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BRAVIA第二幕 開演! part 2 “魂を継ぐもの” [Sony・TV]

一年前にこのblogを始めて以来、僕がSonyのテレビに関する記事を書く度に、「何故日本で出さない!」と訴えてきたSXRDリアプロジェクションテレビが、ついに日本で発売される運びとなりました。

そこまでSXRDにこだわるのは、ひとえに“高画質だから”の一点に尽きるのですが、どうしてSXRDが高画質なのか書いたことが無かったので、製品に触れる前に、このSXRDとは何ぞやということを書こうと思います。

SXRDとは「Sillicon X-tal Reflective Display」の頭文字をとったもので、一般的には「LCOS(Liquid Crystal On Silicon):エルコス」と呼ばれる、反射型の液晶デバイスのSonyでの製品名ということになります。

このLCOS、今のところ市販レベルでの量産に成功しているのは、Sony、ビクター、日立の三社しかなく、あのインテルが家電市場への足がかりにしようと開発を宣言したものの、あまりの難しさに開発断念に追い込まれるという大変高度な技術でもあります。

このLCOSを地道に研究していたのが、SXRDの生みの親、Sonyの橋本俊一氏。

一年半前にあったQUALIA 006のイベントで、この橋本氏とゆっくりお話をする機会があったのですが、当のSony社内でも実際にSXRDが動いて画が出るまでは、ほとんど経営陣にも相手にされなかったんだそうです。

液晶プロジェクタというのは、ランプなどの光源から出た光を、映像を生み出す小さな液晶デバイスにあて、レンズでそれを拡大してスクリーンに投射することで、大きな映像を作り出すという構造で出来ていますが、液晶デバイス上を光が透過して画像を生み出す「透過型」と、SXRDのような「反射型」に分類されます(BRAVIA Eに使われた「3LCD」は透過型)。

透過型の場合、画素一つ一つの液晶の透過率をコントロールするトランジスタと電気配線を、画素の間に通さなくてはいけないため、いざスクリーンに大きく投射してみると、障子のような格子状の黒い線が入ってしまいます。

一方の反射型の場合、画素をコントロールするトランジスタも配線も、液晶デバイスの裏側に置いておけるので、光を反射する一枚一枚の反射板と、画素を駆動する電極の間を極限まで近づけることができ、何百インチに拡大しても格子がほとんど見えない、いわゆる「メッシュ感の無い映像」を生み出すことが出来ます。

SXRDの画素間のスペースは、わずか0.35μメートル。僕は対角1.55インチの4K SXRDが550インチまで拡大投射された映画を見たことがありますが、格子は全く見えずフィルムとかわらない滑らかな映像に、ただただ驚くしかありませんでした。

その他SXRDならではの特長は、液晶層の厚さがわずか2μメートル以下しかないという狭ギャップ構造。

一般に液晶分子というのは、液晶層が薄ければ薄いほど電気信号に素早く反応することができるので、この狭ギャップ構造によって応答速度2.5msという、残像感や動画ボケのない先鋭な映像が実現されています。

しかもこの液晶層の厚みを均一に保つための支柱にあたる、基板と透明電極の間に挟み込まれるスペーサーもないので、映像にスペーサーの影が入ったりすることもありません。

また一般的な液晶に使われる有機配向膜ではなく、無機配向膜が使われているので、長寿命で、ランプさえ交換していけばいつまでも綺麗な画像を映し出してくれます。

こうして「メッシュ感の無い映像」「高速応答」「高コントラスト」という、液晶ディスプレイの弱点をことごとく克服した夢のデバイス「SXRD」。3年前にQUALIA004でその超絶映像を体験して以来、僕にとっては、あの「トリニトロン」の魂を受け継ぐものとして、最大限の期待をしてきました。

今までは量産体制が完璧では無かったため、どうしてもプロジェクタ市場が巨大なアメリカ中心になっていましたが、念願の日本投入ということで、

お待たせしました、今回のBRAVIAの真打ち、A2500シリーズを見ていきましょう。

 

BRAVIA Aシリーズ KDS-60A2500/KDS-50A2500

ついに日本に登場することになったSXRDリアプロBRAVIA Aシリーズですが、今度はQUALIA006のような限られた人への製品ではなく、普通に電器店の店頭にならんで、プラズマや他社リアプロと対決していかなくてはいけない製品なので、絶対に手は抜けないところ。Sonyも入魂の一作に仕上がっています。

1.高画質技術

<SXRD>
これは冒頭で述べたので言うまでもないですね。液晶より速い高速応答、プラズマより高い高コントラスト、メッシュ感の無いフルHD解像度、どこまでも自然な色再現性、ライバルはビクターのLCOS「D-ILA」ぐらいなもの。その圧倒的な高画質を皆さん是非店頭で(暗めの環境で)見て下さい。

