

>かつぽんさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

ことあるごとにSDカードが出てくるんですよねぇ、何もそこまでこだわらなくていいと思うのですが。
by akoustam (2008-01-29 01:26) 

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