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BRAVIA第三章“サイズ以外に不満は無し” [Sony・TV]

既報の通り、BRAVIAがフルモデルチェンジし、X7000/X5000/W5000/V5000/V3000と大幅ラインアップ拡充となりました。

BRAVIA<ブラビア>

BRAVIAも登場から丸二年。最初に登場したX1000シリーズは、全波ダブルチューナー、XMB、DLNA対応など、ハイエンドらしい高機能機としてスタートしましたが、昨年のX2500シリーズでは、一転機能は大幅に削られシンプルな構成となり、画質・デザイン・カラーバリエーションでアピールする戦略となりました。

しかしその戦略はSony的には失敗。台数としては売れたものの単価下落が激しく、商品寿命の限界が来たのと、春モデルJシリーズがフルHD未対応だったこともあって、今年の第一四半期に液晶BRAVIAさえ大幅赤字という結果になってしまいます。

今回はその反省を踏まえてなのか、デザインは評価の高かったX2500そのままに、X1000級の高機能を復活させ、下のグレードになるV/Wシリーズも完全にフルHD化し、無線リモコンやBRAVIA LINKなど競争力のある機能も持たせ、再度巻き返しを図ろうとしています。

 

では今回のBRAVIAのフラッグシップになるであろう、70インチのX7000から見ていきましょう。

BRAVIA KDL-70X7000

・LEDバックライト“TRILUMINOS”

アメリカでは高級ブランド“XBR”で展開し、日本でも7000番という型番が与えられるだけあって、ただ単に大きいだけでなく、バックライトから根本的に違います。あのQUALIA 005に採用されていたLEDバックライト「TRILUMINOS」が久々に復活しました。

LEDバックライトの利点は、通常使われるCCFLと違って、純度の高い光を作り出すことが出来ること。結果としてNTSC比125%という広色域を実現し、QUALIA 005のNTSC比105%も大幅に上回っています。

特にCCFLが苦手とする“緑”の色域が高いので(それでもBRAVIAはライブカラークリエーションでかなり緑を克服してますが…)、店頭では森のシーンなんかが見所になると思います。僕もQUALIA 005の映像は何十回も見ましたが、通常のバックライトとは違う強烈な色は、ある意味別世界といった感じでした。

このバックライト以外は、X5000/X5050シリーズと同等の機能なので、続いてX5000シリーズを見ていきましょう。

BRAVIA KDL-52X5000/46X5000/40X5000/52X5050/46X5050/40X5050

X5000シリーズとX5050シリーズの違いは本体色。ピアノブラックだけがカラーバリエーションではなく、5050という別型番扱いとなっています。

X5000シリーズはバックライトこそCCFLになりますが、その他の機能はX7000と同じで、このシリーズがBRAVIAブランドを引っ張る高級機になるでしょう。その特長としては、

・フルHD対応倍速駆動“MotionFlow”

MotionFlowそのもの原理は、春モデルのときに書いた記事を読んでもらうとして、予想通り今回のモデルチェンジで、計算量の大きくなるフルHD対応を果たしました。それもただフルHD対応するだけでなく、「IBリダクション機能」というカメラの撮影時に生じるボケを検知して軽減する機能も追加されており、一段とシャープな映像を見せてくれると思われます。

ただこの機能、春から店頭で何度も確認したのですが、秒60コマのビデオ映像には効果的でも、秒24コマのフィルム映像にはちょっと不向きな機能に見えました。なんというかフィルム撮影の味が損なわれ、テレビゲームの映像のような見え方に感じるんですよね…

・無線リモコン“おき楽リモコン”

操作性向上のためにSonyが打ってきた手は、2.4GHz無線を使用したRFリモコン“おき楽リモコン”でした。

無線によるリモコンはPS3で使用していますが、赤外線のように機器にリモコンを向ける必要が無く、障害物があっても関係無しなので、不思議な操作感覚が得られます。おき楽リモコンはその名の通り置いて使うことを想定しており、幅広なボディとBRAVIA LINKによる他の機器との連携で、このリモコン一台ですべてのテレビ関連操作が完結するようになっています。

でもどうせXMBも復活したのですから、無線は802.11bあたりを採用して、PSPでPS3もBRAVIAもレコーダーもAVアンプも動かせる、という環境を実現して欲しかったです(昔そんな記事書いたなぁ)。

・HDMI接続で他の機器も操作できる“BRAVIA Link”

松下・シャープはとっくにはじめていた、HDMI-CECを使った相互連携制御機能がようやくBRAVIAにもやってきました。

対応している機器は、今回のBRAVIAと同時に発表されたBRAVIAユニット、シアターパッケージ、シアタースタンドと、先日発表されたTA-DA5300ESになります。これらの機種がHDMIケーブルで接続されていれば、BRAVIAのリモコンから電源ON/OFFや録画操作等が行えます。正直これは遅きに失したような…PS3もファームアップで対応してくれないかなぁ。

・静止画専用画質モード“BRAVIA プレミアム・フォト”機能

α/Cyber-shotとの連携はこういう方向できましたね。静止画表示専用画質モード“フォト”が新設され、USBポートも付いたので、デジカメをUSB/HDMI接続すると、自動的に“フォト”に切り替わるようになっています。