<ライブカラークリエーション>
今回のAシリーズには、120WのUHP(高圧水銀ランプ)が起用されましたが、このUHPの弱点は赤の光が少ないため、同じ白い光をあてているつもりでも、どうしても全体に青っぽい映像になってしまうことでした。

しかし新しい光学エンジンでこれをも克服。NTSC比109%という広色域を実現してまさに液晶BRAVIAと同じ「ライブカラークリエーション」を手に入れました。

 <ブラビアエンジンプロ>
part 1で触れた
とおり、Sonyが誇る最新の映像処理回路DRC-MFv2.5。これをAシリーズに持ってきたということで、BRAVIAにおけるAシリーズの立ち位置は「フラッグシップ」だということが明快ですね。前回のBRAVIA Eシリーズは「安くて大画面を」というポジションでしたが、Aシリーズは「安くても最高の画質を」というポジションというわけで、本当に“お買い得”以外の何物でもありません。

<アドバンストアイリス>
もともとデバイスレベルでも5000:1という高コントラストを実現しているSXRDですが、アドバンストアイリスと組み合わせて10000:1というコントラストを実現しています。液晶BRAVIAが1800:1とか言っているのとは桁が違います。

<スクリーン>
プロジェクタの肝はスクリーンにありますが、リビング使用を考慮して映り込みの少ないスクリーンを新開発。あとはリアプロ最大の弱点「視野角」がどこまで改善されているかに注目ですね。

2.低消費電力化

もともと原理的に消費電力の少ないリアプロですから、60インチでも215Wという低消費電力を実現。52インチで329WというBRAVIA Xに比べると、買うときも、使っていても、財布に優しいテレビになっています。

3.その他

1080p対応のHDMI入力端子3系統装備
やはりここでもBRAVIA Xと同じレベルの端子を装備。まさにBRAVIAのトップに位置するテレビにふさわしいものとなってますね。

 

こうして待望のSXRDリアプロ、BRAVIA Aシリーズを見てきましたが、もう何も言うことはありません。

「50インチ以上のテレビが欲しかったら黙ってこれを買え。」

ここまで断言します(^^;)。もはや液晶・プラズマなど敵ではありません。「奥行きデカイし…」という方、スタンド込みの奥行き測ってみて下さいな、実は10cmも違いませんから。

 

じゃあお前は買うのか?と言われると、実はかなり悩んでいます。まさか同じ日にこんな良いものが発表されるとは…

ホームビデオプロジェクター VPL-VW50

上位機種のVPL-VW100に大変な魅力を感じていたのですが、いかんせんあれのお値段は130万円、おいそれと買えるものではありませんでした。

しかし今回のVW50は、高価なキセノンランプから、安価なUHPランプに変更することで73万円まで低下、実売なら60万円のラインすら切れそうで、十分手の届く価格になってきました。

先ほどのBRAVIA Aで触れたとおり、キセノンランプに比べUHPランプは赤の光が弱く、映画のような暖かみのある映像を出すのには少し不利な面があるのですが、

それを克服しているのなら、こちらのVW50の方が100インチシアターも実現できるし、コントラスト15000:1、本来コスト削減の対象になるであろうレンズも、上位機のVW100と同じものが起用されるなど、このクラスとしては比類無き高画質を実現しそうな勢いです。

実は今の部屋に引っ越したのも、いざとなったら100インチシアターを構築することも可能な部屋、ということで選んでいるのですが。

フロントにすべきか、リアにすべきか、う~む。


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コメント 12

arkstar

外光遮断が簡単に行えるのであればフロント、
そうでないのであればリアって感じかな?って思いました。
ソニーが早々とプラズマから撤退したのは実はSXRDが有ったから?なんて思います。
プラズマの画面サイズ域で、フルHDを楽にこなす・・・・
ん?HDMIは1.3相当ですかね?
by arkstar (2006-08-31 10:29) 

sundayblue

akoustamさんの記事を読む間は
「へぇ~ほぉ~うーん~なるほど」と感嘆詞ばかり口から出てきます。

この間、電気屋さんでBRAVIAをみていた時にも思ったのですが
「SONYだから選ぶ」から「この技術が優れているから選ぶ」に
自分の感覚が変わってきた事に気付きました。
そこまでの知識は当然ないのですが
「ちょっと」だけ見る角度が変わったのかも(笑)
by sundayblue (2006-08-31 10:55) 

akoustam

>arkstarさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

気持ちはフロントに傾きつつあるのですが(外光遮断も考慮した部屋に引っ越してます。)、今日SonyビルでKDS-60A2500を見てきたところ、かなり捨てがたい感じもしてきました。

SXRD見ちゃうと、プラズマは不必要ってつくづく思います。

ちなみにHDMIは1.2A相当ですよ。
by akoustam (2006-08-31 14:57) 

akoustam

>琥珀さん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

細かい技術なんてわからなくても、SXRDは電器店に並んだら、思いっきり至近距離で見てみてください。本当にドットの境目が見えませんから。あの滑らかさは感動しますよ。