さらにこ画質設定はα/Cyber-shot/Handycamにあわせてチューニングされており、Sony同士の組み合わせにより“プレミアム・フォト”となるわけです。

で、Cyber-shotはD端子出力ですか?う~ん。

そのほかには、

・DLNA対応“ソニールームリンク”
・バーチャルサラウンド機能“S-Forceフロントサラウンド”
・全波ダブルチューナー
・XMBインターフェース

ここらへんはX1000から復活ですね。もちろんX2500から引き続き、

・高色域CCFLバックライト“ライブカラークリエーション”
・DRC-MFv2.5搭載“BRAVIA ENGINE PRO”
・通常色2色+受注生産色5色の7色カラーバリエーション展開

となっています。

 

というわけでX7000/X5000/X5050シリーズを見てきましたが、BRAVIAのトップエンドだけに機能は豊富、X2500から引き続きの美しいフローティングデザインと、非常に良く出来たテレビとなっています。これは間違いなく買って損は無いでしょう。

40インチ以上のテレビが置ける環境にある人なら…

ね。

特に70インチのX7000を日本に導入したのは激しく疑問です。400万円でこれを買う酔狂な人が日本にいったい何人いるというのでしょう。

日本市場では40インチより下の大きさを買う人は、液晶テレビ全体の半分以上を占めます(発表会で当のSonyが資料を提示してる!)。その半分以上の人たちを無視し、全国に何人いるかもわからない70インチの製品を出すって、なんか間違っていると思います。

大体400万円もあったら、VW100買って、スチュワートの最高級スクリーン買って、プロショップにインストール頼んでも、らくらくお釣りがくるはずですし、技術力の誇示という意味なら、有機ELのほうがよっぽどアピールになるでしょう。

それと「高画質を求める人=大きいテレビを買う人」っていうのも、おかしいと思います。PROFEEL PROに何故21インチというラインナップがあったのか、今のSonyの開発陣はよく考えて欲しいものです。

 

続いて今回新たに投入されたWシリーズ。

BRAVIA KDL-52W5000/46W5000/40W5000

これ実は中身はXシリーズと一緒です。違うのはXシリーズがサイドスピーカーなのに対し、Wシリーズがアンダースピーカーなこと。

デザインは自己主張の強いフローティングデザインのXシリーズに比べ、狭ベゼルでコンパクト、シックで目立たない路線になっています。カラーバリエーションもなく、落ち着いたこういうタイプが好みの人には良いデザインだと思います。値段も若干安いですし。

 

最後は一つ下のラインになるVシリーズ。

BRAVIA KDL-52V5000/46V5000/40V5000

BRAVIA KDL-46V3000/40V3000

VシリーズはデザインこそWシリーズと共通ですが、機能はX/Wシリーズより一段下げられています。

その差は、

・全波ダブルチューナー→全波シングルチューナー
・MotionFlowあり→MotionFlowなし
・コントラスト比低下
・BRAVIA ENGINE PRO→BRAVIA ENGINE EX
・おき楽リモコンあり→おき楽リモコン無し(V3000)
・USB端子あり→USB端子なし(V3000)
・HDMI端子3系統→HDMI端子2系統(V3000)

といったあたりです。これでW5000とV5000の価格差が4万円ですから、W買っちゃったほうがいいような気がしないでもありません。

 

というわけで三年目のBRAVIAを見てきたわけですが、結局のところ、機能・画質ともに不満はありません。今Sonyの液晶に出来ることを、ほぼ完全に実現した良いテレビだと思います。

しかしそれがなぜ40インチ以上からしか選べないのか、本文内に書いたとおり、液晶テレビ市場の半分(つまりは日本のテレビ市場そのもの)は40インチ未満が占めています。その残り半分をないがしろにする姿勢は納得がいきません。

X5000/W5000シリーズを26インチから展開してこそ、“フルラインナップ”と呼べる陣容になり、日本国内でもAQUOS追撃体制が整うと思うのですが。

 

でも僕の一番の不満は、これを日本に持ってこないで、液晶のほうを持ってきたことだったり…(^^;


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コメント 3

かつぽん

あぁ、確かに70inchならSXRDの方が存在感がありそうですもんねぇ。
ホームシアター用途にも使いやすいでしょうし・・・

サイズの話は、全く以て同意します。
これだけで今回”も”BRAVIAはスルーです。
by かつぽん (2007-08-30 23:06) 

そよかぜ

億の金を持つ方々は400万は安いらしいです・・・。
知り合いですでに2人は購入を検討しているとか。
意外に「最高級機種」も売り上げは稼げるかもしれませんね。
フェラーリとか何千万も払ってしかも何ヶ月も待つ人たちですから・・

by そよかぜ (2007-09-01 01:14) 

Virgo

非常に酷い言い方をすれば、子供に指揮権与えるなら、後見人はちゃんと腹を括って見届ける覚悟がなけりゃ、旧態然としたまま行けとワンマン振るわなきゃ、駄目です。

どっちつかずの悪者なしよなんて、下らない生き方でいいもの作れるのなら、誰も苦労はしないでしょう。
by Virgo (2007-09-01 03:44) 

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