ちなみに「暗い」とか「色がどぎつい」と感じたら、それは電器店の展示が悪いだけなので気にしないでください(ちゅうかそんな素人な展示しか出来ない電器店はあてになりません)。
by akoustam (2006-08-31 15:00) 

Riever

「50インチ以上のテレビが欲しかったら黙ってこれを買え。」
この言葉、QUALIA 006を見たことがある人ならば、納得ですよね。あれに敵うものはないと断言できるほど、綺麗なので。今回は少し前に発表されたばかりのDRC-MFv2.5も搭載なので、QUALIA 006よりさらに綺麗になっていることを期待してます。
でも、以前の記事でアドバイスいただきましたが、プロジェクターの方が赤の発色がいいんですよね。akoustamさんは「いざとなったら100インチシアターを構築することも可能な部屋」まで考えてお部屋選びをされているようなので、どうせならVPL-VW50にしてみてはいかがでしょう。

何にしても、日本で再びSXRD搭載機種が販売(しかも量産で)されるのは、ただただうれしいです。
by Riever (2006-08-31 21:31) 

Virgo

スクリーンをちゃんと設置して展示したり、外光コントロールをしてお客さんに見せてるお店はほとんど皆無でしょうね。

20年ほど前、嫌と言うほど、店舗に導入するのが難しいのを実感しましたから。
せっかく導入しても使いこなす、店員さんがいないとね・・・・・・

でも、対費用効果を考えてビーズスクリーンに大枚出せるなら、黙ってフロントです。
ところで天井工作しても良いお住まいなんですよね(^_^;)

多分、実家は次はこのリアに決定でしょう。誰が払うと思ってるのかな〜うちの親たちは・・・・・自分はたまにしか見ないのに。
by Virgo (2006-09-01 07:56) 

店員佐藤

私もSXRD搭載のQUALIA 006の特別体験会以来
この日が来るのをずーっと待っていました!!
やっときましたねぇ、SXRDリアプロの普及モデル。

さすがに100万円&70型のリアプロは買えませんでしたが
うーん、確かにフロントプロジェクターもちょっと手を伸ばせば
なんとかなっちゃうところまで来ているんですねぇ。

うーん、うーん。
by 店員佐藤 (2006-09-01 12:44) 

akoustam

>Rieverさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

銀座ソニービルでA2500を見てきましたが、さすがにQUALIA006とまでは行ってなかったです。ま、かかってるコストが桁違いなので、比べるものではないですけどね。

それでも他のテレビよりかなり綺麗です。設定を追い込んでいけば、ダントツの高画質が出せるでしょう。
by akoustam (2006-09-01 18:02) 

akoustam

>Virgoさん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

天井工作は…賃貸なんでできません(^^;)。キクチのStylist Limitedみたいな自立式か、擬似天吊りで対応しようかと思っています。

本音ではスチュワートのFIREHAWK G2か、DNPのJET BLACKが欲しいんですけど、両方とも50万円オーバーなんで…
by akoustam (2006-09-01 18:06) 

akoustam

>店員佐藤さん
コメント&ナイス投票ありがとうございます。

あのイベント、今思うと店員佐藤さんの左後ろに僕が座ってたんですよね。当時は僕はblogやってなかったんですけど(^^;)。

リアもいいんですけど、やはりフロントの威力を知ってしまうと、「やってみようか」って気分になるんですよね。ソニービルの120インチ「マリブ」で見ると、あの良さは病み付きになります。
by akoustam (2006-09-01 18:09) 

Riever

あ、やはり160万円のQUALIA 006と比べるのが間違いでしたか・・・まあそれでも自信を持って「ふつうの液晶やプラズマよりは綺麗」といえるレベルでしょうからいいですけど。

今日久しぶりに私のカタログコレクションの入った棚からQUALIA 006のカタログを「丁寧に」引っ張り出しましたが、この表紙がいつ見てもいいんですよ。QUALIAにふさわしい黒の背景にQUALIA 006と書いてあるんです。当然買えないのでせめてカタログだけでもと思って、頂いたら今やお宝扱いです。あ、少々興奮しすぎですね(^_^;)
by Riever (2006-09-01 20:53) 

akoustam

>Rieverさん
やはりQUALIA 006とA2500だと、スクリーンにかかっているコストが全然違う見たいですね。006は3枚ガラス構造で上下方向の視野角の改善を図っているのに対し、A2500は2枚ガラスだと思われます。また全体的なフォーカスの締まり具合も、006に比べちょっと弱い感じでした。

ただA2500は映り込みが少なく、かなり明るい環境でも見られる出来だったので、視聴環境まで考慮するAVマニア向けの006と違って、一般のリビングに無造作に置かれることを想定したチューニングをされているのだと思われます。
by akoustam (2006-09-04 06:48) 

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